https://youtu.be/dzSlS139LQs
今回は、私が配信させていただいたYouTubeに対するコメントをご紹介します。
1つ目は、「丁寧な仕事をする大工さんには特徴がある」とか「流行のYouTubeはパターン化されていく」という内容の動画に対してです。サラッと一言いただきました。
「車が汚い大工は仕事が雑なのは完全同意します。」
私は人生の半分以上は建築業界にいますが、やっぱり仕事が下手な人ほど車も汚いという風に思います。ペンキ屋さんのトラックがペンキで汚れているとか、泥を運んでいて汚れているということとは、また話が違います。そうじゃなくて、車の中がゴミだらけとか、服装まで汚いという感じです。解体工事で汚れてしまうのは仕方がないことだし、いつも汚い服装でいるなんて人はいないと思いますが、そういう人もいるのが事実です。
私は昔ゼネコンの大きな会社にいたので、大きな店舗や倉庫、マンションを作っていました。今は個人のお客さんの住宅屋をやっていますが、住宅というのは綺麗さを求められます。個人のお客さんがこれから生活する場を作らせてもらうわけなので、綺麗なものでなくてはいけません。倉庫やマンションだったらそこまでの神経は使わないので、最後にクリーニング屋さんがバーッと綺麗にして終わりという感じですが、個人の家となるとそういうわけにはいきません。
日本人的な感覚なのかもしれませんが、床、天井、壁、窓といった見えている部分が汚いのはまずいですよね。でも本当は、天井裏、床下、壁の中といった見えない部分まで含めて綺麗にしないと、まずいんじゃないかという感覚が私の中ではあります。
前職で、店舗やマンションの解体工事をした際に、壁の中からゴミが出てくることがよくありました。住宅の場合は壁の中に断熱材を入れるので、ゴミを入れる隙間はありませんが、やっぱり仕事が汚い大工さんは細かいところができないのは、鉄則だと思います。
2つ目のコメントです。先ほどと同じ動画に対していただきました。
「◯◯工法と聞いた時、多分紙クロスを激推ししている某工務店のYouTubeかな?と思いました。自分も以前に何度か観たことがあるのですが、やたら自分のやっている工法や建材をベタ褒めして、それ以外の物は超悪手みたいな言い回しがものすごく苦手だと思いました。
自分は小暮社長と趣味が同じで、オーディオマニアなのですが、オーディオをやっていると視聴会に行く機会があります。自分は今までに50軒以上のマニアさんのシステムを聴かせていただきましたが、“我が家のオーディオの音は最強、これ以上は存在しない!”みたいに自慢げに言う方のシステムほど、音が大したことがないという現実を知りました。多分家も同じだと思っています。」
たしかに人間は、「自分の使っているものが一番で、他はダメ!」というところがあります。私自身もパッシブ設計はどうだとか、窓のつけ方はどうだという話をしています。好きな人は「やっぱりそうなんですね!」と聞いてくれますが、好きじゃない人には「そんなので変わらないよ。」と思われているかもしれません。
今やっているような家づくりを始めてから、今年で10年ぐらいになりますが、やっぱり初期の頃にはいろいろと言われました。「またわけのわからないことを始めたな。」とか「金稼ぎに忙しいんだろう。」とか、酷い時には「宗教っぽいな。」と言われたこともあります。そいうこともあるので、人間というのは誰しも同じかなという風に思います。
自己満足はしてもいいと思います。車でも、自分では「このホイールは違うな。」と思っても、女房からすると「何も変わらないんじゃないの?」ということはあります。ただ、まずい自己満足というのもあります。間違った方法で家づくりをしているのに、すごく納得してしまっているという状況はまずいですよね。また、以前にメルマガで書いた高級熱橋住宅の件も、参考にしていただくとわかりやすいかと思います。
3つ目のコメントです。以下の動画に対していただきました。
◼︎【注意喚起】発泡ウレタンは防湿シートが絶対に必要
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/uretan_sheet_hitsuyou/
「海外の施工例ですが、発泡ウレタンをスキンカットした後に防湿材を吹き付ける施工を見ました。素人目にはシートを貼るよりも楽に防湿できそうに思えるのですが、どのように思われますか?」
