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ホーム > ブログ > YouTube > ①真冬の基礎断熱の床下温度は何℃か②基礎コンクリートは蓄熱するのか?③G2の家で夜中にエアコンを切ると寒いのか④杉板の節が抜けているのが不安⑤程度の良い中古住宅を安く買いたい
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 | 2024.01.20

①真冬の基礎断熱の床下温度は何℃か②基礎コンクリートは蓄熱するのか?③G2の家で夜中にエアコンを切ると寒いのか④杉板の節が抜けているのが不安⑤程度の良い中古住宅を安く買いたい

今回は質問コーナーです。

1つ目の質問です。
「いつも書籍等の理論値と現場の経験のいいとこ取り動画、とても参考になります。床下エアコン採用時の基礎断熱の蓄熱性って感覚的にあまり大したことがないような気がしますが、どうでしょうか?6地域、G2レベルで真冬の夜中にエアコンを切っても朝方床が2〜3℃くらいしか下がらないというのが信じられないです。冬の建物のコンクリートなんて夕方時点で冷たいですし。基礎に蓄熱もマジックワードっぽいなと感じました。何となく基礎断熱の基礎内全てに断熱材を入れた方がエアコンが温める空間も減るし、省エネな気がします。」

いいとこ取りと言っていただけて、すごく嬉しいです。私もそういうイメージで喋っているんです。

私もこの業界の人間だから、勉強のために書籍を読んだり計算式を勉強したりします。何坪の家で、気密性能をよくするにはQ値やUA値がいくつで、室内と室外の温度差がどのくらいの場合に、必要な熱容量はこのくらいだからエアコンはこういうものを買う、など、理論値があります。

しかし難しいのが、それをやっても実際には暖まらない場合もあることです。そのポイントは、間取りにあります。

例えば、CMで紹介されているような、お医者さんも使っている空気清浄機がありますよね。あれをよく見ると、実験の条件がすごく厳しいんです。密封された真四角の部屋で、広さは畳3畳分、高さは2mぐらいのすごく小さな空間の中に置くと、動画のように吸うようです。

しかし実際のところ、そんなに小さい家はないと思います。吹き抜けがあったり広いリビングがあったり、キッチンの向こう側に洗面所と脱衣所が繋がっていたりします。あれを置いても動画のように埃を吸うわけではないと思います。

物事には前提条件というものが必ずあります。さっき言った家も、計算上はその容量のエアコンで足りるかもしれないけど、家の形が複雑だったり吹き抜けなどの問題もあったりすると、なかなかそこまで暖まらなかったり、温度差が出てしまったりすることが実体験としてあります。

では最終的にどうするかというと、この方が言っていたように現場経験でやっていかないといけません。理屈だけでやっていくと「全然暖まらないんですよね」とか「この部屋も暖まりません」などのクレームになってしまうと思います。ただ計算式としては合っているので、現場経験と理論値のいいとこ取りという感じです。

本論に戻ります。6地域だと、基礎断熱はベタ基礎のところにL字型にしか入れません。基礎は地中に埋まっているけど、泥から上の部分は冷気にさらされます。冷気の影響を受けて熱が基礎を伝導するので、その部分をブロックしましょう、という理屈です。これは5地域でも同じです。そして基礎の下の面は、泥に埋まっているので冷気はそんなに来ないんです。地中熱と言えば地中熱です。

6地域・5地域あたりの床下の温度は、冬の無暖房の状態でも大体15℃ぐらいはあります。だからそんなには冷たくないんです。ただそれでも当然寒いから、床下エアコンを使って22℃ぐらいまで上げるような感じです。

これが仮に床断熱になると、床で断熱をします。基礎の上部は大体基礎パッキンを使いますが、冬はここから冷気が入ってしまいます。ですから床断熱の場合は、ここの断熱をきちんとすることが重要です。気密をきちんと取らないと、冷気が室内に影響してしまいます。

あとは、気流止めもやらないとまずいです。床断熱の場合は容積が減っていいですが、断熱がすごく肝になるのできちんとやらないと足元は寒くなってしまいます。基礎断熱の場合は、足元は比較的暖まりやすいです。なぜかというと、先ほど言ったように床下が15℃ぐらいで済むからです。

あとは、他の動画でも言いましたが、例えば軽井沢のようにすごく寒いところの場合は、基礎断熱にして床下に配管を通しておかないと、配管自体が凍ってしまうこともあります。

