今回は、私の配信したYouTubeに対するコメントをご紹介します。
今年の夏も間違いなく暑くなりそうですね。またこの時期が来たんだなという風に感じます。この時期になるとどうしても、お客さんの家の住み心地、屋根裏エアコンの効き具合といったところが、ものすごく気になってきます。
屋根裏エアコンのシステムは本当にシンプルですが、いかに冷気を上手に回すか、いかにエアコンに室内の空気を吸わせるかというのは、間取りや家の大きさによっては難しい問題です。以前メルマガやYouTubeでもお話ししたと思いますが、空調計算をしても、絶対にその通りにはいきません。ソフトで計算をしただけでは、失敗する確率は高いです。また、ソフトの限界を見据えてより強力にやるという方法もありますが、その場合は間取りをシンプルにしていかなければいけません。
私は群馬県の田舎の方で家を建てていますが、シンプルな総2階建ての30坪の家もあれば、ほぼ平屋の家もあるので、空間の大きさが同じだとしても、空調計画というのは全く変わってきます。あとは、夏に特化してしまうと、冬は寒くなってしまうということもあります。ここは難しいところです。
家の中をすっきりさせるためには、空調計画をするしかありません。湿度を下げるには、熱を入れるという方法、エアコンで除湿するという方法、除湿器を使うという方法、いろんな方法があります。除湿器を使うと、コストがかかる上に熱が発生してしまいますが、エアコンを使えばエネルギーコストはかかりにくいです。
住宅屋さんや営業マンさん、一部の建築系YouTuberさんは、一種換気をつけることによって除湿できるというようなことを言っているみたいですが、残念ながらそれはあり得ません。おそらくそういう人は、どこかから知識を引っ張ってきて話しているだけで、本当のことはよくわかっていないと思います。でも、そういう人でも当たっている話をすることはあるので、そこだけをつまむというのはありだと思います。ただ、そうするためには、見る側自身が客観的な物の見方をできなければいけません。いずれにしても、そういう話には気をつけた方がいいかと思います。
どんどん暑くなっている中で、温暖化はそろそろ終わるんじゃないかという話も出てきています。ただ、先のことはわかりませんが、そんなに簡単にこの暑さが緩むことはない感じもするので、当社では夏場の空調計画を変えようと考えています。最近の空調計画は、どんどん複雑になっているように見えます。1台の機械で何とかしようとしているところもありますが、それもどうかと思います。西の巨匠のように、もっとシンプルに考えたらいいんじゃないかと私は思っています。ご興味がある方は楽しみにしていてください。
本題に入ります。以下の動画についてコメントをいただきました。
◼︎①杉板外壁を洗っても良いのか?②レンジフードに〇〇を貼ると家が汚れる③何故、気密を高めるのか?④改めてパッシブ設計の理屈を解説してみた⑤性能の悪い家ほど自然の摂理を無視している
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/gaiheki_food_yogore/
「住宅メーカーOBの方のコンサルとして北側リビングを推しているイメージがありますね。リビング=南側の常識を覆してプライベート空間を充実!のような謳い文句です。小暮様のおっしゃる通り、性能面、空調計画もセットであれば問題ないと思いますが、実際はデザインに振り切っていそうだなと、HPを見ると感じます。」
商売というのは人と同じことをやってもつまらないので、その逆をやって、そちら側の層を獲得するのも、1つのマーケティングなのかなという風に感じます。南側が大通りだと人から見られて嫌だから、北側に窓をつけて中庭を作るというのは、悪い考え方ではないと思います。ただ、それをやることによって住み心地に影響が出ることもあるわけです。また「絶対にパッシブ設計だ!」とガチガチに考えて、日射取得命、日射遮蔽命になってしまうのも面白くないですよね。やっぱり緩みも必要だと思います。
随分前に見た北側中庭のお家は、絵のような感じで日射取得ができないので、冬は熱損失してしまいそうだなと思いました。家の中を暖房しても熱が出ていきそうだし、どんどん結露してしまう気がします。ちなみにこれは、高性能住宅を売っている会社さんのお家です。「何を以て高性能としているんだろう。」という感じがしますよね。面白いかもしれませんが、実際に住んだらびっくりするんじゃないかと思います。
たまにV型の家というのもありますが、太陽の動きから考えると、冬はずっと影になってしまうので、日射取得はほぼできないはずです。夏は涼しくなりそうな気もしますが、日射が入らないので除湿しにくくなります。日射が入らなければ温度は上がりにくくなりますが、湿度は下がりにくくなるので、夏でもある程度の熱は必要です。なのでこういう家は、冬は寒くて、夏は湿度が高くなるんじゃないかと、何となく予想できます。
どういう風に解決するのかというと、夏の湿度であれば空調で解決するとか、窓をつけて光を入れるという方法があります。冬については日射取得は難しいので、その分、断熱性能を上げて空調で上手く調節するという方法が挙げられます。ただ、そうすると今度はエネルギーコストがかかってしまいます。
こういうデザインの家は、設計した方が「太陽光パネルはカッコ悪いからつけたくない。」というコンセプトを持っている場合が多いです。住まわれる方が「私はこのデザインが好きだから、これでいいんだ!」ということなら全く文句はありませんが、なかなかそこまで余裕がある方はいないと思います。「こういう家を建てたけど、住んでから困っている。」という方は、意外にいるんじゃないかという気がします。
若い時は本当にパワーがあります。身の丈を超えている車を普通に買えるじゃないですか。でもそれは「稼げばいいんだ!」みたいなパワーがあるからだと思うわけです。年を取ってから年収の倍の車を買うのはきついです。そこまで稼げるかという不安もあるし、それを乗りこなす自信もないですよね。
家も全く同じです。若い時のパワーだけでそういう家を建ててしまうと、年を取った時になかなか厳しいんじゃないかと思います。家は車と違ってコロコロと買い替えるものではないので、どこかでバランスを取りながら作っていくことが大事なんじゃないかと思います。
最近は平屋がブームのようですね。この前見た平屋は、屋根の形がペッタンコだったので「断熱材は入るのかな?」と思ったし、その割にすごくでかい窓をボーンとつけていたので、住んでいて暑いんじゃないかなと思いました。一方のことだけに特化すると、それに対する短所というのが必ず出てきてしまいます。ここは気をつけた方がいいんじゃないかと、本当に思います。
昔は「家はこういうものだ。」というのが何となくありましたが、今はよくわからず振り切っている人が多い感じがするので、そこが怖いなと感じます。詳しくはメルマガに書く予定ですので、ご興味のある方は読んでいただけたらと思います。