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 | 2023.11.15

蓄熱について考えてみた

今回のテーマは「蓄熱」です。

蓄熱とは、熱を蓄えることを指します。冬に蓄熱することは効果的ですが、夏に蓄熱することは場合によっては問題が生じます。一般的に言われるのは、HEAT20のG3クラスの超高性能住宅を建て、日射遮蔽を施さずに窓から太陽の熱を取り込むと、断熱材が蓄熱しすぎて過熱状態になることです。これは望ましくない蓄熱です。一方、冬には適切な熱を取り入れ、家の中で蓄えることで、夜間まで暖かさが続くため、非常に有益なアプローチと言えます。

ただし、単に断熱材だけで蓄熱しようとするのは容易ではありません。断熱材の中でも、自然素材系のセルロースファイバーやウッドファイバーは比較的熱容量が大きく、蓄熱性能が高い傾向があります。しかし、壁に10cmのセルロースファイバーを取り入れたとしても、それだけで熱を蓄熱するわけではありません。一定の厚さが必要で、約30cmほどが必要とされます。

しかし、壁に30cmのセルロースファイバーを取り入れると、部屋が狭くなり、またその重さも問題視されます。全体の建築に30cmの断熱材を使うことは滅多にありません。そのため、最も簡単な方法は、土間コンクリートを活用して蓄熱する方法です。コンクリートも熱容量が大きいため、蓄熱に向いています。ただし、コンクリートは触れると冷たく感じることがあり、夏などにはひんやりとした印象を受けますが、これは冷たい熱を蓄えているためです。暖めるのは時間がかかりますが、一度暖まれば熱を保持する特性があります。

コンクリートに熱を供給しても即座に反応するわけではなく、ゆっくりと暖まって保温する性質があるため、仮にコンクリートを用いて蓄熱する場合、以前に私がメルマガで紹介したモリシタ・アット・ホームさんが採用したアプローチが参考になります。それは南側に大きな土間を設け、太陽光で熱を蓄熱し、土間を暖めることで、夜間にも家の中が暖かい状態を保つ効果があります。ただし、これには南向きに大きな窓を配置する必要があり、冬の日差しを取り込み、蓄熱する仕組みです。

ただし、土間を見られたくない場合や、土間面を南側の道路に公開したくない場合、北側に向けてしまうと、蓄熱どころか冷え込む可能性があることにご注意ください。そうすると、ずっと冷たい家になってしまい、冬なのに冷気を蓄熱してしまうことになります。しかし、そうした家は意外にも多く存在します。デザイナーズ住宅などで土間がある家もあります。

また、土間をどういう目的で作ったのかという疑問も浮かびます。単純に土間があると自転車を置けたり、縁側が楽しめると思いますが、マイナス面にならないかと心配になります。しかし、土間コンクリートの中に熱線を取り入れて電気的に暖めたり、冷媒管の中に温かい液体を流して床暖房のように土間を暖めることで、毎日のように電力を消費することになりますが、ポカポカとした暖かい土間になるというコンセプトも存在します。

しかし、このようなアプローチを取らずに、単純に北側の中庭に大きな土間を設け、さらに掃き出し窓を設置して中庭と一体化させると、夏季には過熱し、冬季には寒冷になる可能性があるため、家の中が冷たく感じることがあるとの報告もあります。このような事例を耳にすることがあります。

お客様からも、友人が中庭のある家を気に入り、土間で遊んだり自転車を整備したりして楽しんでいたが、冬季には土間が非常に冷え込み、冷気が家の内部に入ってくるという話を聞いたことがあります。このような状況が発生する可能性があることを考慮せずに、単におしゃれだからという理由で土間を造ると、蓄熱が逆効果になることがあるのです。

この点は、一般の消費者でも理解している方がいるかもしれませんが、深く研究する方は少ないと考えられます。また、以前にアップした動画で、意外にも批判を受けたトピックが地熱に関するものでした。地熱によって家が暖まるかどうかについては、土間コンクリートを作り、地中の温度を利用するイメージがある人もいます。

しかし、私が言っている地熱とは、地中300mを掘るといったものではなく、単に土間コンクリートを作り、その下に10〜15cmの土を埋めるだけで、地中の熱を利用して土間が暖かくなるという記憶はありません。土がコンクリートによって暖められるなら、床下エアコンは必要ないと考えられますが、どのように計測してもそうはなりません。コンクリートを泥の中に15〜20cm埋めただけでは、床下が暖かくなることはありません。

自然な状態では0℃以下にはならず、泥の中に埋まっているため、15℃程度から20℃以上には絶対になりません。これは地熱の影響ではなく、単に冷気にさらされていないからだという話です。しかし、住宅会社などではこれを「地熱」と称したりします。地熱という言葉には魔法のような響きがあり、多くの人がマジックのような効果を期待する傾向があるようです。

