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 | 2023.05.04

①施工中の現場に行くべき理由②住宅会社の施工レベルを簡単に知る方法③勾配天井は危ないのか④住宅雑誌が参考にならない理由⑤正しい気密測定のタイミング

今回は質問コーナーです。
まずはメルマガ読者の方からのご質問です。


「屋根は壁を傾けた物体である」 拝見させていただきました。小暮様が動画内でぶら下がっていらっしゃる木がいわゆる 「野縁」で、 半柱 ? とおっしゃっている木が「吊木」 になるのでしょうか?

そこに充填断熱をし、 最後室内側に気密シートを貼っていらっしゃると。傾斜している屋根面なので水平の天井や桁断熱よりも施工面積増えますし、 全て上向きで作業しなくてはならないため施工の難易度、 肉体的にも大変な作業なのではないか?と想像いたしました。

それに伴う初期コストは上がるでしょうが、気密ラインの内側に小屋裏や配線関係を収めることができるこの断熱方法は優秀な大工さんをお持ちの会社ではとてもメリットがありそうで素晴らしい設計だと思いました。壁内結露は瑕疵に含まれていなかったと思いますが、 一生住まわれるお施主様への配慮、 良い家を造りたいというチームの意識の高さが施工の美しさに出ていましたね。

動画を拝見していてふと思ったのは、 梁が全然見えない 「勾配天井」 という仕上がりはどうやって設計しているのか? です。梁を架けなければ構造的に地震力や偏心率などで不利になるので、 動画の小暮様の足場にあたる部分のように梁を廻らせて構造的に強くすると思うのです。勾配天井は意匠的には良くても構造的には無理をしている仕上がりなのでしょうか?それとも他の部分で強度や偏心率を補っているから無理していないのでしょうか?

というご質問です。

このメルマガの動画は、参考になったんじゃないかなと思います。その内容が、「屋根は壁を傾けた物体である」です。

当社ではセルロースファイバー、1立方メートルで55kgもあるようなものを屋根に吊るすということは、それなりの重量が掛かるわけですから、そのための下地があります。大工さんは大変です。ましてやこのお家は35〜36坪あるお家で、すごく屋根が大きいです。それをやっていくわけなので、根気がいります。

セルロースファイバーの吹き込みが終わったぐらいで、施主さんが現場にいらっしゃったので、入っていただきました。ちょうどその日は暑い日だったので、家に入った瞬間に奥さんが「うわ、涼しい!」と言っておられました。当然エアコンなんかついてないです。屋根断熱が終わっただけですよと言ったら、「こんなに涼しいんですか?」と。これが頭を守るという理屈ですね。

夏は何と言っても頭を守らないと、なかなか難しいです。そういう部分で言うと、屋根断熱というのが理にかなった工法と言えます。ましてやこれだけセルロースファイバーを300mmも吹くと、やっぱりすごく頭が涼しいです。家全体の頭が冷えるから、エアコンの効きも良いです。そういうのを体験してしまうと、すごく理にかなっているのがわかるんですよね。

あとは配線がしやすいです。断熱ラインは屋根に沿ってやります。屋根裏は部屋という考えでやっているから、天井にダウンライトとか照明の配線で穴を開けても全く気密に関係ないですよね。でもこれが仮に天井断熱だとします。仮に気密シートを貼った後に電気屋さんがきて穴を開けると、気密シートをバリバリ切るわけです。そこにダウンライトを付けちゃうと、その切った所って気密がなくなっちゃいますよね。それってちゃんと処理しているの?という視点で見ないといけません。

ちなみにこういうことをやる場合は、照明はなるべく貫通しないような照明やペンダントを使って、配線だけを出すようにするといいです。また、壁付けにすることもあります。壁付けでも壁の気密シートを切っちゃうけど、そこはテーピングをします。あとはそもそも天井にそんなに照明をいっぱい付けないとか工夫すれば、全然悪いわけじゃではないです。一番悪いのは何も考えずに、気密結果が良かったからといって安心して、後から来た電気屋さんは言われた通りに穴を開けて付けてはい終わりです、ということです。

次に瑕疵ですね。雨漏りは瑕疵になりますが、壁体内結露は瑕疵になりません。よく壁体内結露を起こして保険を使う場合は、雨漏りと言い切るというのがありますけどね。施工の美しさはすごく大事だと思います。あとは現場の美しさもそうですね、整理整頓。現場の美しさというのは中だけじゃなく外も重要です。外に置いてあるゴミ箱がゴミいっぱいとか、夏で言うと現場の中が草だらけだとか、あとは現場のバリケードをそもそもしてないだとか、トラックが出入りして泥が引っ張って前の公道が泥だらけになっているとか。申し訳ないけど、そこを見ただけでも「この会社はダメだな」と思った方がいいです。現場監督は多分、見に来ていません。

こういうのを全くやらないで本当に自由奔放にやっている住宅会社さんも、中小工務店には多いですけどね。私が見る限りは、地元でもそういう会社さんがいますけど。そういう会社さんが作っている家って、気密・断熱ということも全くやってないし、結露に対する対策もしてないんですよ。ただ意外にちょっと皮肉っぽいけど、女性にウケそうなオシャレな家を作っている会社ですね。

