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ホーム > ブログ > YouTube > ①見ない方が良い!?建築系YouTube②AIを活用する人ほど間違っているかもしれない③発泡ウレタンはスキンカットしないと高性能にならない④通気工法は時代遅れなのか⑤大手はアクティブ、高性能住宅はパッシブ?
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 | 2024.02.20

①見ない方が良い!?建築系YouTube②AIを活用する人ほど間違っているかもしれない③発泡ウレタンはスキンカットしないと高性能にならない④通気工法は時代遅れなのか⑤大手はアクティブ、高性能住宅はパッシブ?

今回は質問コーナーです。

1つ目は、「昨年に建てた大手ハウスメーカーの鉄骨住宅が寒い」という動画に対してのコメントです。

「発信者の多くが、自分がちゃんと理解せずに発信している事に気づいていない。ダニング=クルーガー効果とも言いますが、自分が住宅設計のプロ中のプロだと思い込んでいる無知無学な発信者が驚くほど多いです。そういう方々の物言いは自信満々で言い切るので説得力があるので、そういう方々になびていく施主が多いですね。」

これは他の建築系YouTuberの方のことを言ってるんですかね?私自身は他の建築系YouTubeは見ません。松尾先生の動画も、直接教えてもらっているから見なくてもいいかなと思っています。

強いて言うと、海外の住宅の動画を撮っているNS◯◯さんという外人さんが、ロサンゼルスの45億円の家とかを紹介していて、「燃費が悪そう」とか「夏は暑いんじゃないか」とか思いながら、でもデザインとしてはすごくいいという動画は見ています。

お客さんから「こんな動画がありました」「あれってどうなんですか」などと教えてもらうことはあります。あとは、“nobandさん”が「とある動画が酷い」「間違っているところを指摘したらブロックされた」と言っていました。

その動画は私も興味があって見てみました。九州の方の設計事務所の動画で、たしかに“nobandさん”の言っていた通り、「この人は何を言ってるんだろう」と思う内容でした。

しかし怖いのは、その動画に反応している人が多くいたことです。その人は「気密なんていらない」と言っていて、それに対するコメントで「そうだったんですね」「騙されるところでした」と言っている人がいたんです。ああいうのは本当に怖いです。

「気密をしなくても家は建つ」「気密性能を高めなくても悪くはない、その代わりこういうことが起こる可能性があります」ということであれば、客観的な意見だと思います。しかしその人の動画はそういう話ではないので怖いです。どういう理屈で言っているのかも、どこから仕入れた情報なのかも私にはわかりません。

その人の勝手な思い込みで発信しているなら怖いし、ましてやその人は設計事務所の方だから、一級建築士の資格を持っているのであれば、社会的には一定の信用が生まれます。それを見て信用する人もいると思うと、やっぱり怖いですよね。

コメントの内容に戻ります。持て囃されているかどうかはわからないけど、一説にこのようなことを聞いたことがあります。登録者数・再生回数狙いの方は、検索される言葉を調べてそれを題材に動画を作っていくとか、今流行りの家づくりの情報からストーリーを作って伸ばしていくそうです。

たしかにその方法は合っています。そこにAIは反応するわけですから。AIは頭がいいと言われるけど、私は馬鹿だと思っています。あれは、世の中で流行っているものは正しいという判断だと思います。多数決理論みたいな感じです。政治で言うと、いくら悪いことをやっても当選すればOK、民意を得た、という感じです。AIは結局そこでしか判断できないんだと思います。

世の中にはいろんな情報が表示されるけど、みんなが見ているからこの情報は正しいだろうとAIが「おすすめ」とするんだろうけど、判断しようがないですよね。数が多いものが正しいという判断しかできないんだと思います。

確かにAIは便利ですが、そういうものだという前提条件がないと、場合によっては間違ったことを刷り込まれていきます。YouTubeと全く同じです。

また、「本質を見極めて本当のことを言っている発信者はあまり出てこない」というのは、本当にそうだと思います。一流の人はそもそも私みたいにYouTubeなんかやっていません。

私がすごいと思う人は西や東の方にいますが、その人はそういうことはやりません。なぜかというと、まずは面倒臭いからです。面倒臭いし、そんなに大きい会社じゃないし、好きな人・わかっている人だけでいいという感じです。そのくらいのブランドになれば素晴らしいんでしょうけど、私はまだまだレベルが低いと思います。

その一方で私の中では、喋ってみなさんから反応をいただくことが楽しいという思いがあります。元々私もおしゃべりな人間だし、仲のいい人とはすごく喋ります。そういうこともあって、こういうことをやっています。

例えば住宅の設計者で私がすごいと思う人としては、堀部先生・入江先生が浮かびます。どちらもYouTubeはやってないはずです。誰かに言われて出ることはあっても、自分ではやっていません。あれぐらいのクラスになると、究極かなという感じがします。

コメントは「耐震等級2でOKと言っている意味のわからない人もいますね」とか「超OB打を連打し続けているYouTuberさんもいますね」というものもいただきました。消費者の方が聞いても明らかにこれはおかしいだろうということを、普通に言っている人も一定数いるんでしょうね。

私は見たことがないのでわからないけど、ちょっと興味が出てきたのでもしあったら教えていただきたいという気もしてきました。

次です。「可変透湿気密シートを使わない夏型結論対策」「発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか」という動画に対していただきました。この動画は意外に議論を呼びました。

