今回は、私の配信しているメルマガに対する質問を紹介します。
早速ですが、nobandさんという方から質問をいただきました。この方の家は既にできあがっているはずですが、今住んでいる家の感想などを送ってくれています。私はこの方の家を実際に見たことはありませんが、写真を送っていただいたので、何となくイメージはできます。場所的に日射取得を取りにくいため、その分UA値を下げて、吹き抜けをつけて、エアコンで空調しているみたいです。床下エアコンは採用しなかったそうですが、もしかしたら工務店さんが床下エアコンをやっておらず、床断熱をやられたのかもしれません。
「お世話になります。床下エアコンに憧れていましたが、床がそもそも冷たくなく、寒さを感じる期間が短いため、床下エアコンがなくてもいいかなという気がしなくもないです。まだ1回しか冬を越していないのではっきりとはわからないですが、むしろオーバーヒートにならないような日射コントロールの重要性を感じました」
床下エアコンは絶対になくてはいけないわけではありません。ではなぜ当社は床下エアコンをつけているのかというと、床下エアコンをモデルハウスで使っていると心地がいいからです。日射取得ができる場所であるため、UA値をそんなに下げる必要もないし、夏の湿度コントロールもしやすくなります。5地域や6地域の場合、G2〜2.5ぐらいを基準にして、冬であれば日射取得で家を暖めます。そうは言っても、群馬県は-4℃になることもあり、一時ゴーンと寒くなることもあり得ます。温暖化が進んでいて寒くはならないんだから、床下エアコンはいらないんじゃないか、場合によっては日射取得はしない方がいいんじゃないかという考えもありますが、場所によってはそういう考えが通用しないこともあります。
難しいのが、温暖化がずっと続くのかどうかはわからないということです。確信はありませんが、2030年ぐらいには温暖化がストップするんじゃないかという話もあったりします。また、温暖化が進んでいることによって、暑さに慣れたということもあります。逆に言うと、ちょっとの寒さですごく寒く感じることもあったりします。
この動画は当社のモデルハウスではなく、東京の会議室で撮影をしています。まだそんなに寒い時期ではないですが、東京にはよく外国の方が来ますよね。例えば、「この方はアフリカの方から来たのかな?」という感じの方は、すごく寒そうな格好をしています。温暖化には慣れているけど、寒さに対しては弱くなっていると考えると、温暖化したからといって、日射取得がいらないわけではない気がします。
メルマガでは何度も言っていますが、夏場の適度な日射取得によって、湿度コントロールが簡単にできたりします。UA値を下げすぎると、夏の湿度コントロールが難しくなるということは本当にあるので、HEAT20でG3というのはすごいかもしれないけど、夏に室温を22℃ぐらいまで下げないと湿度が50%にならない家もあります。湿度が55%で、室温が22℃という家は、夏場は入った瞬間からすごく冷えていていいのですが、底冷えしちゃうのでずっと半袖ではいられません。特に女性の方は絶対に無理だと思います。
「人間は湿度を感じる器官がない」と医学的には言われていますが、そうは言ってもアジア系の人は、アメリカ人と違って湿度に対して感覚が敏感ということが、事実としてあるらしいです。温度が多少高くても、湿度が下がっているところの方が快適という感覚はありますよね。そう考えると温度も大事だけど、湿度というものも人間にとっては大事なものだと思います。この辺りは人それぞれなので何とも言えませんが、そういうこともあるんだと知識として覚えていただければと思います。
次ですが、「オススメできる制振装置」という動画についてです。その制振装置というのは、制振テープという商品です。ただのテープに見えますが、私はなかなかいい商品だと思っています。以前メルマガで紹介しましたが、コスト削減のために本数を減らしたという制振装置がありました。元々6本必要な商品だったのに、コストなどを見直した結果、4本で可能になりましたということでした。6本でも少ないのに4本でも可能だなんて、すごく負担がかかるんじゃないの?と思ってしまいます。コスト削減ができて金額的にはいいのかもしれないけど、きちんと作動するようには思えませんよね。
例えば、20坪ぐらいの総2階建てで、1階と2階の壁の位置が全部揃っているような小さな家があるとします。そういう家だったら、4本であっても動きが単純化するだろうし、重心もそんなにズレないだろうと思います。でも、そういう家とは全然違う家で4本にしてしまうのは、まずいです。あくまでも「こういう場合は4本ですよ」という宣伝なんだとは思いますが、「4本でいいと言ったじゃないか!」とお客さんに言われてしまうことになりかねません。
nobandさんは制振に対して興味があり、いろんなことを調べているみたいです。メーカーに連絡をして話を聞いたとか、資料を貰ったということを教えてくれます。下手したら私よりも詳しいかもしれません。素人の方が興味を持つと、もはやプロですね。その中で、「あるメーカーさんがツーバイ用の制振装置を出したんだけど、あれは意味がないですね。変位が小さいから尚のこと効きが弱い。」とのコメントをいただきました。
