https://youtu.be/wvC6wEfZ_nA
最近また建築コストが上がってきました。木材関係は上がったわけじゃないですけど、今年の春から窓の金額が上がるという話を聞いています。あとは設備器具ですね。ユニットバスや洗面台、お風呂関係、食器収納などの既製品も、今年の春からメーカーさんによっては10%くらい上がると聞きました。もう上がっていくしかないのかな、という感じもします。
逆説的ですけど、よく大工さんと話すのは、そのうち造作の方が安くなるんじゃないか、ということです。既製品のいいキッチンを買うくらいなら、造作の方が安いという時代が来るんじゃないかと思っています。事実として、造作のキッチンや食器収納、洗面台の方が長持ちはします。すごく高いステンレスのキッチンもいいんですけど、そういうキッチンはますます値上がりしていますから、価格と性能のバランスを考えると、当初からお客さんに作らせていただいているような造作のキッチンや洗面台の方が、コスト削減になってくるんじゃないかと感じています。
キッチンやユニットバス以外でも、断熱材や透湿防水シート、金属関係も上がってきています。毎年のように上がってきていますし、あとは今コンクリートがすごいです。生コン業者さんはドライバーさんがそもそも少ないので、仕方がないところもあるんですけど、生コンは出している会社さんの数が少ないんです。地域によっては2〜3社しかありません。結局、そこで価格のカルテルを結んでいるかどうかはわからないけど、ある程度の価格を決められちゃうと、買わざるを得ない。生コンは現場から何キロ以内のところから買わないと固まっちゃうということがあるので、現場から半径何キロ以内の生コン屋さんから買うことになります。そうすると、何を言われても買わざるを得なくなる。うちの基礎屋さんも言っていますけど、半年ごとに値上げされて、しかも一方的にFAXが来るだけなんだそうです。なおかつ、さっき言ったようにドライバーさんが少ないから、そもそも出ないんです。
駐車場が土間コンクリートの場合は、朝一で土間を流して、金鏝でしごいて、夕方までに仕上げる必要があります。その後に雨が降ったり、冬で気温が下がったりしても、そこで一回しごいて水分をある程度飛ばしておけば、夜にコンクリートの中の水分が凍ってボロボロになるようなことは防げます。なので本当に朝一で打って、なるべく早くやる。あとは強度を上げて水分を飛ばすようなこともします。でもそれが、その日だと午後一が精一杯です、と言われちゃうんです。午後一というのは午後1時ですね。昼飯を食ったらすぐ、という感じです。でも午後1時に打つと間に合わないんです。夏だったら大丈夫ですけど、冬はもう朝一じゃないと厳しい。それを取ろうとして、朝一だったらいつ出るんですかと聞いて、1週間先ですなんて言われちゃったら、工程が狂っちゃうじゃないですか。
この前、基礎屋さんから泣きが入って、工程を伸ばしてくれませんかと言われました。今までは基礎着工から上棟まで1ヶ月あって、基礎工事が終わって第三者機関のチェックを受けて、上棟するまでに1週間くらい余裕があり、その間にコンクリートを固めるという感じでできていました。それが今の状態だと入らない場合があるから、4週じゃなくて5週、地域によっては6週に伸ばしてもらいたいという相談が来ます。それは仕方ないと思います。ただ、他の会社さんだと、基礎工事に4週ももらっていないじゃないですか、という話にもなります。下手すると建売だと、基礎工事を2週間くらいで終わらせてしまうこともありますからね。2週間で基礎を終わらせて、大工さんが1ヶ月で終わらせて、仕上げで2週間やって、外構をやって、トータルで3ヶ月かからなかった、なんていう建売もあります。そういうところはどうするのかと基礎屋さんに聞いたら、何でも打っているとのことでした。冬でも午後から打つそうです。
変な話ですけど、冷えちゃったらコンクリートの中の水分が固まるので、ひびが入ると思います。ひびが入ってボロボロになったら、剥がして鉄筋を見せて、高強度コンクリートか何かを打つという方法もありますけど、そんなことをしたら余計に遅れるし、コストもかかります。左官で塗って仕上げちゃえば、見た目ではわからなくなりますよね。だから、そういうことも行われているんじゃないかと想像してしまいます。コストの問題だけじゃなくて、職人さんから情報をもらうと、そういうところも変えていかなきゃいけないなと思います。当然、コストを上げなくちゃいけない部分は上げるんですけど、時間軸というのかな、そういうところも考えていかないといけない。
