https://youtu.be/byV_zgx-gBg
今回は質問コーナーです。まずはこのようなコメントをいただきました。
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構造のことは私は分かりませんが歳をとった時のことを甘く考えてる人は多いでしょうね。設計士、施主含めて。お金持ちなら老人ホーム入るなりバリアフリー考えた平屋を建て直すなりすればいいけど一生住める家にするんだって人はそこもしっかり考えないとね。せっかく長持ちする家建てても老後に不便で住みにくい家になっちゃったら本末転倒よ。
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難しいのは、ある程度年を取った方や、人生を歩んだ方、酸いも甘いも失敗も重ねてきたような方だとか、建て替えの方だとかは、私が言ったことに対して「本当にそう思います!」と言うんです。ただ若い方、初めて家を建てる人とか、感情で家づくりを考えている人には、なかなか伝わらない。インスタばかり見ているとか、「驚くことはありませんか?」みたいなものばかり見ている人には、「ふーん!」と思われるだけなので難しいです。
「構造のことは私はわかりませんが、年を取った時のことを甘く考えている人は多いでしょうね。設計士・施主含めて」。施主さんだけじゃなくて、設計士も全くそう。住宅会社さんもそうです。
いつもメルマガとか、Facebook・Xで投稿していますけど、群馬県館林市で今年初めて上棟させてもらったお客さんがいるんです。上棟日に、他の現場も回りながらその現場にも行ったんですけど、お施主さんは午前中いたんだけど帰っちゃったと大工さんに言われて、仕方ないなと思っていたら、午後1時になって戻ってきたので「どうも!」と挨拶をして、そろそろ帰ろうかと思ったんです。「よかった!」って会話をした。近くにあるカフェでコーヒーを飲みながら、上棟の現場を遠目に見ました。お施主さんは私と同い年なので、世の中のいろいろなことを見てきたわけです。
こういう家を建てちゃいけない、という家を建てると本当に大変です。最初の10〜15年ぐらいは何とか持つけど、年を取った時に大変。35歳で建てて、25年経つと60歳になる。私は今58歳なので、私ぐらいになった時にそういう家を建てちゃうと、本当に嫌になります。寒い・暑いもあるんだけど、既製品の建材があそこの方で剥がれちゃうとか、床がこうなっちゃうということから始まって、外壁がこうなっちゃうとか、ベランダの防水がこうなっちゃうとか、屋根がこうなっちゃうという感じになってくる。さらに、いろいろな機械をつけちゃうと、まずいんです。
高性能な勝手に洗ってくれる換気扇を使ったり、滝が出るようなお風呂で、◯◯ウォッシュバブルみたいなやつをつけたりしちゃうと、本当に壊れまくる。お金がかからないようにするためには、使わないという選択肢もあるけど、換気扇なんかだと使わないという選択はできないから、交換になっちゃうわけじゃないですか。窓は結露するし、カビは生えちゃうし、建材は剥がれちゃうし、床は傷だらけになって色褪せしちゃうし、外壁は反って塗装しなきゃいけなくなるし、ベランダの防水もダメだし、屋根もおかしくなってくるし、換気扇もダメになってくる。本当にどんどんダメになってくるので、お金がかかって嫌になっちゃう。(もちろん)それをやらないという選択肢もある。実際やっていないんだろうな、という家を街中でよく見るけど、すごい状態です。グリーンだらけで、外観でさえくたびれているのがわかるから、中はすごいんだろうな、という感じがする。
それでも昔は寿命が短かったから、60〜70歳手前で死んじゃっていたので、遺された家族が解体して処分するとか、土地を売るとかしていたけど、今はそこで死ねない。80〜85歳とか、下手したら90歳まで生きるわけだから、引っ張らなくちゃいけない。でも家はどんどんくたびれてきて、寒いし暑いし、向こうはぶっ壊れるから、何とかしないといけないじゃないですか。70歳くらいになって、リフォーム費用にバンバンかけるなんて、よっぽど金持ちじゃなきゃ難しいですよね。
さらに、メルマガに誘導していると思われたら嫌だけど、残クレで住宅ローンを組んでいたとしたら、どうなるの?という話になる。
