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 | 2025.05.25

①他社に決めた理由は何か?②セルロースファイバーの性能は悪いけど安い③ルーフィングと野地板の間で結露はするか?④ガルバ屋根の最大の欠点

今回は、私の配信させていただいたYouTubeに対するコメントをご紹介します。

まず最初のコメントです。このコメントは私の中ですごく印象に残っています。

「すごいHMを紹介します。自然素材系を重視した大工上がりのおじさん社長の番組(栃木県)があります。気密シートを使うと“家が腐る”とし、理由は年中カッパを着て過ごすのと同じで水蒸気が逃げないとのこと。湿度は適度な通気で逃がす他、木や調湿素材が吸うとのこと。夏にどうやって室内の湿気を低下させるのか、冬どうやって室内の湿度を維持するのか、夏と冬の断熱材や躯体木部は湿潤状態にならないのか、年間の2次エネルギー消費量はどうなのかを質問してみたいと思います。」

昔、当社に家づくりの相談に来たご夫婦がいました。いろんな工務店さんに回っていたんですが、ご主人さんは断熱や気密をちゃんとして、木を使った居心地のいい家がいいと言っていました。作る場所も山沿いの日射取得が厳しい場所だったので、断熱や窓の性能は特に重要でした。また、日射取得がどう見ても少ないので、床下エアコンを使って、なるべくエネルギーコストをかけずに家の中を暖かくした方がいいとか、窓もトリプルガラスを主体にした方がいいとか、西面と北面と東面は、春秋に風を通して換気ができるようにしておいた方がいいんじゃないかと言ったところ、ものすごく納得をしてくれました。

ただ、最終的には当社じゃないところで家を建てるという結論になりました。ご主人さんはうちで建てたいと思ってくれたんですが、奥さんが気に入った工務店があって、どうしてもそちらでやりたいとのことで謝りに来てくれました。ちなみに、私と同じ設計コンセプトの人はそんなに見たことがないし、当社と同じ工法でやって当社の方が高かったという経験はなかったので、「何でその工務店さんに決められたんですか?」と聞いてみたところ、「材木が天然乾燥で素晴らしかったからです。」と言っていました。

天然乾燥は悪いわけではありません。人工乾燥でも乾燥の仕方によっては違いが出てくると思うからです。ただ、日射取得や空調計画、間取りの作り方というところよりも、天然乾燥という条件に惹かれたそうですが、この時代に家を作るということを考えると、ちょっと視点を変えた方がいいかなと思います。そういう視点で家を建てる人に対して批判はしませんが、もったいないかなという感じがします。

次のコメントです。最近は少なくなりましたが、こういう質問をいただくことは多々ありました。

「外張り&壁のダブル断熱を採用しようと思っています。夏も涼しく湿度を調湿できる家がいいと思いますが、断熱材は硬質ウレタンボードとセルロースファイバーとではどちらがオススメですか?」

簡単に答えてしまうと、どっちもいいと思います。ただ、使う断熱材によって性能が違うので、それによって厚さやコストは変わってきます。もしかしたらこの方は「セルロースファイバーを使うと調湿できるんじゃないか?」という意図があって質問されたのかなと思いますが、以前のYouTubeやメルマガでも言っている通り、セルロースファイバーを使っても家の中の湿度がすっきりすることはありません。エアコンの除湿機能で何とかなるという状態なのに、セルロースファイバーの新聞紙みたいな紙だけでグングン湿気を吸うなんてことは、理論的にないと思います。

セルロースファイバーは私も使っています。ブローイング工法で断熱欠損が起こりにくいとか、屋根みたいに骨組みがいっぱいあってもピタッと納まるというメリットがあるからです。また、施工は手間がかかるかもしれませんが、物自体はそんなに高いものではありません。ただ、性能は悪いんだろうなという感じがするので、その分を厚みでカバーする必要があります。お金はかかりますが、原材料が安いのでそんなに高額にはなりません。トータルで考えたら、グラスウールよりもセルロースファイバーの方が安いと思います。

次のコメントです。

「屋根の結露について質問です。現在新築計画中(6地域)です。ガルバ屋根→改質アスファルトルーフィング→野地板→アクアフォーム通気スペーサー→アクアフォーム225mm→可変透湿シートという構成なのですが、ルーフィングと野地板の間に結露が発生するのでは?と思っています。この構成で問題ないのか、あるいはルーフィングを透湿のものに変更して、エアギャップシートのようなものでガルバとルーフィングの間に通気層を設けた方がいいのか、ご教示いただければ幸いです。」

この構成は、絵のようにかなりしっかりしています。ただ、アクアフォームを吹く場合、壁だったらスキンカットしますが、屋根だとスキンカットせずにボコボコになってしまうので、その上に可変透湿シートを貼るのであれば下地を組む必要があると思います。また、アクアフォームは100倍発泡のはずなので、そうするとたしかに湿気が通過してしまうため、シートを貼っておいた方が安全だとは思います。この辺りは考え方によります。

この方が気にしているのは、ルーフィングと野地板の間で結露するんじゃないかということです。冬の放射冷却による結露のことを言っているんだと思いますが、放射冷却でガルバがすごく冷やされて、ガルバの裏側で結露するようなことはたしかにあります。

ガルバは私も使っていますが、屋根材としては一番軽いです。縦ハゼ葺きのように1枚で葺けば、雨水がすぐに流れるので、ゲリラ豪雨が起こっても大丈夫です。また、23年くらい経った家のガルバの塗装を頼まれたことがあるんですが、本当に錆びていませんでした。色褪せはしていても錆びてはいなかったので、ガルバには錆びにくいという特性もあります。

軽くて錆びにくくて雨漏れしにくい上に、縦ハゼ葺きにすれば、太陽光を載せる時に穴を開けずに済むので、4拍子揃っていていいと思います。ただ、素材は鉄板なので暑くなりやすいし、北側は寒くなりやすいので、そこだけは弱いです。そのせいで野地板のところが結露してしまうこともあります。特に通気しにくい家だと、結露が起こる可能性は無きにしも非ずという感じがします。

また、エアギャップシートを使って通気を取るのはいいことだと思います。ただ当社の場合はエアギャップシートは使わずに、裏打ちと言って、ガルバの裏側にスポンジを貼って断熱する感じにしています。そうすることで雨音がしなくなるし、雹が降った時にも裏側のスポンジがクッション代わりになるので、当たっても凹みません。

当社の板金屋さんに、裏打ちは他でもやっているかどうかを聞いてみたら、子育てさんぐらいだと言われたので、まだ一般的ではないのかもしれません。でも、やっておくといろんな部分でいいと思います。お金はかかりますが、とんでもなく高額というわけではないので、ご興味がある方は工務店さんに「裏打ちのスポンジの話を聞いたんだけど、ああいうのはいかがですか?」「いくらしますか?」と聞いてみるのもいいかと思います。

一番まずいのは、野地板に直接ウレタンを吹くことです。違反ではないですが野地板がかなり傷むことになるので、通気を取らずにバーッと吹いて、上からガルバやルーフィングをベタッとするのはやらない方がいいかなと個人的には思います。