床断熱にして下に配管を通すと、配管が凍ってしまいます。配管を電熱ヒーターなどで温めると、電気代だけで月に3万円ぐらい掛かります。それなら、基礎断熱にして多少容積が増えても暖房をした方がトータルコストは安くなります。電熱ヒーターに3万円掛けるなら、基礎断熱にして中の暖房費が何千円か上がる方が安いという理屈です。

九州・四国などの温暖地の場合は、冬の最低気温でもマイナスにはならないと思います。ああいうところでは床断熱でも別にいいのかなという感じはします。

ただ、湿気が高いところになるので、床下に湿気が入ると別の問題が出るのかもしれません。私はそちらの方面では家を作ったことがないのでわかりません。今度そちらに行く機会があるので、お客さんにその辺の事情を聞いてみたいと思います。

話を戻します。コンクリートは蓄熱する物体です。床下エアコンをずっと使っていくと蓄熱するというのは事実です。ただ当然、すごく蓄熱するというわけではありません。

元々床下は、基礎断熱をやって泥の中に埋めてあげるとコンクリート自体がそんなに冷えない状態になっています。そこで床下エアコンをかけると、熱が漏れにくくて保存できるという感じです。もっと言うと、元々が暖かいから暖めるための熱が必要なくなります。それを蓄熱と言ってもいいのかな、とも思います。それがコンクリートと泥の効果だと思います。エアコンをつけると、泥とコンクリートが熱をうまく保存してくれるイメージです。

また、質問で「G2レベルで真冬の夜中にエアコンを切っても、朝方床が2〜3℃くらいしか下がらないのが信じられない」と言っていますが、これは普通です。そんなものだと思います。

この動画を撮っているのは12月19日ですが、今月栃木県足利市で、オープンハウスをやりました。
その時に、今日の朝は何℃で夜帰る時は何℃で、オープンハウスが終わった夕方の5時頃は何℃、床下エアコンをつけないで帰った翌日の朝は何℃、などと測定をしました。

日中に日射取得をして家の中が最高27℃まで上がって、ちょっと暑くなったから排熱して、夕方5時に帰る時には室温25℃になっていました。ハニカムブラインドを閉めて帰って、翌日朝9時に会場に行って温度計を見たら、21℃ぐらいになっていました。ただ、その日の朝方の気温は0℃で、すごく冷えているという状況でした。

夕方の5時から朝の9時までの間、16時間経っても4℃ぐらいしか下がらなかったということです。しかしこのようにするのはそんなに難しいことではありません。

まず日中に日射取得をして、家の中に熱を貯めて、それを逃さないようにします。窓の性能だけではなくて、ハニカムブラインドを使ったり、気密をしてあげれば温度はそんなに下がりません。ただ、第三種換気などで換気をしすぎてしまうと1.5℃ぐらい下がってしまいます。

換気については、なぜ換気をするのか、第一種換気じゃないとダメなのか、第三種換気では何でダメなのか、そもそも換気はどのくらいするのかなど、私の中で考えていることがあります。24時間換気という法律はあるけど、実際そんなに換気をするのか、そもそも換気の目安は何なのかなど、いろいろと思うことがあります。

もしCO2濃度が1つの基準として換気の必要があるのなら、第三種換気で十分です。また、第一種換気も熱交換換気だけど、そんなに効果があるのかな?と思います。寒冷地でも、第三種換気で住み心地のいい家を作っている会社もあります。これは家の作り方にもよりますが、きちんと日射取得をすれば、真冬の夜中にエアコンをつけなくても朝まで暖かいです。

また、共働き世代の方は日中家にいないですよね。太陽光発電がついていても使っていないから売電します。でも今は売電しても安いので、買うよりも安いから使いたいですよね。

必要な電気を使って買わないようにするための1つの方法として、当社ではおひさまエコキュートを使っています。もう1つは、日中に床下エアコンをつけて家の中をかなり暖める方法です。

夕方までに家をかなり暖めておくと、帰って来た時は暑いと思うけど、その後床下エアコンを切っても熱が保存されて、朝方まで22℃ぐらいで続きます。

当社のお客さんでもそうしている人がいます。そのお家は、冬は2階だけしか日射取得ができないこともあり、余計に床下エアコンを使っています。共働きなので、家にいない時に太陽光発電で発電した熱で床下エアコンをガンガン回して家を暖めます。夜帰って来た頃にはかなり暖まっている状態で、そこでエアコンを切って、朝は23℃でした。

