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 | 2024.11.15

①窓は何のためにつけるのか?②家づくりに流行を取り入れない方が良い理由③パースを信用してはいけない④訪問業者の手口が巧妙化している⑤危ないルームツアー

今回はは私のメルマガにいただいた感想・ご質問の一部を取り上げてみたいなと思います。

メルマガにご意見・ご感想をいただく方は圧倒的に「nobandさん」が多いです。nobandさんも、家づくりが終わって1年ほど経つのでしょうか。「私が言うセオリーを無視せざるを得ない家だったけれど、意外に快適です」「こう工夫すると夏は快適ですね」「庇が作りにくい家だけど、こうしてみたらよかった」など、いろいろなアイディアを教えてくださり、参考になっています。私は群馬県の田舎で日射取得を活かせるように家を建てることが多いのですが、逆に日射取得がしにくい場所ではあまり建てたくないと感じています。

当社のホームページをご覧いただければ、設計スタイルがなんとなくおわかりいただけると思います。一般的な総二階建ての家ではなく、1階を少し広めにして年を取ってから1階で生活できるようにし、2階は子供部屋や吹き抜け、収納スペースを設けています。こうした設計を「ほぼ平屋」と呼んでおり、南側には大きな窓を設けて日射を取り入れ、外構工事も合わせて外の風景を取り込んでいます。このようなシチュエーションを希望されるお客様が多いです。

少し話が逸れますが、窓の役割について考えたことはありますか?普段、窓からの風景を「借景」と呼ぶなどしゃれた言葉を使いますが、なかなかうまく説明できない部分もあります。先日、Facebookで有名な設計士・伊礼先生が書かれていた言葉に、なるほどと感じました。

「室内で外部を感じることはとても大事。窓は日常を浄化する装置。窓を断熱効率だけで考えてはいけないように思います」

伊礼先生が設計された家の写真も添えられていて、その言葉に強く共感しました。当社も吹き抜け部分に床格子を設けることが多いですが、これは窓を開けて空気を通したり、夏には窓を開けてアウターシェードを取り付ける際に通路が必要であったり、窓を掃除する際に床が必要だからです。しかし、通常の閉じた床にしてしまうとその下が暗くなり、空気も流れません。そこで床格子にすることで空気を回し、1階の奥まで光が届く陰影が美しく映える効果もあります。伊礼先生のデザインはさらに素晴らしく、曲線的なラインの光が差し込むように工夫されています。当社のホームページの完成写真にも、床格子から差し込む光の陰影が見られ、そうしたところに心が惹かれます。これらは単なるUa値やC値ではなく、感情や心に響くものとして日常生活の中で大切にしたいと考えています。

ただ、難しいのは、小さなお子さんがいて忙しい時期には、こうした余裕を感じるのが難しいことです。私も年齢を重ね、子供たちが巣立つようになると時間に余裕が出てきました。リビングでふとイスに座り、テレビを見ながら格子越しに光が差し込み、室内が明るくなると心地よく感じます。夏には室内の湿度が下がり、冬も暖かくなります。窓から差し込む光を床格子を通して取り入れることも、大切な要素です。伊礼先生がこれを「浄化」という素晴らしい表現で表しており、その考え方に共感します。

住宅設計の難しさは、特に若い頃の感性や好み、あるいは流行を取り入れて作ってしまうことにあります。もちろん、それで悪いわけではないのですが、10年も経つとデザインが古くなってしまうことが多いです。ハウスメーカーの家はトレンドを反映させるため、デザインが年々変わり、例えば外壁や屋根の形、窓の配置などで建てられた時期がわかりやすくなってしまうのです。最近見た動画でも、「これが今流行っている」「これを使えばおしゃれ」というような表現で流行を推奨しているのを感じましたが、家づくりにおいては、こうした「流行」だけを重視するのは少し難しいと感じています。

私自身、バング&オルフセンのスピーカーなどのガジェットやトレンドを楽しむことはありますが、家の場合は一つ一つの要素が調和しにくく、時にチグハグに感じることがあります。例えるなら、服でネクタイは赤、シャツはブルーのストライプ、ジャケットはスコットランド風、という組み合わせで、各アイテムは良くても全体としてまとまりに欠けるような感じです。

伊礼先生のアドバイスにあるように、室内の色は3色ほどに抑えるのがよく、要素を増やすとまとまりが崩れてしまいます。また、素材や床、壁材、窓の枠などもその空間に合わせたものを選び、全体を通して統一感が必要です。個人の価値観や好みはそれぞれで良い悪いはありませんが、流行を追いすぎたインテリアは10年後や20年後を想像すると陳腐化してしまうことがあるのです。

また、住宅の図面は平面で描かれており、お客様には完成後の立体的なイメージやボリューム感がわかりにくい点も課題です。カラーパースを見ても実際の質感やボリュームは伝わりにくく、特にカラーパースではよく見えても実際の建物でイメージが違うこともあります。カラーパースではあえて重心を低く見せるなどの技術が使われることも多く、私は必ず「あくまでも参考です」とお伝えしています。パースに頼るのではなく、実際の完成した家や写真で窓の配置やバランスを確認するのが重要だと感じています。

かなり長い前置きになりましたが、nobandさんのコメントです。

「訪問リフォーム業者が間取りをチェックし、情報が流通しているのだから恐ろしいもので、ますます南面の窓の取り方が難しそうに感じます。25mm幅のFIXか高窓になるんですかね」

これは本当に私も感じます。

南面の大きな窓から泥棒が入るのは難しいと思います。ただ、そうは言っても都心部の狭いところで影になると怖いです。場合によっては1階の窓は格子窓にしてシャッターを付けて、2階の窓から日射取得を考えなければいけないかもしれません。全て高窓にしてしまうと人間がいる場所は採光の計算チェックがあるので建築確認申請が通らなくなってくるんです。

このような話は、当社のOBのお客さんからも問い合わせがちょこちょこ来ます。「近所で工事をしてるんだけど、屋根がおかしな状態なので無料でチェックします」「エコキュートの無料点検」などが増えています。単純にセールスマンが飛び込みセールスをやっているケースもありましたが、「うちは結構です」と言えばいいんだけど、最近怖いのが訪問リフォーム業者がチェックするやり方です。要はセールスで契約する目的ではなく、その家に行って家族構成だとかそういうものを見ているんです。年配の方でおしゃべりな方もいるので漏れやすいんです。日常会話をしつつ、その人の情報を聞くというのはあります。

もう一つ、私が前々から疑問に感じていることがあります。それはルームツアーです。当社も私が現場でポイントを映すルームツアーをやっています。家全体の間取りがわかるようにはしないようにもしていますし、建築場所も教えません。熱心に見てる人限定なので2〜3日で公開を切っています。しかし、YouTubeなどのルームツアーで場所や間取りがわかってしまう動画を流している会社があります。確かにお客さんは素敵な家なのでルームツアーで見たい人もいると思います。しかし、いろんな情報がわかってしまうので怖いと思います。360度ぐるっと回して見せているとか、間取りがはっきりわかると怖いです。

当社もFacebookとXに現場状況の写真を上げていますが、どこに建っているかはわからないように配慮していますし、お客さんにも事前に内諾をいただいています。あとは周りの風景とかがわからないように、わかりやすい建物があるような現場はそもそも投稿しません。全ての現場を投稿するわけではなく、半分ぐらいです。

どんどん伊礼先生の話から変わっていますが、こういうことも今考えた方がいい時代かなと感じます。ぜひ参考にしてください。