今回は、私が配信させていただいたメルマガに対するコメントをご紹介します。
1つ目のコメントです。
「小暮社長様、毎回色々謎解き話題をありがとうございます。エアコンのいらない家で検索してみました。これを売りにしている工務店もあるみたいですね。エアコンの代わりに輻射式冷暖房システムを導入するらしいのですが、一般家屋に必要かどうかはよく考えないと将来的にどうなるかと感じました。人の考え方は様々ですね。」
メルマガで言ったエアコンのいらない家というのは、輻射式冷暖房を採用している工務店さんの家のことではありません。エアコンをつけなくてもこういう風にすれば、夏涼しくて冬暖かい家ができると書かれた本があったので、それについて話したまでです。ただ、あくまでもそれは10年以上前の話です。もし家づくりの勉強をしている人がその本を読んで、「こうやればエアコンがいらない家ができるんだ!」と思ったとしても、今はなかなか難しいんじゃないかと思います。
いつの話なのか、どこに住んでいる人が書いているのか、その理屈は今はどうなのかというところを、ちゃんと考えなければいけません。本になっているから正しいということはないので、そういうところに気をつけてほしいと思って、メルマガに書いたわけです。決して輻射式冷暖房システムに対して文句を言ったわけではありません。
輻射式冷暖房システムを導入している工務店さんも、たしかにあります。私も、輻射式冷暖房システムを導入している建物を見学したことがあります。ただ、私が見学した場所は群馬県太田市のような暑い場所ではなかったので、ここにそのシステムを持ってきたらどうなるかというのはわかりません。
また、「そのシステムはそんなにするんだ!」と驚きました。パネルの枚数にもよりますが、私が見学したお家についていたシステムは400万円もするそうです。よっぽどエアコンが嫌いな方や、お金がかかってもいいからこれがいいという方はいいですが、そうじゃなくてもいい方は、わざわざつけなくてもいいんじゃないかと思いました。断熱、気密、パッシブ設計、床下エアコン、屋根裏エアコンで済むんじゃないかという感じがします。このシステムが悪いとは思いませんが、そんなに高いんだという感想は持ちました。
2つ目のコメントです。
「建売住宅からの住み替え、すごい状況ですね。ただ、2年前の住宅について何もしなかったら、自分だったらこうなってしまうのかなと思ったりします。もう少し自分を守るべきではないかと思いました。今回も大変勉強になりました。ありがとうございます。」
以前モデルハウスに来られた方から、建売住宅の住み心地が悪いので、もう1回家を建てたいと相談をいただきました。その後、建売住宅を売却して、本格的に土地を探したいという話をされました。ただ、率直に言って無理じゃないかと思いました。
買った金額と売却した金額とでは、差が生じます。建売住宅のローンの残りと売金というのは、大体は合いません。相談をいただいた時点では、利子と元本をちょっと払ったぐらいの状態だったので、仮に売れたとしてもローンは残ってしまうことになります。そうすると、残ったローンを抱えながら、土地を買って家を建てることになるので、なかなか難しい気がします。この方は、そのことをあまり理解していない感じがしました。
それなのに、早く今の家から脱出したいという思いから、不動産屋さんに土地探しを依頼してしまっていました。さらに、売却も土地探しも、両方とも同じ不動産屋さんに依頼しているとのことでした。つまり、その不動産屋さんは差が生じるということを薄々わかりながら、もう一方で土地をセールスしているということになります。言い方は悪いですが、何とかして土地を売ってお金を貰えれば、あとは野となれ山となれという風に思っている気がしました。
また、どうやってローンを組むのか不動産屋さんに聞いてもらったところ、「二重ローンにしようと思っています。」と、普通に言われたそうです。さらにその不動産屋さんの担当は、20代後半〜30代前半ぐらいの、あまり経験のない若い方とのことでした。なので、おそらく上司の方の言う通りに動いているだけなんだと思います。
あくまでもお施主さんが望んでいることを商売としてやっているわけなので、それがものすごく悪いことだという風には言えません。ただ、「こうなっちゃいますけど、いいですか?」ということを、プロだったら言ってあげてほしいと思います。早く今住んでいる家から出たいという気持ちもわかりますが、感情だけで動いてしまうと怖いことになります。
あとは、ちょっと語弊があるかもしれませんが、都心の不動産屋さんと田舎の不動産屋さんとでは、感覚というものが違うと思います。去年に埼玉でお家を建てた際に、不動産屋さんとやり取りをしたんですが、あまりお客さんのことは考えておらず、売ることばかり考えているような感じがすごくしたからです。すべての人がそうだとは思いませんが、群馬県の不動産屋さんとは違うなという感じがしました。不動産というのは怖いところもあるので、気をつけた方がいいと思います。
3つ目のコメントです。
「お世話になります。自分はサラリーマンですが、機械関係の工事に携わることがあります。仕様決定、業者さんとの打ち合わせや価格交渉、工程管理、官庁申請、現場立会い、そして検収打ち合わせと相手や作業の難度にもよりますがすんなり終わることばかりではありません。こちらの発注ミスや連絡ミス、そして相手のミスもありえます。何度もミスして困ったことのある自分としては得意分野でないものはプロにお願いすることが一番と心得ています。