「私が拝見した建築YouTubeでは、現場発泡施工の断熱材なら防湿シートはやらなきゃだめ、スキンカットは口ぶりからシート貼るの前提でむしろ推奨という感じでした。要はカットしちゃいけないと気を付け過ぎて薄く吹いてしまう方が厚みの不足でよほど問題だから、しっかり吹いて余分はカット、湿気は防湿シートで防ぐという理屈です。」

たしかにそれも一理あります。発泡ウレタンは、カットしない限りパンパンには入りません。特に100倍発泡はすごい勢いで膨らんでくるので、あれを壁の中に、断熱欠損を起こさないようにしっかりと入れるなら、カットが前提になります。その建築YouTubeの方は、これを言っているんだと思います。

一生懸命吹いて切って防湿気密シートをすれば、湿気は入らないし、入ったとしても圧力差で出やすくなるから悪くない、ということです。それはたしかに一理ありますし、切りっぱなしよりはいいです。

ただ私が心配なのは、そもそも固まっているものを切るのはどうなのかというところです。固まって物としての形を維持しているものを、パンパンに入れたいからという理屈だけで切るのは、長い目で見た時に劣化という部分でどうなのか?と思います。

私は、現場で作って固まったものをわざわざ切って表面を壊すことは、あまりよくないんじゃないかなと思うし、若い方が長年住むのであればあまりいいことではないという感覚があります。

もっと言うと、それをわざわざやってまでパンパンに膨らませたいのなら、発泡ウレタンじゃなくてもいいと思うんです。100倍発泡ウレタンはそんなに性能が高いものではありません。だからパンパンに吹いて切るという理屈だと思います。発泡ウレタンを使わなくちゃいけない理由があるなら別だけど、そうでなければ他の断熱材でいいのではないかと思います。

発泡ウレタンを切ってまで使わなくちゃいけない理由は何か、というところが私は一番引っかかりました。あくまでもこれは私の考え方であって、最終的には建てる方の判断です。

次も「可変透湿気密シートを使わない夏の結露対策」「発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか」の動画に対するコメントです。

「某建築系チャンネルでは防湿シートは時代遅れ、ドイツでは法律で禁止されていると言っていました。WB工法を推している方なのでその工法前提で話をしているのかもしれませんが、一般的な通気工法だと冬型結露大丈夫なのか非常に疑問です。」

まず、前提条件がどういうものかによって答えは変わると思います。その某建築系YouTuberの方はWB工法を素晴らしいと言っているからそういう話になるのかなとこの人は推測されたわけです。

WB工法は私も知っていますが、やったことはないのでそんなに詳しいことは知りません。1点、私がいつもこういう話で気になるのは、ここはドイツではない、ここは日本だということです。

「ドイツやヨーロッパでは◯◯」というのは、私はどうかなと思います。「アメリカでは◯◯」「MadeinUSAだからいい」というのも同じです。ドイツはすごく寒い国です。私の住んでいる場所とは全然違う気候だと思います。

ただ最近は、ドイツも夏はすごく暑くてエアコンがないと暮らせないような感じになってきたという話を聞きました。ドイツは元々寒い地域なのでエアコンなんてないから夏に暑くて困ったとか、パッシブ設計の本場のような感じで高性能住宅を作って全館暖房をするけど、冷房までは考えていなかった、ということになっていると聞きました。しかし私はドイツに行ったことはないし、自分の目で見たことがないから定かではありません。

物事には必ず前提条件があって、その地域の気候の中でやっています。一言で「ドイツでは◯◯」と言うのは、私にはよくわかりません。

また、通気工法とは新住協さんが世の中に広めた工法だと思います。タイベックが日本で販売されて、それを使って通気工法をして、壁の中の湿気を出してあげることによって家の長寿命化を図ってきたという、歴史のある方法です。

実際に私もずっとそれで作っていますが、壁体内結露をしたことはないです。モデルハウスも見ていますし、壁体内結露がわかるセンサーみたいな機械もあります。

私が見る限り、日本でやるのは別に悪くないと思います。法律で禁止もされていないし、時代遅れではないと感じます。いろんな考え方がありますよね。

次です。「4200万円の建売住宅を解説してみた」という動画に対してです。あの建売住宅はまだ販売されていないんです。私もモデルハウスの前を通りますが、まだ工事中のカラーコーンが置いてあって、いつ終わるのかなと思っています。

コメントはこのような内容です。

「経験則と既往の事実に基づく評価解説で、非常にためになる内容でした。周囲の立地環境が不明ですが、パッシブと言う概念が乏しいと評価されても良い設計方針だったのでしょう。」

そもそもパッシブという感覚は、大手ハウスメーカーさんにはないと思います。あくまでも私の感覚ですが、ハウスメーカーさんの家は、断熱はそこそこやるけど気密に対してはあまり意識がない、ただ空調や機械に関してはものすごくこだわるというイメージです。中小工務店になると、どっちも興味がないというところもあります。

高性能住宅を作っている会社では、断熱に対してはすごく頑張って、気密に対してはそうでもなくて、空調計画もあまり意識しないところが多いと感じます。

当社に来るお客さんからも聞いたことがあります。断熱もG2.5やG3ですごくこだわっていて、気密も0.1とかだけど、空調計画について聞いてもあまりいい答えはなかったそうです。特に冷房に関しては、「壁掛けエアコンをつければいいんじゃないですかね?」みたいな感じの会社が多いと聞いたことがあります。

断熱も重要だし、気密も空調も大事だから、こういうところが上手くマッチした方がより良い家になるのではないかと思います。これを提唱しているのは、私の中では松尾先生ぐらいだと思います。