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 | 2023.09.25

注文住宅だと思ったら建売住宅だった

今回は注文住宅だと思ったら建売住宅だったという話です。

私が住宅会社だとするじゃないですか。お客さんが注文住宅を建てたいと言って、うちの会社に来て打ち合わせをするんです。どんな間取りがいいですか?こんな間取りですと。ヒアリングをして、このくらいの金額でお願いします、わかりましたと。普通に打ち合わせをしたけど、この家は建売住宅だったという話です。意味がわからないでしょう?そのカラクリが、某会社から御社の注文住宅及び分譲住宅の請負建築を承りますというDMです。年間1万棟の実績がある当社で建築しませんかという具合です。

要は建売住宅屋さんが工務店の代わりに請負で建築してくれるというサービスができたんです。年間1万棟以上を供給していて、低価格化・安定供給を実現。住宅性能評価の5分野8項目を全棟で達成。企画プラン1500種以上、フリープラン対応可。これだけ見るといいことばかりですよね。1万棟もやってるってことは仕入れやすいから、うちみたいな年間10棟やってる会社なんかでは敵わないような仕入れをやってくれるのはすごくメリットじゃないですか。住宅性能評価でも全棟5つ星みたいなことをやっていて、企画プランが1500以上あって、フリープランもできるから、お宅の会社と全く同じことをうちの会社もやってるんです。どうですか?って話です。さらに一括請負だから、現場監督がいなくてもいい、現場管理もしてくれると。ただいろいろ言ってますが、建売住宅なんです。

今これだけコストが上がっちゃってるし、現場監督が辞めた・いないとかで、社長が現場監督をやることになっているような会社からしたら天使が舞い降りたという感じですよね。ただ、そもそもこの会社は当社の家を建てられるのかなと思ったんです。断熱・気密にこだわって測定して、杉板と言う無垢の床を貼って、珪藻土を塗って、そこまでできるのかな。できるかもしれないけど、年間1万棟ですからね。現場監督何人でまわしてるんだ?という話で、下手すると現場監督1人で50棟ぐらい見ることになります。1人で50棟も見てる会社の監督がちまちまと作業ができるのかなと疑問です。

あとは残念ながら、建売住宅を建てる大工さん・職人さんと、注文住宅を建てる職人さんは、やっぱり違います。気の使い方もまず違うし、こだわるところもや収め方も違う。早い・安い・うまいじゃないけど、そこに特化して、ずっと技を磨くということをやってる人が、面倒臭いことを時間をかけてやるのは難しいです。年間1万棟作れるという会社の職人さんを馬鹿にするわけじゃないけど、やっぱり何か問題が起こるんじゃないかなと思います。そういうのをわかっててやる分にはいいと思うけど、おそらくこういう会社に頼むところって、頼むことを公にはしないでしょうね。住宅業界はまだまだ、いろんなことを考える人がいるなと思いました。

自分がいる業界のことを悪く言いたくはないけど、やっぱり住宅業界というのは巨大ビジネスなんです。お金を生むものだし、あらゆる産業が住宅業界と絡んでますから、鉄・アルミ・ガラス・空調メーカーさん、あとは冷蔵庫や家具、あらゆる産業を網羅しているみたいなものです。木・コンクリート・鉄骨もですね。そういう巨大産業だからこそ、いろんな人が集まってくるし、金儲けについて考える人もいっぱいいるわけです。私だって金儲けについて考えていると言えば、そうなんだけど、そういうちょっと変わった業界なので、あまりにも甘い話には乗らない方がいいんじゃないかなという風に思います。

しかし、本当にびっくりしました。私が建築業界に入って30年以上経ちます。建売住宅の会社が、個人の住宅会社に、うちが請負います、現場管理から何まで全部任せてください、というのははっきり言って丸投げですよね。大手ハウスメーカーさんもやっていますが、施工代理店という代理店をちゃんと教育して、その会社の指示で全部作るから均一にはなっています。ここは何でもやりますという話だから、ちょっとびっくりしましたね。