施主支給については新住協 関西支部 ダイシンビルドさんが「保証まで含めた値段なのでよく考えて欲しい」と話されてましたね。私ごとですが最近、エアコンを増設しました。量販店より割高なことを承知の上で近所の電気店に依頼しましたが、施工に配慮があり安心して任せられました。何かあればすぐ連絡できますし。
本筋でないところで神経を使われる小暮社長の気持ちをお察しします。今回も注意喚起を含めたお話、ありがとうございました。」
今はネットで検索して、いくらでも安いところを見つけられます。水を買うにしても、なるべくダイレクトに買うとか、大量に販売しているところから買うとかした方が、下請けさんから買うよりも当然安いです。お得なのは悪いことじゃないと思いますが、買ったものを誰かに頼んで取り付けるというところまで含めると、最終的な結果というのは違ってきます。物は同じままかもしれませんが、それをちゃんと接続して稼働させて、性能を満たしたものを享受するとなると難しいです。
この方の言うように、人によって感覚というのは全く違います。当社の現場で、別途工事による問題が起こったんですが、それはお客さんが発注した別途工事の業者さんが、施工を忘れていたためでした。私だったら「すぐに動かないと!」と思うはずですが、その業者さんもサラリーマンなので、そこまでの判断ができるわけではないという感じもします。また、会社が大きいと上司にどんどん話が行って、いつになっても埒が明かないということもあり得ます。
今回のケースで感じたのは、「現場をわからない人が携わると、こういうことになるんだな。」ということです。要は、分業制の弊害です。絵のように、お客さんは営業マンと話をします。営業マンは見積もりをして「こうなります。」と言います。その営業マンが現場担当に依頼して、それをまた下請けさんに依頼するという感じなので、介在する人が多くなります。
ただ、現場の方というのは上の人から聞いた通りにするじゃないですか。だからそもそも、営業マンがよくわかっていなければ、現場担当に上手く伝えられないし、何かのミスで伝え忘れるということもあり得るわけです。現場担当も忘れることはあるし、ミスをすることもあるとは思います。こういうのを防止するためにはどうするかというと、まずは分業制をやめて、介在する人間を少なくすることが第一だという感じがします。
絵のように、営業には話だけしておいてもらって、実際の現場には工務を連れていくようにするというのも手だと思います。つまり、営業が工務も兼ねるわけです。一番いいのは営業も施工も自分ですることですが、そうすると今度は商売として数が知れてしまうので、難しくなってきます。
当社では、私がお客さんに話を聞いて、現場監督の平石に話をして、平石が職人さんに伝えるという流れでやっています。なおかつ、私も現場に行きます。それでも、小さなミスはあります。ちょっと棚の高さが違ったということはありましたが、穴を開けていなかったというレベルのミスをしたことはありません。なるべく介在する人間を少なくすることに加え、指示をした人間も一緒に現場を管理することが重要だと思います。
分業制というのは、つい素晴らしいことのように思ってしまうし、仕事に集中できるという風に感じるかもしれません。ただ、毎回違うことをやっているのに分業するというのは、なかなか危険だなという感じがします。大手ハウスメーカーさんが同じ家を全国で作り続けられるのは、分業性の怖いところをわかっているからなのかなとも思います。
その代わり、マイナス面もあります。どんな建築条件であっても同じ間取りで作ってしまうので、住み心地に差が出るというところです。ただ、失敗はしにくいというのも事実なので、いいところもあれば悪いところもあります。ここを消費者の方がどういう風に考えるかだと思います。
別途工事というのは、あくまでもお客さんの責任です。厳しいことを言いますが、お客さんが自分で頼んだものについては、お客さん自身で責任を持つべきです。よくありがちなのが、素人だからよくわからなかったというケースです。ただ仮にそうだったとしても、お客さんの責任でしかないんじゃないかと思います。「よくわからないからちょっとアドバイスを貰えますか?」と言われたら、アドバイスをする義務はあります。ただ、不本意にも「お金は払いますから、お宅で管理してくれませんか?」と言われることもあるわけです。
話が長くなってしまいましたが、住宅業界に限らず、今はどんどん素人化が進んでいます。昔は現場監督といったら、自分で図面を書いて見積もりを作って発注して、職人と話して、写真もちゃんと撮るイメージでしたが、今は職人さんから貰った写真をまとめる係の人みたいになっています。
また、昔の営業マンは「現場経験をしたやつじゃないと、お客さんに理論的に話せないでしょ?」という風に考えられていました。対して今の営業マンは、マニュアル通りに話をしたり、現場のことをよくわかっていなかったり、資格を持っているだけだったりする人が多い気がします。自動車みたいに同じものを売っているならいいですが、注文住宅でそれをするのは怖いと思います。でも今はそれが普通なんでしょうね。私は古い人間なので、すごく違和感があります。注意喚起として書かせていただきましたので、くれぐれもお気をつけください。