床下エアコンは夜ではなく昼間につけた方がいいということになります。ただ、日射取得をしていないとダメです。UA値だけ低くしてもそうはなりません。

施工エリア内の方であれば、当社のオープンハウスに来ていただければ一発でわかります。理屈よりも体感する方が話が早いです。当社のオープンハウスに来た人はみんな「YouTube・メルマガで何となくはわかっていたけど、オープンハウスに来た瞬間に全部わかりました」と言います。

次は杉板についての話です。

「完成間近の家で気になる部分があり、対策などがあれば教えていただきたくコメントしています。自分の家は外壁に杉板と塗り壁を使っていますが、杉板に死に節が空いている箇所がいくつかあります。覗くとタイベックシートが見えるのですが、死に節ぐらいの穴なら気にしなくていいのか、コーキングなどで塞いだ方がいいのか、対策があればご教示お願いします。」

死に節ってわかりますか?杉板には人間の目みたいなものがあって、それを死に節と言います。これが穴が開いて抜けてしまうんです。

杉板には必ず死に節があります。節がある木は強いので、外部に貼るのは綺麗な木よりも節がある木の方がいいです。ただ死に節があるとそこが抜けてしまいますが、例えば雨が入ったとしても、タイベックシートなどいいものが貼ってあれば、ちゃんと中へ放出しますから問題はないです。

杉板を貼る場合は、軒を出して不用意に杉を濡らさないような施工をするはずなので、軒が出ていれば死に節から水が入ることはほとんどないです。よっぽどすごい台風などが来た時にちょっと入るぐらいで、大したことはありません。強いて言うと、そこから虫や細い蛇が入ることはあるかもしれません。

私は、死に節が気になる時は、現場監督が死に節を接着剤で止めたり、死に節が割れるようなら茶色いコーキングを打ったりします。

死に節があるからといって甚大な被害が起こるようなことはないけど、もしかしたら虫が入りやすいことはあるかもしれません。

次です。「中古住宅を高性能化するのはありか?」という動画に対するコメントです。

今は建築コストが上がっているので、程のいい中古住宅を買ってリフォームした方が、新築よりも安いケースがあります。ただ、そもそも程のいい中古住宅を見極めるのが難しいのが正直なところです。不動産屋さんに聞いても、程のいい中古住宅なんてあまりありません。

高性能化することが前提の中古住宅というのは、例えばおじいさん・お父さんがお金をかけて大工さんに作ってもらったようなしっかりとした家があって、もったいないからリフォームして使う、という世界に限られる感じがします。程度のいいものを安く買って高性能化すれば新築と変わらないというのは、いい話だけどなかなか難しいです。ましてや、安くするために外回りはいじらないとなると、必ず傷んでくるので結局最後に外回りのメンテナンスでお金が掛かることもあります。

また、せっかく一生ものの家を作るのに外回りをいじらないとなると、見てくれは変わらないので高性能な古い家に住んでる感じになってしまいます。中身を取ったからいいと思うならいいですが、せっかくだから見た目も変えたいと思う場合にはなかなか難しいですよね。

これに対して次のコメントをいただきました。

「本当に家を建てるのが大変な時代ですね。だから程度のいい中古を買って少しリフォームして濁すような感じになっちゃうんでしょうか。断熱や気密は気になるけど、よくわからないから業者任せみたいな。虎の威を借る狐ですかね。ブランドに人は弱いから、家もクオリティが高そうなイメージを植え付けようとしているのが見え見えで、却って引きますし、他に売りがないからだろうってパスしますね」

率直な感想ですよね。中身を取るのはいいけど、本当にそれで若い方が50〜60年間住めるのかというと、何とも言えないと思います。でも一方で、建築コストが上がってどうしようという側面もあり、なかなか難しい時代になりました。

もう1つ、他の方からもコメントをいただきました。

「腹八分目も大事ですが、家も車もある意味夢を売る商売です。どこにこだわりを置き作るか買うかで、視点や目的が変わっても、譲れない点を持てば中古のリノベでも一定の満足感は得られると思います。」

割り切りも大事ということです。決してそれは悪いことではないです。

ただ私が言っているのは、そういうことを理解できる方だったらいいけど、変に期待してしまう人が必ずいるということです。そうなるとガッカリ感が出てしまいます。

イレギュラーなことをやる際は、どこかで「これは仕方ない」と割り切らないといけません。「それラッキー」「いい話だ」と飛びつくと、あとで「こうだと思わなかった」となりがちです。ここはよく考えてください。