今回は、私の配信させていただいたYouTubeに対するコメントをご紹介します。
「いつも楽しく拝見しております。スーパーウォール工法によるエアコンについて、コメントやメルマガでご質問させていただいた者です。小暮様に様々なご意見をいただき、お陰様で2月に引き渡しとなる予定です。年末年始が忙しく、ようやく自分の時間が取れたため、小暮様の年末年始の動画を一気見してしまいました。1点聞いてみたいのですが、最後の話題に上がっているお若いご夫婦のお宅の外壁は杉板でしょうか?外壁洗浄は杉板外壁でも定期的にすべきなのでしょうか?自邸も杉板なのですが、ネットの知識を見ると“外壁はできる限り濡らさないように”というような意見が多いです。杉板外壁のご経験豊富な小暮様のやってこられた事実を伺えればなと思い、不躾ながらご質問させていただきました。」
今はまだ春ですが、これからだんだん雨の日が増えてきます。そうすると外壁が常にびしょびしょに濡れている状態になるので、埃が吸着しやすくなります。夏だったらすぐに乾燥しますが、冬の時期や日が当たらない場所では、濡れた外壁はなかなか乾燥しません。なるべく乾燥した状態を維持するためには、濡らさない方がいいという理屈があります。
年に3〜4回ぐらい、車に水をかけて汚れを落とす感じで外壁を洗ってもらうのは、ものすごくいいことです。また、ユニットバスやキッチンの外壁についているフードからは油が出てくるので、そこの部分はカーシャンプーみたいなもので軽く洗ってあげると、綺麗な状態になっていいと思います。
真っ白な塗り壁仕上げや真っ白なサイディングのお家は、昔すごく流行りましたよね。ああいう家は白いのに、レンジフードから油が出たら、汚れが目立ってしまいます。なおかつ軒が出ていないとなると、放射冷却によって、北側の外壁が3年でグリーンになったり、レンジフードから出てきた油で焼けて黒くなったりしてしまいます。
メルマガでも言ったと思いますが、気密の悪い家は外の汚れが室内に入ってきます。それをトイレの換気扇だったり、各部屋についている換気扇だったりで対応しても、換気効率が悪いわけです。
キッチンの上についているレンジフードは、調理をした時に空中に粒となって浮遊する油を吸ってくれるものですが、油が吸着してベタベタと汚れてしまいます。そもそも油が吸着しないようなレンジフードの場合、ダクトがダイレクトに汚れてしまいますが、それを防ぐ綿みたいなものもあります。剥がせば新品のレンジフードが出てくるのでいいんですが、吸入量はすごく減ります。ましてや気密の悪い家だと、あらゆるところに臭いが広がります。
さらに、トイレや寝室の換気扇からも外に排気されると、換気扇の下がすごく汚れます。レンジフードとユニットバスだけでなく、他のところからもバンバン出るわけです。なので、絵のようなお家の中はかなり汚れているんだろうなと何となくわかります。やっぱり気密性能を上げて、お風呂で出た湿気や汚れはすぐに出して、他のところに持って行かないようにするということは、いろんな意味で必要だなと思います。
気密を高めると、冬は暖かくて夏は涼しいみたいなことを簡単に言う人がいるようです。たしかに中と外の空気が行き来しなくなりますが、それだけで家の中が暖かくなったり涼しくなったりすることはありません。結局は気密に加えて、断熱、空調計画、窓のつけ方、日射遮蔽・日射取得が大事だという話になってくるので、そこだけで語ってもしょうがないと思います。
昔ながらの大工さんなど、未だに気密否定派の方は一部いるみたいです。「あんなことをしたら家が腐っちゃう。」とか「家が湿気だらけになっちゃう。」と言う方がいますが、気密が悪い家でも腐ってしまうことはあるので、そこは話のレイヤーが違うと思います。家づくりというのはそういうのも含めて考えた方がいいかなと思います。
つい先日まではすごく寒くて、4月になっても雪が降っていましたが、それから2週間ぐらいで夏日が続くようになりました。なので今年の夏も、すごく暑くなるんじゃないかなと想像できます。これからは冬に暖かい家も当然必要ですが、夏に涼しい家というものを本気で考えなければいけないと思います。
夏に涼しい家を作るためには、高気密・高断熱というベースも必要ですが、空調計画や日射遮蔽、窓のつけ方という部分もしっかりやっていかなければなりません。これについては住宅会社の方も消費者の方も、意識していない方がほとんどです。特にハウスメーカーで家を建てる方は、間違いなく意識していないと思います。
道路があって、敷地があって、東西南北があるというのは絶対に変えられないことです。また、太陽の動きというのも決まっています。冬はあまり太陽は動きませんが、動いている間に日射取得をしてあげて、熱を家の中に十分に入れてあげれば、性能の高い家だったら暖まるという理屈があります。また、そのためには窓のつけ方をちゃんとするということも重要です。
春や秋は、長い時間太陽が動くし暖かいので、そんなに窓のつけ方に気をつけなくても問題はありませんが、夏は常にジリジリと太陽に照らされるので、南面と西面と北西面に窓がいっぱいあったら当然暑くなります。冬は逆に、その辺りに窓がないと寒くなってしまいます。
こういう自然の摂理を考えると、建物の向きや窓のつけ方に気をつけなければ暑い家になってしまうということがわかります。土地に対する太陽の方向は絶対に変えられないとか、冬は熱を入れなきゃ寒いとか、夏は西陽がすごく暑いということは、みなさんわかっていることだと思いますが、絵のようにプライバシーを守るために、つい自然の摂理に逆らった家を建ててしまうという現状もあります。
それは悪いことではありませんが、結果的に夏は暑くて冬は寒い家になってしまいます。家の性能を上げる、空調計画を頑張るという感じで、優先順位を考えながら家づくりができるといいと思います。
自然の摂理に逆らった家にするほど、性能は悪くなります。そういう家を見ると、ああいう窓は使わない方がいいとか、ああいうデザインにはしない方がいいと思ってしまいます。私のYouTubeを見ている方は性能が高い家を作りたいという方が多いと思いますが、何もわからず見た方がいらっしゃったとしたら、こういう原則があるということを知ってほしいです。
住宅会社さんは未だにこういうことを気にしないので、気をつけなければ暑い家になってしまいます。これから益々暑くなっていくので、本当に注意した方がいいかと思います。