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ホーム > ブログ > YouTube > ①蓄電池が合う家と合わない家②一条工務店の樹脂窓がペアガラスだった③寒冷地は基礎断熱と床下断熱どちらが良いか?④寒冷地で3種換気を使う理由⑤軒ゼロぺったんこ屋根が厳しい理由
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 | 2024.01.10

①蓄電池が合う家と合わない家②一条工務店の樹脂窓がペアガラスだった③寒冷地は基礎断熱と床下断熱どちらが良いか?④寒冷地で3種換気を使う理由⑤軒ゼロぺったんこ屋根が厳しい理由

今回は質問コーナーです。
早速ですが、意外とこの質問は多いんです。

「共働きの方は昼間は家にいないから電気を自家消費しないですよね。そのような場合でも、太陽光をつけた方がいいですか?」という質問です。

太陽光は、日中に晴れてたら発電して電気を作るものです。夜になって暗くなったら発電しません。今すごく電気が高いから、いかにそれを日中晴れた時に使って買わないようにするかがエネルギーコストを削減するという風に言われてるじゃないですか。その一番効率的な方法が蓄電池なんです。蓄電池をつけて電気を貯めて夜になったらそれを使うというのは一番効率的でいいですよね。

ただネックなのが、これは恐ろしく高いので、購入してつけたとしてもなかなか計算上、割に合わないケースがあります。例えば、うちなんかが建ててるような家を高性能住宅としましょう。冬であれば、日射取得で家の中が暖まるその暖まった熱を夜まで保存して、地域にもよるけど場合によっては無暖房でも朝まで引っ張れたりする。夏は日中に、うちなんかは屋根裏エアコンで家の中を全部空調します。夏は昼間の方が暑いので、太陽光発電をつけてたらそんなに電気代は食わないはずです。こういう家で年間のエネルギーコストを計算すると、蓄電池への投資効果が全く割に合わなくて、全然ペイできない。極端な話ですが、これをつけずにどうしても足りなくなった時には、東京電力で買った方が安いということになっちゃう。

蓄電池をつけて割に合う家というのは、すごく燃費の悪い家なのかもしれません。日射取得もせず、家の中も暖めず、エアコンをつけてもなかなか効かない家。それだったら蓄電池をつけていいと思うけど、高性能住宅で蓄電池というのは割に合わないので、私は蓄電池を1回もつけたことがないです。一条さんなんかはつけてますよね。

一条さんもいろいろあるみたいです。夏は意外にきついみたいですね。家のUA値で言うところの性能はたしかにいいんでしょうけど、住み心地という部分で考えると、ちょっと難がある家もあるらしいです。それから一条さんは家の設計が変わってる感じがします。昔はセオリーがあった感じがするけど、最近この辺に一条さんが建てた家を見ると西面や北面にでかい窓をつけてたりしてるから、お客さんの言うことをどんどん営業さんが聞いちゃって自由にやっちゃってるんですかね。

いくらトリプルガラスを使ってても、あれだとなかなか難しいと思います。あとはちょっと聞いたのが、今、一条さんではトリプルガラスじゃない家もあるみたいです。ペアガラスも選べるらしいです。全部トリプルというイメージだったので、びっくりしました。予算がないお客さんの場合はペアにするらしいです。ペアにして、さらにお客さんの要望を聞いて西や北にでかい窓が欲しいなどの要望を叶えるとなると、間違いなく住み心地的には違う方向に行っちゃうかなという感じはします。人のことは置いときますが、いずれにしてもいろんな家があります。

蓄熱というのは、メルマガか何かでも書きましたけど、今の私の中で1つのテーマなんです。温暖化対策の中で蓄熱というのは1つのキーワードになるような気がします。この蓄熱に効くものはいろいろあって、その1つがうちなんかも一応やってるセルロースファイバーです。セルロースファイバーを屋根断熱で使って、すごく厚く吹くことで夏の暑さを緩和して蓄熱させる方法もあるし、あとは冬の屋根は特にガルバリウムなんかの場合、放射冷却と言ってすごく冷えるので熱を吸い取らないようにしていくのも蓄熱の方法の1つという考え方もあります。

あとはよくやるのが基礎断熱と床断熱。どっちがいいのかというと、UA値計算上で言っちゃうと基礎断熱よりも床断熱の方が数値はよくなるんです。なぜかというと、基礎断熱というのは床下までを部屋として考えるから面積が増えるというのもあるし、冷暖房をするにしても容積が増えます。なので床断熱にした方が容積を減らせますからエネルギー効率としては絶対いいはずだからです。

ただマイナス面もあります。軽井沢の冬はすごく寒いって知ってますか?下手すると北海道と同じぐらい寒いんです。寒いということは床断熱にして部屋の容積を小さくした方が暖房効率がいいように見えるけど、基礎断熱にした方がいいという話があります。つまり容積を増やす方がいい。なぜかというと、配管問題があるからなんです。

例えば床断熱にしたら給水管・排水管が床下を通ります。そうするとそれが凍っちゃうという問題が出てくるそうです。そうするとその凍っちゃう問題の対策として保温だけじゃ間に合わないのでヒーターとかを巻くそうです。要はヒーターで暖める。そうするとヒーターの電気代がすごいそうなんです。それだったら基礎断熱にしちゃって配管を部屋の中に置いちゃう。断熱をした部屋の中に置いちゃってエアコン・灯油ストーブを使った方がランニングコストが安いんです。だから寒いところは単純にそこだけでは語れないところもあるんです。