時間軸といえば、みなさんもご存知かもしれませんが、場所によっては建築確認申請にすごく時間がかかります。当社は埼玉県でも群馬県でも、栃木県の一部でも施工をさせてもらっています。群馬県や栃木県は、市の建築課が確認申請を受け付けてくれるので、比較的早く出してくれるケースが多く、かかっても1ヶ月くらいです。それが埼玉県になると、行政機関があまりやりたがらないので、民間の確認申請をチェックする機関に出してくださいと、安易に言われてしまいます。受けてもいいけど、すごく時間がかかる、という感じです。2年くらい前に、ある埼玉県の市に行ったらそう言われたので、正直びっくりしました。やりたくない、という雰囲気も出ていました。都市部は民間なんでしょうね。そうなると民間の方に流されますけど、民間といっても、正直とんでもなく人がいるわけじゃありません。人を雇いすぎると、仕事がない時に困るから、なるべく少ない人数で回さなきゃいけない。しかも、民間機関といってもそんなにたくさんあるわけじゃない。役所の仕事を代理でやっている機関なので、それなりのところじゃないとまずいわけです。そうなると、この辺だとあそこに出すしかない、という感じになって、そこに集中します。
この前、うちがいつも依頼している設計士さんに聞いてみてもらったら、60件以上待ちでした。仮に1日で1件審査を終わらせても60日、でも休みがあります。民間でも土日は休みなので、月の実動は20日くらい。月20日勤務で60件なら、3ヶ月かかるじゃないですか。あとは向こうが頑張って、1日1件じゃなくて2件やってくれれば進みますけど、そもそも1日で全部見るわけじゃないんです。書類が山ほどあるから、本当は1件見るのに、すごく頑張っても1週間とか10日かかる。それを平均すると1日1件、みたいな感覚になる。そんな感じなので、都市部はすごく大変だと聞きます。
長期優良住宅になると、さらに複雑な申請になります。申請するのにまず時間がかかるし、お金もかかる。申請が下りないと何もできない状態です。メルマガでも書きましたけど、長期優良住宅は本当に得なのか、という話です。これは私のネタじゃなくて、ある設計事務所の所長さんがChatGPTに聞いたら、現状として長期優良住宅にするメリットは、ほぼないんじゃないかという答えだったそうです。土地がいくらで、家がいくらで、住宅ローンを借りるとして、長期優良住宅の申請に時間がかかるとなると、長期優良住宅で家を建てること自体が、マイナスになる場合もあるんじゃないか、という話でした。私もそんな感じはします。
私が補足で加えたのは、長期優良住宅は申請にお金がかかるということと、定期報告という義務があることです。たしか30年以上の間に、10年ごとに最低3回は定期報告をしなきゃいけない。これをやらないと違反になって、取り消しになるかもしれないし、場合によっては税金の減免分を払えと言われることもあります。定期報告は施主さん自身でもできなくはないですけど、なかなか難しいので、結局は住宅会社さんや民間の設計事務所さんに頼むことになります。金額は場所によって違いますけど、安くても3万円、一般的には5万円くらい取ると聞いたことがあります。
インフレの中で値上がりしていったら、30年後にまた5万円ということはないと思います。今が5万円なら、10年後も5万円、20年後は7万円、30年後はもしかしたら10万円くらいかかるかもしれない。これまでのデフレの時代ならあり得たかもしれませんけど、今はインフレなので、3回で25万円かかるということもあり得ます。そうなると、最初にもらった税金の削減分を考えても、トータルでは赤字になる可能性がある。だからといって長期優良住宅が悪いわけじゃないですけど、建築的な視点で見ると、長期優良住宅は必ずしもいい家だとは思いません。長期優良住宅という名前に適応していない家が多い、という感じがします。
長期優良住宅の認定以上のものを作っている会社さんもありますけど、ほとんどの家は、基準をクリアすればいいという考え方になっています。国が定めた基準をちょっと出ればいいだけで、ギリギリの人もいれば、少し余裕を持って出る人もいる。施主さんが喜ぶのは補助金をたくさんもらえる方ですけど、これが現状です。こういう制度を国が作った以上仕方ないんですけど、長い目で見ると、長期優良住宅の基準は統合されていっています。去年から始まった断熱等級6なども明確になっています。断熱やエネルギーの部分は、CO2やエネルギーコストの問題があるから、強烈にやらなきゃいけない。一方で耐震については、去年の4月に多少変わったとはいえ、正直そんなに変わっていません。