制振装置は変位が小さいと全然効かないし、変位が大きすぎると揺れまくるので難しいです。ましてや、その家自体が構造計算をしているのかどうかや、間取りの問題もあります。構造計算1つ取っても、許容応力度計算もあるし、壁量計算もあります。それなのに制振装置だけで何とかしようというのはおかしいですよね。
そういう中で、制振テープというものが何でいいのかということですが、制振テープをつける前にその家自体の構造計算をして、耐震パネルを貼ることが前提になるからです。耐震パネルと躯体の間にテープを貼って、その上にパネルを貼ってビスを打ちます。そうすると揺れた時に、制振テープがパネルと躯体の間でダンパーみたいな役割をしてくれます。また、建物全体で粘ってくれるので、力が分散されます。ちゃんとしたものに対してこういうものを補助でつけましょう、それも満遍なくつけることによってこういう風なことを制御しましょうという感じになります。
当社の場合は、外側で取りつつ中でも取っていますが、外側で気密を取れば安定するということがあります。制振テープではないけど、テーピングを外側にすることで気密を取っています。お客さんが制振テープにしたいと言った場合には、今貼っているテープを制振テープに変えるだけなので、手間は全く変わりません。材料を変えるだけで済んでしまいます。コスパもすごくいいのですが、制振テープは特殊なため価格が高いというのはあります。ただ、耐震性は上がりますし、気密も取れるのでオススメです。
次もnobandさんからのコメントです。
「お世話になります。元大工系工務店はダメですよね。全部とは言えないですが、構造計画がボロボロ、外周の壁量で充分つよい家になるとか、Q値もC値もよくわかってないみたいな」
当社ではあまり分譲地で現場はやりませんが、以前久しぶりにやったことがありました。大手ハウスメーカーさんなんかはよく分譲地でやっているので、現場を見てみたら、本当にすごいなと思ってしまいました。まず、基礎がおかしい家。普通は基礎と一体で作って、その上に島を載っけなきゃいけないのに、別々になっていました。普通はあり得ないし、構造計算をしていないのが見え見えです。あとは、通気しないんだろうなという家。入口も出口もどこにあるのかわからないような家は、通気しないですよね。また、軒ゼロぺったんこなのに雪止めがついている家。雪が滑ってくることはないような勾配と長さの屋根に雪止めをつけても無駄だし、落ち葉が引っかかることになると思います。
そういうのを見ると、現場監督は現場を見ていないということがわかってしまうし、もっと言うと、設計の方もそこまで見ていないんだなということもわかってしまいます。間取りを書くとか、このタイルがお洒落だとか、このクロスがいいとか、このキッチンがいいということは、消費者の方にとってもすごくわかりやすい部分ですが、屋根の上とか、壁の中とか、通気といった部分は、消費者の方には見えないため、職人さんに全てお任せすることになります。ただその職人さんも、つけるというルールだからつけただけで、これをつけても意味がないと思いながらつけている場合もあります。
当社の屋根屋さんの社長さんは、こっちが立面図を書いて送ると、「今回の屋根の形と大きさだと大雨が降った時に樋が危険なので、ワンサイズアップしていただくなどしてください。」という風に言ってくれる方です。そのような方は少なく、おそらく普通は書いた通りの大きさのものしかつけないと思います。そういうところも、ちょっと見ただけで感じるところもあったりします。
次は、「間取りを自分で書くメリット・デメリット」という動画についてです。時々、自分で間取りを書いて来られるお客様がいますが、別に悪いことではありません。ただ、その間取りを参考に私がリライトをさせていただくんですが、構造的にアウトであることが多いです。動線は比較的上手く書けていても、温熱系、耐震、窓の付け方などについては難しいと思います。平屋だったらまだしも、2階建ての家だとそこまで考えて間取りを書く人は少ないです。最近はフリーソフトで作れるんでしょうけど、そういうところまで含めて書いて来られる方は皆無です。ちなみに住宅会社さんが書いた間取りでも、何でこんな窓なの?などと思うことはあります。
土地を決めずに間取りを書いて、いざ土地を探したら、そもそも作れないというケースもあったりします。間取りを書くのは楽しいかもしれないけど、はっきり言って時間の無駄ですよね。土地が決まっていなくても無料で間取りを書いてくれる会社はあるし、自分で間取りを書ける人もいるけど、私がよくお客さんに言うのは「まずは土地を決める」ということです。自分の必要条件を書いていくのは構いませんが、間取りのように具体性のあるものを先に書きすぎるのは、良くないと思います。私の知り合いの住宅会社さんの設計士さんでも、そのような理由で、お客さんが間取りを書くのを禁止にしている人もいるくらいなので、ぜひ参考にしていただければと思います。