人間は未知のことを信じることが好きで、マジックのような出来事を求める傾向があるとされています。客観的な事実よりも、地熱や放射冷却などの自然の力に期待を寄せることがあります。私の経験から言えば、どれだけ計測しても実際にはそうならないことが多いですが、もしかしたら特定の場所でそういう現象が起きることもあるかもしれません。しかし、少なくとも群馬県や埼玉県のような地域では、床下が泥で埋まっているだけでは十分に暖かくなることはありません。

太陽光を活用しない限り、床下は寒冷なままです。太陽光は非常に高い熱を持っていますので、こういった地熱や畜熱に対する期待があることは理解できます。しかし、それが現実にはどう測定しても成り立たないことが多いのが実情です。そして、住宅会社などでも、マジックのような言葉を使って説明することがあります。人々は魔法や不思議なことを信じる傾向があり、客観的な科学的な情報よりも、魅力的なマジックを求めることがあるのでしょう。

そう言っても、蓄熱材は市場で販売されています。蓄熱専用の材料は、熱を非常に効果的に吸収する能力を持っています。たとえば、キャンプで使われることのある、液体が冷凍庫で凝固して冷やされる氷枕のようなものがあります。これは蓄熱材の一例です。これらの建築材料も存在しますが、非常に高価であり、家全体を暖めるためには膨大な費用がかかります。また、その効果が発揮される期間も一年の中では限られています。基本的には冬の熱を蓄えて持ち越すために使用されるものであり、そのためだけに大金を投じることは現実的ではありません。これらの材料は市場には存在しますが、実際に使用している人は限られています。本当に熱に敏感な人々が利用しているようですが、私はそのような人々をあまり見かけません。

そういった材料が高価であり、コスト的に合理的でない場合、他の蓄熱材を探すことが考えられます。私の考えでは、屋根断熱にセルロースファイバーを使用するのが一つの方法だと思います。屋根断熱の場合、壁とは異なり、非常に厚くできることが特徴です。現代の日本は全国的に非常に暑い地域です。そのため、夏季には屋根面の熱が非常に高くなります。この熱を家の内部に取り入れないようにするためには、屋根を通気させ、熱を逃がしながら、ガルバリウム鋼板の裏に金属の熱が伝わらないように裏打ちを行います。屋根内部にセルロースファイバーを300mm程度充填することで、セルロースファイバーが熱を蓄え、夕方になると段々と温度が下がり、熱は家の内部に抜けていきます。これにより、屋根裏のエアコンが守られ、効率的な冷暖房が行えるイメージがあります。

以前、グラスウールを使用したこともありましたが、セルロースファイバーを選んだ理由は、蓄熱効果ではなく施工性の問題でした。しかし、セルロースファイバーの方が、実際に家の内部に入った際に頭が涼しいという感覚があることから、夏にグラスウールで断熱した家と、セルロースファイバーで断熱した家とでは、セルロースファイバーの方が涼しい印象があります。セルロースファイバーがバッファーとして機能し、涼しさに寄与している可能性があります。ただし、壁に関しては、セルロースファイバーを使用することが難しく、そのような蓄熱効果は期待できません。そのため、壁の断熱材には割り切ってグラスウールを使用しています。

また、高性能住宅を建設する人々がよく指摘することですが、グラスウールで建設された家とセルロースファイバーで建設された家とでは、エアコンの効果が異なるという報告もあります。

セルロースファイバーは、先述したように蓄熱性があり、暖めるのが遅く、冷えにくい特性があります。一方、グラスウールは熱を吸収する性質があり、冷気を跳ね返すようなイメージです。ただし、セルロースファイバーは自体が冷たい熱を吸収するため、冷気が戻ってこないという感覚があります。これは主観的な感じ方であり、性能値には関係ありませんが、エアコンを入れた際の冷えを早く感じる人もいます。ただし、24時間エアコンを使用し続ける場合、セルロースファイバーの方が冷たい熱を吸収する傾向があるため、セルロースファイバーの方が適していると感じることもあるでしょう。これについては、同じ家を作って実験したことがないため、詳細は不明ですが、感覚的にはそのような違いがあるかもしれません。断熱材にはさまざまな要素が影響する可能性があると考えています。

また、もう一つ、ガラスにも蓄熱する性質があります。これは、西の巨匠がよく語る内容で、ガラスを上手に活用することで、夏には湿度を低下させてエアコンを節約し、冬には家を暖めることができるというアイデアがあります。ガラスに蓄熱させて家の中を暖めるというアイデアは少ないかもしれませんが、日射取得という観点から考えれば意味があるかもしれません。これらのニュアンスや意味合いは理解できますが、具体的なイメージが難しい部分もあるため、寒くなったら西の巨匠のところに訪れ、教えを受けて学び、その後にみなさんにお話できればと思います。