基礎断熱の場合は気流止めをやらなくてもOKになっちゃうし、そもそも気密を取れるから外の冷たい空気は入らないけど、床断熱の場合は床下に冷たい空気が入ってくるので、床の断熱・気密をかなりしっかりやっておかないと冷気が上に来ちゃうということがあったりするので、気流止めは当然必須です。ここは難しいですよね。

あとは換気について第一種換気か第三種換気かという議論です。一般的には第一種換気の方が熱交換換気だからものすごく効率がいいと言われます。第一種換気をつけると夏に涼しくて冬に暖かいみたいなことを言う人がいますが、そんなことは全くないし、換気だけでそうなることはないです。

ただ第一種換気の方が住み心地がよくなるし、熱交換ということは室内と室外の温度差があればあるほど交換率が高くなりますから効率的です。外が20°C・中が21°Cの状態で熱交換してもほとんど意味がない。すごく外が寒くてすごく中が暖かいとか、すごく外が暑くてすごく中が涼しければ熱交換率が高くなるけど、同じ気温だったら熱交換しても意味がないというように、第一種換気が効果を表す条件というのはあります。

さっきの軽井沢であれば北海道並みにすごく寒いから第一種換気の方がいい感じがするじゃないですか。でも実際に軽井沢ではあえて第一種換気じゃなくて第三種換気を使ってる方もいるし、北海道に住む方の中にも第一種換気じゃなくて自然温度差換気(パッシブ換気)をしてる方もいます。それでもそのお家はすごく燃費が悪いわけでもないし、住み心地も悪くない。その理由は何なんだというと、これについては今度メルマガで書いてみたいと思います。

こんなコメントもいただきました。

「瓦屋根も蓄熱すると聞きますが、夏の夜に室内に放熱されて暑くなりますか?積水ハウスで計画中の家ではセルロースファイバー300mmの天井断熱になる予定です。これがバッファーになって暑さの問題はなくなりますでしょうか?」

瓦屋根といっても、いろいろあるんですが、積水さんの瓦屋根は本瓦じゃなくてセメント瓦だと思います。セメント瓦は名前の通り、セメントを型に入れて固めて焼いた洋風な感じの瓦だと思いますが、本瓦という昔からある瓦はセメントじゃないんです。粘土って土ですよね、あれを固めて焼く感じ。あとはモニエル瓦というのもあって、それもセメント瓦と同じです。いずれにしれも、昔からある本物の粘土で作った瓦もあれば、セメント柄というものもある。その中でコンクリート瓦だったら蓄熱します。夏はかなり熱くなります、ガルバリウム程じゃないけど蓄熱します。それが夜に家の中に放出されて暑くなるということはあまりないと思います。

瓦屋根をやる場合は、屋根勾配といって屋根の傾きをきつくしなくちゃいけないというルールがあるんです。ガルバリウムだったら1.5寸・2寸勾配とか、私はそんなに低くはしませんが、2寸5分勾配ぐらいのフラット系にもできるので、瓦だと3寸5分とか、メーカーさんによっては4寸ぐらいですかね。積水さんも4寸ぐらいにしてる感じがします。そして傾けば傾くほど屋根裏の空間は広がります。ここに300mmのセルロースファイバーが入ってれば、蓄熱したとしても屋根裏の空間が大きいですから、なかなかこっちまで熱がこない。それがこっちを突き抜けてこっちに来ることはないので、瓦を使う時は意外にそんなには不利にならないかなという感じがします。

ガルバリウムを使ってフラット屋根にしちゃって真四角の軒ゼロ住宅にすると、屋根通気が取れないし、ぺったんこにしちゃってて天井裏がないのにそこに無理やりグラスウールを突っ込んでしまうと、恐ろしく暑いと思います。でも意外とそういう家はある。天井の高さがすごく高くなって空間があまりないために、断熱材が入るスペースがほとんどないから断熱材の厚みが全く稼げない。なおかつ空気の入り口も出口もない状態でお日様に照らされてここがガンガン暖められると熱がこっちに来てもここの空間が全くなくて排気もされないからどう考えても熱くしかならないんです。

冬はこれがパラペットに囲まれちゃって日が当たりにくくなってるから放射冷却ですごく冷えるわけです。そしてその冷たい熱がこっちに送られてくるとここの部分が薄いから頭が冷たい。それで家が寒くなって暖房をつけると加湿されて蒸気が上がっていくんだけど空気が出ないしここが冷たくなると結露が起こるじゃないですか。そして凍るわけです。染み出た瞬間こっちは北側で日が全くないところだからそこでこれが白くなって最後は氷になってっちゃう。これをずっとやってるとこの辺の野地板は下手するとダメになる感じがします。

これを止めるためには上昇気流を発生させないように窓をちゃんとするとか冷たい空気を入れないとか天井の気密を取るとか、考えるべきことはいくつもあります。既にその家に住んじゃってると難しいけどこういうことは目に見えてあるのでみなさんも気をつけていただきたいと思います。