私もそんなことを言いながら、大学を出て他のことをやって、24歳で建築業界に入った。最初はゼネコンに入って、公共物・ビル・店舗をやって、最終的には住宅をやって、面白いなと気づいて、33歳の時に会社を辞めて独立して、25年になる。最初の頃と今とでは作っている家はちょっと違うけど、今の自分の心境としては、いろいろな家を作らせてもらったなという感じです。
あとはこの年になると、だんだん体が弱くなってくるんです。うちの子どもは3人いて、長男が27歳、次男が22歳。一番下は女の子で、高校3年生だから受験生なんだけど、若いじゃないですか。明らかに体力も違います。寒さ・暑さにも強いし、あっちが痛い・こっちが痛いということもないじゃないですか。私も10年くらい前、40代の頃はそんなことはなかった。でもやっぱり60歳手前になってくると、ちょっと動きすぎるとそうなる。年末も掃除しすぎたりとか、車を洗いすぎたりとかして腰に来ちゃって、2〜3日引き摺ってしまった。頑張って何かをやると、ひねり具合が悪くて腰に来ちゃったりするので、湿布を貼ってしばらく安静にすることになる。こんなことは悲しいじゃないですか。
あとは酒も飲めなくなってくるし、カルビもいっぱい食えなくなってくる。すごくわかりやすい老化ですよね。かといって私はまだ元気だし病気もないけど、いつも言っている西の巨匠に「本当に嫌になっちゃいますよ。酒の量は減っちゃうし、カルビは食えないし、脚立で余計なポーズをするとひねっちゃって、湿布を女房に貼ってもらうことになる」と話すと、「もっと来るから!」とか、「年を取るとそんなものじゃないから!」と言われる。そういうのを踏まえて、家というものは考えていかないといけない。若気の至りで、こんな家を建てちゃうと、俺は大変だと思います。
このコメントをくれた方は、そういうことをしたい人はしてもいいし、してもいい人はいると言っている。老人ホームに入るなり、バリアフリーを考えた平屋を建て直したり、そういうことができるんだったらいいんじゃないの?と。でもそれができる人はそんなにいない。どこかで一攫千金を当てる場合もあるけど、その確率も少ないから、余計なことはしない方がいいんじゃないかな。設計士も含めてだからね。
そういう設計さんも実際に見るんです。この家はどんな設計をしているのかな?と思うこともある。ハウスメーカーさんも最近ダメだね。設計が全然ダメ。ハウスメーカーの設計士さんは素人化してきたかな、という感じがします。昔のハウスメーカーさんの設計というのは、ちょっと先に進んでいた感じがしたけど、今のハウスメーカーさんの設計は、世の中のトレンドに流されている感じがする。ハウスメーカーさんもこんな設計をするんだね、という感じ。
某◯◯ソニックホームズさんの平屋の動画がネットに上がっていて、営業マンの男の方が「すごいでしょ!」と紹介していたんです。俺はそれを見て、「これをすごいと言うのもすごいな」と思った。ちょっとお洒落なローコスト住宅という感じ。仕上げとか、材料の使い方とか、窓のつけ方とかね。動画で見た時に、私が言うのも何なんだけど、ちょっとお洒落なローコスト住宅を、こんな感じでやっていたので、ハウスメーカーもこうなったのかと思いました。あんな動画を出すのか、という感じ。ハウスメーカーさんの設計というのも、違ってきたのかなと思います。
今は金利も建築コストも上がってきているわけじゃないですか。そういう中で家を作るとなると厳しいのはわかるんだけど、仮にこれからインフレになるとすると、今、変な家を作ったとしたら、あとでかかる修理代もどんどんインフレ化します。インフレするということは、修理代もそうなりますからね。
もっと言うと、私の動画でも言いましたが、元々は地元の工務店で建てた年配の方がいて、ちょっと失敗しちゃったんでしょうね。あまりよくならなかったので、ハウスメーカーさんで建て直した。私がハウスメーカーさんの60年保証はこういう意味なんだとか、意外に金がかかりますよとか、実際うちの姉貴や女房の義理の弟が某大手ハウスメーカーで建てたら15年経ってこう言われたとか、それをやらないと保証が延長にならないという話をしたんです。
その方が契約した時、今後かかるメンテナンス費用はこれだけ予想されますと言われたそうです。◯年後に防水工事はこれだけかかりますと出されたけど、そんなに高くなかったそうです。でもそれが本当かどうかはわからないじゃないですか。どういう計算をしているのかわからないし、メンテナンス費用の中に機械の交換費用は全く入っていない。あくまでも作文で何とでもできるので、その時の状況による。
