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ホーム > ブログ > YouTube > ①同じ話を聞いても読解力で結果が変わる②防湿気密シートを貼ると害があるのか③硬質ウレタンフォームは、湿気を通し難いのに湿気を通すのか?④グリッドポストでないと暖気は回らないのか
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 | 2024.02.25

①同じ話を聞いても読解力で結果が変わる②防湿気密シートを貼ると害があるのか③硬質ウレタンフォームは、湿気を通し難いのに湿気を通すのか?④グリッドポストでないと暖気は回らないのか

今回は質問コーナーです。

まず1つ目の質問です。「可変防湿気密シートを使わない夏型結露対策」「発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか」の動画に対していただきました。

「室内側の防湿気密シートや可変透湿気密シートの施工について質問です。検討している工務店の1つが、LIXILさんのスーパーウォール工法を採用しており、断熱材はA種硬質ウレタンフォーム保温板1種相当となるそうです。

室外側の透湿防水シートについてはもちろん施工しますが、工務店より、室内側における防湿気密シートや可変透湿気密シートの施工は不要という案内をいただきました。

当方としては、冬の室内の湿気は防湿気密シート等でできる限り遮断すべき、断熱材は湿気にできるだけ触れさせない方が断熱性能も担保できるのではと考えています。(そもそも断熱材は湿気を吸う為のものではないという見解です)

本工法には、水分を透しにくい硬質ウレタンフォームを採用されており、HPには『室内からの湿気をガードし、断熱材内部に結露を発生させない高性能な断熱材で、瑕疵保証(10年間)では保証されない断熱材内部の結露による劣化を35年間保証』と示されています。

当方の見解としては、保証は断熱材だけであって、35年以降は?と疑問に思いますし、防湿気密シート等がなければ断熱材内部だけでなく、外壁側の面材にも悪影響を及ぼし家の耐久性は下がってしまうのではと思慮しています。」

ものすごく勉強されていると思います。断熱材に湿気を吸わせて調湿をするという工法もあるらしいですが、私はちょっとよくわかりません。

さっき言ったウレタンフォーム保護板は、ものすごく硬い保温板で、そもそも水を吸いません。多分この工務店さんは、そもそも水を吸わないものだから防湿気密シート・可変透湿気密シートは要らない、という見解なのだと思います。これは断熱材に関しては合っています。

ただ、「瑕疵保証では保証されない断熱材内部の結露による劣化を35年間保証」という言葉が曲者な感じがします。質問者さんは頭が良くて、「当方の見解としては、保証は断熱材であって、あくまでもそれは壁の中の問題ではない」と言っています。

そもそもウレタンフォーム保温1種というのは、ずっと水の上に置いていても浮いていて、水をなかなか含まないものです。ということは、35年間保証もできるといえばできます。

しかし、いかにもこの言葉が“璧体内結露を防ぐ”と意味をすり替えてしまう人がいます。メーカーさんはこういうものをすごくわかりにくく書きます。「タバコの吸いすぎには注意しましょう」も一緒です。「タバコを吸うとガンになります」「このケーキを食べ過ぎると太ります」と書いてあればいいけど、それではキリがありません。

これは断熱材自体の保証をしているだけの話で、多分壁体内結露を保証しているわけではないのだと思います。コメントにも、「あくまでもそれはウレタンフォームの保証で、壁体内結露を保証しているわけではないということだと思います」と回答しました。

あくまでも私の考えとしては、防湿気密シートはやった方がいいと思います。なぜかと言うと、住まわれる方の使い方もよくわからないからです。

私も寒冷地などで断熱性能を上げたい時は、30倍硬質発泡ウレタンを吹いたり、それと付加断熱をしたりします。その時に、30倍の発泡ウレタンは水分透過しないから、それが防湿気密層になるのではないかという話はあります。

しかし、万が一壁の中に湿気が入った時に、その湿気を発泡ウレタンが吸わない代わりに周りにある木材が吸うのは嫌なので、防湿気密シートは貼りたいです。なおかつ、特殊なシートを使って、仮に湿気が入ったとしても防水気密シートを貼ることで圧力差を作り出して、付加断熱との間のところで水分を滲み出すようにしたいです。

絵で描くとこんな感じです。壁に付加断熱をやって、壁で1層目の断熱、付加断熱で2層目の断熱をする感じです。1層目が30倍発泡、2層目がウレタンフォームの場合、両方とも湿気を吸わないものだからこれでシャットアウトできます。

しかし実際は、中に骨組みとして木がありますから、内側に防湿気密シートを貼ってなるべくシャットダウンするようにします。なおかつここにタイベックの特殊なシートを貼ります。圧力差をつけることで、仮に湿気が入った時にここで水分を滲み出す特殊なシートがあって、こういうものを使った方が安心だと思います。

50年以上住める家を考えると、木材を長持ちさせるためには何と言っても乾燥を保つことです。なぜかというと、木が腐るのは、水分と温度の影響で腐朽菌が発生するからです。腐らせないためには、水分になるべく触れさせない方がいいと思います。

昔の家は持った・腐っていない・長持ちしたとか言いますが、あれは気密もなくて隙間だらけで、乾燥したという側面もあると思います。ですからその一方で、寒い・暑いということもありました。

かといって、今の家で寒い・暑いというのはまずいですよね。エネルギーコスト問題もあるし、健康にも良くないです。その中で気密・断熱を高めることをやってきて、その一方で事故も起こったりして、通気工法などいろんなことをやってきた歴史があります。

やっぱり物事は理屈が必ずある中で、これを使えばいいということだけで終わりにするのが怖いという思いもあるのではないかと個人的には思います。

また、今回のケースだと、防湿気密シートを貼ることによって何か悪いことが起こるかというと、そうではないと思います。それであれば、仮にお金がムダになったとしても、保険として使うのは悪いわけではないと思います。

