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性能
 | 2020.07.02

風通しの良い間取りにしても、室内は涼しくはならない

暑くなる日が増えてきました。

しかし、夜になると涼しい時もあります

6月末になると、日中の外気温が30℃以上になってしまう時があります。

でも、エアコンを作動させるほどの状況でもないので、窓を開けて何とか凌いでいる家も見かけます。

しかし、このような状態が続くと、カッコいい家ほど暑くなってしまいます。

夏に暑くなってしまうカッコいい家の代表例は軒ゼロ住宅です。

軒ゼロ住宅とは、真四角で屋根の出っ張っていない家です。

若い方に人気があるようですが、建築的に考えると最悪の家です。

建築雑誌でも、その危険性は頻繁に取り上げられています。

また、住宅瑕疵担保保険でも、事故例が一番多い家だそうです。

夕方になって、外気温が下がっても室温が暑いままの家があります。

外気温よりも室温が高い状態です。

このようになってしまう原因は、日中に窓から沢山の熱が室内に入ってしまうのが一番の原因です。

また、屋根(天井)の断熱性能が悪いのも原因ですし、壁の断熱性能が悪いのも原因です。

でも、屋根も壁も断熱性能が良く、窓の性能が良かったとしても、暑くなってしまう場合もあります。

要するに、高気密高断熱の高性能住宅でも、夏に暑くなってしまう事があります。

そこで、住宅会社の中には、

「高気密高断熱住宅だと、冬は暖かいかも知れないが、夏に物凄く暑くなってしまうのです。窒息住宅です!」

などと言った説明をする場合があります。

そして、「この位の断熱性能で十分なのです。窓もアルミ樹脂サッシで十分です。」などと説明します。

更に、「風通しの良い家を作りましょう!」などと勧められます。

確かに、「高気密高断熱住宅だと夏に暑くなってしまう」のは事実です。

ただし、キチンとした対応策を行えば、窓を開けない方が涼しくなります。

その対策方法を日射遮蔽と言います。

キチンと日射遮蔽がされている家は、このような姿になります。

このような対策を行っている高性能住宅では、窓を開けない方が室内は涼しくなります。

これは文章で説明しても理解しにくいので、機会があれば体感することをお勧めします。

当社の工事中の現場に行くと、冷房もしていないのに涼しくなっています。

自慢っぽいですが、外で仕事をしている職人さんも驚きます。

夏は、屋根や窓から強烈な熱が入ってきます。

特に屋根面からの熱は物凄いものがあります。

その為には、天井裏の空間を十分にとると共に、断熱をしっかりとしながら、換気が出来るように施工する必要があります。

そう考えると、軒ゼロ住宅が暑くなってしまうのは必然なのです。

それでも軒ゼロ住宅を作るのは個人の自由です。

若い頃は勢いで何とかなりますが、歳を取ったときには辛い物があります。

家づくりは、若い頃を基準にして作るのではなく、歳を取ってからの事を考えて作るのが、正しい家づくりです。

夏の寝苦しい夜に、室内を簡単に涼しくする方法があります。

それはナイトパージと言う方法です。

ナイトパージとは、「夜間外気の取入れ」と言う意味です。

室温よりも低い夜間の外気を取り入れる事によって、室内を涼しくする方法です。

取入れる方法は、窓を開けるだけの方法もあれば、換気システム等を使って取入れる場合もあります。

前者の場合は、窓を開けるだけなので簡単ですが、そのままの空気が入ります。

ですので、空気が汚れているような場所だと、つらいかもしれません。

後者の場合は、換気システムを使って取入れるので、ろ過された空気が入ります。

また、窓を開けないので防犯的にも良いかも知れませんね。

昔の日本では、夏になるとナイトパージを使って涼しく過ごしていました。

私が子供の頃に住んでいた家は、夏になるとナイトパージを行っていました。

簡単に言うと、窓を開けっぱなしにしていただけです。

その頃に思い出がある方は、今でも夏になると窓を開けて涼しくしようと考えます。

ただし、ナイトパージが出来る為には条件があります。

当たり前ですが、室温よりも外気温が低くなければダメです。

次に、外の湿度が室内の湿度よりも低くないと不快になります。

外気温と湿度の両方が低くなければ、室内は涼しくなりません。

仮に、温度が低くても湿度が高い状態でナイトパージを行ってしまうと、最悪の場合には室内でカビが発生します。

そう考えると、このような電気製品は如何でしょうか?

最近、CMで一生懸命に販売がされていますけどね・・・

ナイトパージが成立する場所は少なくなっていますし、期間も短くなっています。

北海道では、今でもナイトパージが使えるそうです。

軽井沢でもナイトパージが使えたそうですが、最近はエアコンを稼働させないと暑くて寝られない日が多くなったそうです。

軽井沢辺りで難しくなっているのですから、殆どの地域ではナイトパージを使える時期は限られているはずです。

住宅会社さん中には、通風の効果を説明して、風通しのっ良い家を提案される方もいます。

しかし、通風で家を涼しくするには、条件があるのです。

何となく、窓を付ければ風が通り抜けて、室内が涼しくなることはありません。

逆に、効果の限られているナイトパージの為に、風通しの良い家をつくった結果、逆に暑くて寒い家になってしまう事になるかもしれません。

くれぐれもお気を付けください。

追伸です

ナイトパージとは違いますが、壁の中に空気を通すと、冬は暖かくて夏は涼しくなる?と言われる家があるようです。

後で解説したいと思いますが、これは理論的に考えてもおかしな話です。

夏の湿気を帯びた暖かい空気を、壁の中に入れて涼しくなることはありません。

また、冬の寒くて乾燥した空気を入れるのもおかしな話です。

春と秋なら害もないと思います。

でも、春夏秋冬のバランスが崩れてきている現代では、春と秋に適して家を作るのはどうなのでしょうか?