構造計算の方法は3種類あって、どれを使ってもいい。一番厳しいものを使わなくても、一番優しいものでも問題ない。なので、その一番優しい計算で耐震等級3と言っている住宅会社さんもあります。メルマガでは解説していますが、これが現状です。私は恐怖心を煽って耐震性能を上げるような戦術は使いませんけど、プロ目線で見ると、一番甘い計算で作った家は、基礎を見てもやっぱりおかしいと感じます。こういう間取りにしなきゃまずいんじゃないの、というのがある。あまり変わったことをしちゃいけない。総2階にしましょう、壁をそろえましょう、でかい窓はやめましょう、というふうにして、甘い分を担保する必要がある。
それなのに、その甘い計算で、驚くかもしれませんが、みたいな家を作っている会社さんも多い。逆に言うと、ああいう家はその基準じゃないと成り立たないんじゃないかと思います。一番厳しい構造計算をしたら、エラーだらけで無理なんじゃないか、梁がかけられない、鉄骨じゃないと無理、木造ではその強度に耐えられる材がない、というレベルになります。これは許容応力度計算といって、かなり厳しいものです。私は自分ではやらず、外注の専門家にお願いしています。その結果を見たり、相談を受けたりすると、間取りをもう少し変えた方がいいとか、安全性が高くなるとか、そういうことを本当に日頃感じます。
その一方で、InstagramやFacebookの動画で、すごい吹き抜けをバーンと見せて、梁が全然ない家を見ると、これどうするんだろうと思います。モノコック構造にも見えないし、もしそうだったらコストが跳ね上がるので、ローコストでは無理でしょう。どの計算をしているかはわかりませんけど、これで何とかチェックしただけなんじゃないかと、薄々想像してしまいます。
暖かい寒いというのは、消費者の方でも感じられますけど、構造はほぼわからない。実務者だってわからない人が多いです。だから選んだ住宅会社さんに任せるしかない。構造が甘い家は劣化も早い。今度26歳の方の家を建てさせていただきますけど、26歳なら60年、70年住む可能性があります。その間に何も起きないというのは、確率論としてなかなかあり得ない。そう考えると、怖いなと思います。
ただ、こういう話をしても、私のYouTubeを見ている人はごく少数ですし、温度差もあります。同じ話を聞いても、大丈夫じゃないのと思う人の方が多いと思います。楽な方に行くのが人間ですし、頭を使わない方向に行くのは本能です。家づくりを本気で勉強する人は、いろいろ見すぎて疲れたとか、ようやくわかったと言う人もいますけど、もしかしたら情報を入れすぎているのかもしれません。基本原則を勉強した人は、チェックするポイントが絞られて、シンプルになります。
地元には、ちゃんとやっている工務店さんは必ずいると思います。県内に一つもないということはない。見つからないとしたら、見つけ方の問題かもしれません。その会社に行けば建ててくれると思いますし、あとは予算が合うかどうかですね。
今日は雑談みたいになりましたけど、今はコストが全体的に上がっています。この前聞いた話だと、某大手ハウスメーカーさんでは坪200万円、35坪で7000万円だそうです。正直、そんな家を買える人は多くないですよね。だから住宅以外に横展開している、という話も聞きます。営業マンさんのインセンティブも、契約金額の2〜5%と言われていますけど、なかなか厳しい。インセンティブ営業は基本給が安いので、続かなくて辞めてしまう人も多いです。
御社はいくらですかと聞かれたら、モデルハウスに来た方にはちゃんとお伝えしています。ただ、去年多かったのが、予算が合わないのに見学に来るケースです。正直、商売なので、予算が合わない前提で来られて、長時間質問されるのは困ってしまいます。なので最近は、ホームページに予算を載せて、注意喚起しています。それでも理解せずに来られる方はいます。予算感を知った上で見学に来ていただいた方が、お互い時間の無駄になりません。
予算と合わないものを見続けると、目だけが肥えてしまって、無理なローンを組んでしまったり、外構ができなかったり、バランスが崩れます。物事はバランスです。そういうところも考えながら、見学に来ていただきたいと思います。
実際、当社の家はいくらくらいかかるのかというと、一番変わるのは造作です。造作キッチンや食器収納をやるかどうか。既製品にすれば安くなりますけど、若い方ほど造作を選ぶ傾向があります。長持ちしますし、交換も部分的で済むからです。造作にお金をかける方だと、200万円くらいかかる人もいますし、少ない人で30〜40万円、多い人で100万円以上というケースもあります。
35坪の家を建てると、外構まではなかなか難しい場合もあります。土地の広さや条件、水道や下水、電気の引き込みなどで金額は変わりますけど、ざっくり写真に載せているような家で、坪単価120〜130万円が一つのラインだと思ってください。条件が良ければ下がりますけど、坪100万円は正直難しいです。去年は坪100万円で全部やりたいという方も多かったですが、今の時代では厳しいと思います。