防湿気密シートを貼るだけならお金もそんなに掛かりません。1本1万円もしませんし、それを1軒あたり5〜6本使うとして、それと大工さんの手間賃を考えたら、会社によって違うでしょうけど1軒あたり10万円も掛からないと思います。

仮に10万円として、50年で割れば年間2000円です。月に直せば160円ぐらい、1日に直したら5円ぐらいです。あくまで私だったら、10万円で安心できて悪い方向に行かないのなら、悪い話ではないと感じます。別に悪いことをやっているわけでもないならやった方がいいんじゃないかとも思います。

コメントには続きがあります。今言ったことを答えたら、丁寧にお礼を書いてくださいました。こういう丁寧な人って嬉しいですよね。私の時間も大切にしてくれているし、私が書くこともすごくありがたがってくれています。

他の動画でも言いましたが、メールで問い合わせが来て、それに答えても全くお礼も何もない人も中にはいます。失礼ですが、何この人?と思います。確かに多くの中の1業者かもしれませんが、相手の時間を使っています。マナーとして、嘘でもいいからお礼をするのは、私は人間として当たり前だと思います。

私も、他の商売の方に問い合わせをする時は必ず「ありがとうございました」と言います。しかしなかなかこういうことができない方も、世の中一定数いるようです。

話を戻します。返答のコメントにはこう書いてありました。

「メーカーにも質問したところ、以下の回答でした。

『省エネ基準にあるグラスウールなどの透湿抵抗の小さい断熱材を使用する際は、防湿層を設けることとなっていますが、発泡プラスチック系断熱材(JISA9511)及びこれらと同等以上の透湿抵抗を有するものの場合は、防湿層設置する必要はないと記載されております。

また、万が一室内より湿気の移動があった場合は、外側の通気層により湿気を逃す役目となりますのでご安心ください。』

この日本の省エネ基準も世界的に見ればかなり低い基準なのではと感じており、今の時代の日本には適していない基準と当方感じているところです。

また、『万が一…』とおっしゃっていますが、防湿気密シートがなければ特に冬場は室内からの湿気の移動は当たり前に起こり得るとも感じています。」

最初の話だと、ウレタンフォーム保温板1種相当は水分を通しにくいものだから、これ自体が防湿気密層になるから防湿気密シートは要らないという話でした。

しかし、「万が一室内より湿気の移動があった場合は、外側の通気層により湿気を逃がす役割になる」というのです。おかしくないですか?そこで湿気をガードするから余計なものは要らないと言ったのに、仮に入った場合は通気すると言っています。ということは、グラスウール・セルロースファイバーなどの通気しやすい断熱材なのか?という話になります。

湿気をガードする断熱材ということは、外側に出にくいわけだから、湿気を逃がす役割は難しいと思います。どういう意味で言っているのかよくわかりません。もしかしたら私が勘違いしているかもしれませんが、一般的にはおかしいのではと思います。

ちなみに、某発泡ウレタンメーカーさんのホームページにも一時期そういうことが書いてありました。「湿気を通しにくくしている」と書きながら、次のページには「湿気を通す」と書いてありました。これどうなのかな?と思った経験があります。

ニュアンスはわからないけど、「それって逆だよね」ということがわからないと間違った解釈をしてしまうことがあることを、みなさんにお伝えしたかったので紹介しました。決してスーパーウォール工法が悪いという意味ではありません。あくまで物事の理屈として、そういうことがわかっていないと、誤った判断をしちゃいますよと言いたかったわけです。くれぐれも変に解釈しないでください。

次の質問です。動画の内容と質問は違いますが、「逆ベタ基礎工法を行うメリット」「東京スカイツリーと住宅は違う」という動画にいただきました。

「床下エアコンを採用する場合、床下に立ち上がりが少ない方が熱が広がりやすいので、逆ベタ基礎にさらに立ち上がりをつけて内側はグリッドポストみたいにすれば基礎の剛性も担保できていいと思うのですが、費用的に非現実的でしょうか?」

おそらくグリッドポスト工法の話だと思います。私もグリッドポスト工法で床下エアコンをやったことがあるし、下田島モデルハウスもそうです。今は、お客さんの家はグリッドポスト工法ではなく通常の立ち上がりのある基礎で床下エアコンをやっていますが、結果的にはそんなに変わりません。

ただし立ち上がりがある基礎の場合は、間取りに対してエアコンの位置をちゃんと決めて、そこから出る暖気がちゃんと回るように考えたり、大きな家であれば暖める場所と弱くてもいい場所を分けて、それで間取り・床下エアコンを考えたりしないと難しい感じがします。それが面倒くさいなら、グリッドポスト工法の方が通りやすいというのはありますが、その分グリッドポスト工法の方が高額になります。

ここは考え方で、ちゃんと手間をかけて考えて普通の基礎にするか、それとも面倒くさいからお金を掛けてグリッドポスト工法にするか、ということだと思います。

しかし、グリッドポスト工法だからといって際限なく暖気が向こうに行くわけではありません。広ければ広いなりに、遠ければ遠いほど、熱は損失します。そうすると、布基礎の敷居というかバリアがあった方が熱が担保されて、余計に温める所まで行かなくて済むという考え方もあります。

グリッドポスト工法で開いてるのはいいけど、一番先にあるのが例えば収納だとしたら、そこまで熱を持っていったって仕方ないし、もったいないです。それなら、手前の人がいる所を暖めた方が効率的ですよね。

グリッドポスト工法はいいけど、部屋の間取りに対してどうするかという考え方です。こういうことを考えながら家は作っていくもので、一言では言えないです。