結局メンテナンスする時は、別会社のメンテナンス部門の人が来て、「この防水だと傷みが激しいので、ちょっとお金がかかります」という風に、何とでもできちゃうわけです。そういうことを想定するというところも、インフレ時代には重要じゃないかという気がします。インフレで建築コストが上がっているから、なるべく予算をかけずに家を建てた方がいいんじゃないかというのもわかります。目先の論理からすれば。その代わり、その家はどこに特化したかが重要です。
今はある程度の断熱性能にしないと、補助金が貰えないという理屈になっているじゃないですか。補助金が貰えるような家にしなければ、お客さんから見向いてもらえない感じがしますよね。補助金が第一優先になっちゃうんです。そうすると限られた予算の中で、補助金が貰える家にする必要があるので、お金を使う優先順位が決まります。見えない部分とか、法律で規定されていない部分というのは、蔑ろにされてしまうわけです。それが逆に、あとからメンテナンスコストが増大していくというケースに発展します。インフレ化でそこを直すには、どんどんお金がかかっていく。本当に想定されるところなので、いろいろな意味で怖いなという感じがします。
建築コストが上がる、インフレ化する、金利が上がる。その中で防衛策としてこういう風にやる。ただその防衛策が間違ったものだと、逆にマイナスになって、インフレと共に倍増していく。
「年を取った時のことを甘く考えている人は多いでしょうね。設計士・施主含めて」。この一言に繋がるんじゃないかな、という感じがします。これはあくまでも私の見立てですが、そういうところも頭の中に入れてもらうと、いいんじゃないかなと思います。次です。
元となる動画は、「屋根裏冷房より簡単に涼しくする方法」とか、「◯◯工法のメリット」というもの。
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屋根断熱+基礎断熱にすることの目的を知ることができました。工法はあくまで手段であって、どういう家にしたいかという目的にフオーカスして、それを実現できる工法を選択した方がいいですね。なんとか工法信者が集まるチャンネルが散見されるので、気になっていました。
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全くおっしゃる通りです。別に◯◯工法が悪いというんじゃなくて、ばらつきが多いんじゃないかということを説明しました。何でもそうですけど、完璧なものはない。その工法を使いながら、自社で「こういうところはこうやらなきゃいけないんじゃないの?」と加えている工務店さんもあると思う。そういうところはいいと思うんです。
ただ、その工法だけやればいいんだと考えている工務店さんも多い。多分そっちの方が多いと思う。フランチャイズ系は特に。それが危険。その一方で、「松尾式!」と言っているところもあるけど、松尾式が完璧なわけではないと思っている。松尾先生も言っていたと思うんです。あくまでも原理原則はこうですよと。建てられる地域だとか条件だとかを加味して、チューニングをするのはその工務店さんの問題なので、そこまでは教えられない、という感じ。ここが大事です。
松尾式がいいんじゃないんです。松尾先生が言っているパッシブ設計の原理原則とか、日射取得・日射遮蔽度とか、冷気は下がる、暖気は上がるとか、窓のつけ方の問題とか、これらはおそらく間違っていない。ただ空調計画によって変わる。屋根裏エアコンと床下エアコンが絶対に正しいわけじゃない。うちも屋根裏エアコンと床下エアコンだけでは、今はやっていない。
これは前々から西の巨匠に言われていたんです。「ちょっとこういうのはいいんじゃないの?」と。屋根裏エアコンと床下エアコンに固執しちゃうという感じかな。固執しちゃうと人間はそこで止まっちゃうから、原理原則を守りながら変えていく。屋根裏エアコンと床下エアコンに固執しすぎて、何とかそれを守ろうとしてやっていくと、逆にデメリットが出ちゃうし、住む人よりもその工務店の思い入れが強すぎる感じになる。それをやらなければいけないんだ!みたいな感じ。もっと言えば、それが宣伝になっちゃう。そういう風になるのは、ちょっと違うんじゃないかなと、つくづく最近思っている。
最終的には、いろいろな手法がある中で、なるべく安全安心で、住まわれる方にとってもこちらにとっても、いいことを選択するというのが一番いいんじゃないかなと思います。