この動画を上げた頃の私は情報不足だったかもしれませんが、「発泡ウレタンの上に絶対に防湿シートを貼れ!」と言ったわけではなく、「こういう時には貼っておいた方が安全じゃないですか?」という意味でお話ししました。
海外の人は、日本人の発想とは違うことをやるので面白いです。楽にできる施工方法や道具を編み出すわけですが、私はそういう施工方法や道具を見ると「絶対に精度が悪いんだろうな。」と感じてしまいます。例えばドアは、ドアの枠とドアの間に隙間がないと開きません。その隙間が、上の方は5mm、下の方は1cmという感じだったら、どうでしょうか?日本人だと「何だよこれ!」と思う人が多いはずです。でも、あくまでもちゃんと開きはするわけです。海外の家というのはそんな感じです。
私は若い時に、海外の住宅視察に行ったことがあります。今は違うのかもしれませんが、見た時の衝撃は今でも覚えています。いい映画のセットという感じで、隙間なんて統一されていませんでした。ただ、機能に関しては全く問題はないわけです。日本人だったら「均一でなければおかしくない?」と思うはずなので、やっぱり海外の人とは感覚が違いますよね。
今の家づくりをする前の話ですが、引き渡し後にお客さんから「ちょっと気になるところがあるんです。」と言われたことがありました。「ドアとドア枠の隙間を測ったら上と下で2mm違うんですが、曲がっていませんか?」とのことだったんですが、「木ですから、曲がっていて当然です。」という感じでした。
既製品のドアを使っても、そういうことはあります。でもそのお客さんは「違うじゃないか!」と言ってきました。無垢の家なんて絶対に無理ですよね。さすがに今のところは「無垢床を定規で測ったら、反り方が違う。」と言ってきた人はいませんが、日本人的な感覚とはかなり違うかなと思います。
発泡ウレタンをスキンカットするのは、人間で言ったら皮がなくなるのと同じ感じです。発泡ウレタンには100倍・120倍のものもあるので、そういうものを使うと、湿気がどんどん断熱材の中を通過しやすくなってしまいます。また、外側の面材がOSB合板だったり、ベニヤやノボパンだったりすると、湿気は抜けづらくなります。仮に湿気が抜けやすい合板だったとしても、その外にある通気層がちゃんと機能していなければ、結局はなかなか抜けなくなります。なので、不用意に水分を通過させない方がいいというのが、プラスチック断熱材の考え方なわけです。
グラスウールはガラスですから、湿気を含みません。そのため、内側に気密シートを貼って通過させないようにしながら、外と中の圧力差を利用する方法もありますが、海外の方は、ペンキを塗ってカバーするという方法を取るわけです。スプレーでビューッとやって、湿気が入らないようにガチガチにバリアしちゃった方が、シートをパンパン貼るよりもいいと考えているからです。たしかにそれは一理ありますよね。
ただ問題は、使っている塗料がどのくらい持つのかということです。壁の中は夏になるとすごく暑くなったりするじゃないですか。断熱性能にもよりますが、いろんな変化がある中で、スプレーで吹いた表面の塗料がずっと維持できるのかどうかというと、わかりませんよね。また、その人の腕前によるところもあるわけなので、目に見える形でシートを貼って、壁のボードで押さえちゃった方が確実なんじゃないかなという感じがします。
話を戻します。発泡ウレタンを切ることによって水分が通過しやすくなるわけですが、抜けるかどうかは、「発泡ウレタンは防湿シートが絶対に必要」ということとは全く別の話です。発泡ウレタンのメーカーさんは、切ったとしても「ちゃんと湿気が抜けます。」とか「問題ございません。」と言うはずです。それしか言いようがないですよね。
当社はセルロースファイバーを使っていますが、メーカーさんによっては「無結露20年保証です。」と言います。ただ、それはあくまでもセルロースファイバー単体のことを言っているわけです。なので、セルロースファイバーと構造用合板の間で結露を起こしても、保証はしてくれません。でも消費者の方は、壁の中全部が結露しないと考える人が多いと思います。
この辺りは、言葉のやり取りや理解の仕方によるところもありますが、トラブルになっているケースが多いと聞いたことがあります。構造用合板が結露しちゃってメーカーさんに問い合わせたけど、「それは当社の問題じゃないですよね?」と言われてしまった人もいるみたいです。あまり詳しく言ってしまうとまずいですが、いろんなことを考えながら施工した方がいいんじゃないかという気がします。