次に勾配天井ですね。別に梁は全て水平じゃなきゃいけないというルールはありません。架構というのを作って、所々に十字に切ったりします。それはやり方ですよね。勾配天井って基本的には梁は見せないです。偏心率とか強度的にも無理はしていないし、ちゃんとした計算はしていますからね。一番マズいのは、なんとなく勾配天井をしちゃうというのはマズです。あとはなんとなくこの辺にあればいいんだろうみたいなのはマズい。必ず理論的に計算された方が良いです。

では次です。

断熱材の使用用途は施工とコストによって使い分けですねと。研究熱心の工務店様でしたら色々とやり方を工夫されているんでしょうねと。最近、付加断熱にはネオマフォームが使われている話を耳にするんですが、そういった研究をされている工務店さんなのでしょうか、というコメントをいただきました。

気密・断熱・耐震性というのをそんなに気にしてない場所があるんでしょうかね。私は群馬県の太田市で商売をやっていますけど、私から見る限り、群馬県太田市でも多分そんな感じがします。群馬県太田市のこの周りで断熱・気密をものすごく大切にしていると言っている会社さんは、あくまでも私のイメージですが、うちぐらいじゃないかなと思います。

前橋や高崎だと、新住協の会員さんもいるし、栃木県に行くと聞いたことがあります。埼玉県はやっぱり都市部で大きいし、人口も多くてそれなりに工務店もあるから、ちょこちょこ聞いたことがあります。ただ群馬県の東毛辺りだと断熱・気密というのは聞いたことがないです。実際に窓メーカーさんなんかに聞いても「あまり聞かないですね」と言われたり、燃費計算ソフトの会社さんに聞いても「群馬県の東毛地域ではあまり使っている人がいないですね」と言われたり、「売れないですね」と聞いたことがあります。ホームズ君だったらいろんな所で売っているから、多少はもっと詳しく教えてくれるかもしれませんね。

なのでうちの会社も残念ながら群馬県太田市ではまったくウケないという現状です。年間に1棟・2棟ぐらいしかやってないです。多いのは高崎や前橋の方で、太田市から見ると都会という位置づけですね。また、埼玉県の方が工務店も多く、情報の取り方や世の中の流れを感じている方が多い印象です。

では次です。


いつもメルマガやYouTubeなどで勉強させていただいています。屋根断熱の動画を拝見しましたが、建築中の我が家ととても似ていて少し嬉しくなりました。通気層ありの2重野地板や屋根断熱の下地の組み方、セルロース300mmの吹き込み、可変透湿気密シートなど、ほとんど同じですね。少し違うなと思ったのは気密測定のタイミングです。私たちの家では壁と屋根の断熱工事前に行い、C値は0.3でした。これは工務店ごとにやり方が異なってくるのかなと思います。完成は初夏になりますので、夏の暑さが厳しい地域なので、どのくらい涼しさを感じられるか楽しみです。

このようなコメントをいただきました。

セルロースファイバーを300mm吹き込むと本当に頭を守れますので、涼しくなりますよ。また、空調計画や日射遮蔽なども問題になりますが、二重屋根をやっている会社さんはいろいろとこだわっていると思いますので、良いと思います。気密測定のタイミングは難しいですね。私はあくまでも断熱工事をしてシートをちゃんと貼った上で行っていますが、この会社さんは外のパネルを全部張ってから気密測定を行っているのでしょうか。一応パネルで気密を取って、中でも気密を取るやり方もあるのですが、その会社によってやり方が異なるため、悪くないと思います。

一番悪い気密測定のやり方として、窓ガラスの枠にテープを貼って気密測定するという方法があります。引き違い窓の開く窓の部分にテープを貼って気密測定する会社もあるようですが、その窓は後で開くものですから、そこまでしないと気密が上がらないというのはちょっとおかしいですね。あくまでも気密測定は窓が開閉するものであるため、絶対に漏れるものです。少しだけ漏れることはありますが、アルミよりも樹脂の方が漏れにくいため、樹脂を使った方がいいということもあります。アルミだと本当に漏れてしまうのです。ですから、窓は漏れるものとして扱い、その代わりに他の壁や床、屋根、天井などをしっかりと押さえれば、窓から少し漏れても閉まっている状態で気密は良好であるというのが正解です。窓まで完全に気密を取らないといけないということは、他の箇所からも漏れている可能性が高いということがわかるのです。

そういう会社では、お客さんが気密測定の際に立ち会うことはありません。テーピングしまくって測定し、データを出してお客さんに見せるという方法を採用しているようです。測定業者に聞いた話ですが、そういうことをやっている会社もあるようです。私たちはお客さんの要望で測定を行いますが、意味がないと思います。できれば、気密測定は人生の経験の一環として、参加してみるのもいいと思います。また、疑っては悪いですが、測定時の写真をたくさん見せてもらうとか、紙の数値だけではなく測定状況の写真なども確認するといいですね。ただ、そこまで求めると怒られるかもしれませんが。参考になれば幸いです。