facebook
instagram
youtube
ホーム > ブログ > YouTube > 平屋を計画する場合の注意点
YouTube
 | 2023.06.03

平屋を計画する場合の注意点

今回は平屋について、私なりの経験に基づく考え方をお伝えしたいと思います。

平屋って最近人気ですよね。当社ではメルマガやFacebookでも積極的に情報発信しているので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今年引き渡し・着工するお家の多くは平屋です。ざっくり言うと、弊社の年間棟数の半分は平屋になっている状況です。

今年の3月には群馬県高崎市でオープンハウスを行いました。現在は埼玉県行田市で着工していて7月頃には引き渡しを予定しています。今月は栃木県足利市で次の工事が始まります。その後も群馬県高崎市や玉村町でも平屋の着工が予定されています。具体的には、5軒の平屋を作る予定です。

一般的に平屋は階段がなく横移動できるので、段差がなく使いやすいと言われることが多いです。動線もスムーズなので、そういった点で平屋が人気なのかもしれません。ただし、平屋の間取りは計画を誤ると問題を含んでしまう場合もあるので、詳しくご説明していきます。

平屋を作る場合、まず土地の幅が東西方向にないと温度差が出やすいです。日射取得を考えると、南側に掃き出し窓が付いてる方が、まんべんなく日が当たります。なので、冬に関して言うと平屋は暖かくなりやすいです。ただ、それだけ日が入るから、逆に夏は暑くなる可能性もあります。軒だけじゃ防ぎにくいところもあるので、アウターシェードとかで防ぐのが原則です。

一方で、例えば東道路で南北方向の長さがある平屋を作ると、冬に日射取得がなかなかできなくなるので、南北でかなり温度差が出ちゃうことがあります。

こういう敷地の時に平屋を作るにはどうするのか。場合によっては平屋を作らない方がいいです。もしどうしても平屋を作りたいのであれば、なるべく目一杯東西方向に作って、空いたスペースを庭にして車を停めた方がいい場合もあります。

平屋はそういうことを考えながら作っていかないといけないので、なかなか難しいんです。

これは前にもYouTube動画で解説したので、みなさんご存知かもしれませんが、平屋って変な話、そのまま作っちゃうとすごくのっぺりとしてしまいます。形に変化がないので、スパーンと長屋の家になってしまうのです。

いま平屋を検討してるお客さんが「公民館みたいな平屋」と言っていて、いい表現だなと思いました。確かに平屋って、長くして窓を大きく付けた方が開放感があるし、日当たりもいいのはわかるんだけど、公民館みたいな形になっちゃって「あれはちょっとつまらないですよね」と言われていました。

本当にその通りですね。どうしても平屋って、そういう風になりがちというのがあります。逆に例えば真四角の土地だと、真四角っぽい平屋もあるんです。屋根を方形(ほうぎょう)と言って寄棟の形にしてしまうと、五重の塔みたいに見えちゃったりすることもあります。

意外に平屋って形が難しいんです。長方形は公民館になっちゃうし、真四角にすると今度はクラシックというか、お寺みたいになる。それでデザイン性のある会社さんに頼むと、コの字型の平屋を作られたりします。中庭方式と言うんでしょうか。道路から見えないように中庭を作って、ここで遊ぶみたいなことを考えたりします。

みなさんだったらわかりますよね。どう見ても冬は寒くなるし、日射取得できない面に窓をいっぱい付けちゃうと、そこから入った熱が全部損失しますから、あまりいいものではありません。

そういうマイナス面を考えながら作らないと、仮に中庭に面した所にキッチン・リビング・部屋なんかがあったりすると、そこが寒くなってしまいます。こういうのを見ても、平屋ってなかなか難しいところもあるなと感じます。

完全に囲われたタイプの中庭のある平屋もよく見ますよね。中庭を覗きながら生活するのは、オシャレと言えばオシャレです。ただこれにもマイナス面があります。すごく広くて日射が入るような中庭ならまだいいと思うんだけど、なかなかそこまでのレベルの中庭を取る家を作るのは難しいと思うんです。

中庭が4畳半・6畳とかになると、ここから熱損失を起こします。また、想像してもらえばわかると思いますが、大雨が降って水が排出できないとか、大雪が降って掃き出し窓ぐらいまで積もったなんてことになると、本当に大変な騒ぎになります。平屋を作っちゃいけないわけじゃないんだけど、なかなか問題があるという感じです。ここまでは形によるデメリットを説明しました。

形の部分は、ある程度勉強すればできないことはありません。私が平屋を作ってみて一番難しいと思うのは、空調計画です。コンパクトな平屋は簡単と言えば簡単ですよ。20坪とか15坪の平屋であれば、そんなに横幅があるわけじゃないから、空気も流通しやすいので。

ただ、おそらく田舎で平屋を建てる人って、うちのお客さんもそうですけど35坪とかそのくらいの広い平屋を作ります。そうなると、やっぱり空気の移動ってなかなか難しいです。特に冷気です。

日射取得をすれば冬はなんとかなるので、そこそこ日射取得を促進してあげれば部屋が暖かくなります。夏は断熱・気密しただけでは当然涼しくならないし、平屋ってどうしても面積が大きくて屋根が大きいじゃないですか。夏って太陽の高度が高いので、屋根からの暑さがものすごく大きいんです。

外壁を断熱するだとかサッシを遮蔽することも大事なんだけど、もっと言うと屋根の断熱がしっかりしていて、なおかつ二重通気屋根とかにして熱を抜いていかないと、なかなか家の中がエアコン1台で冷えるような状態になりません。

エアコンで冷える前にちょっと冷やしておくじゃないけど、そういう状態を作った上でエアコンを使わないと、平屋の家を冷やすのは私は難しいと思っています。人によっては「平屋は2階をやるよりも単純だから簡単にいく」と思われる方もいると思うし、やられている方もいるんじゃないかと思いますが、私の経験上で言うと平屋を夏に涼しくするのは悩むところです。この辺は経験と空調計画が必要だと思います。

いろんなことを言ってわかりにくくなってしまったかもしれませんが、まず形をちゃんとするというところが1つ。日射取得・日射遮蔽も含めてです。それプラス、各部屋とバックヤードの配置です。捨てる所と生かす所の割り振りで、部屋をちゃんと配置してあげるというのがまずなくてはいけません。

あとはなんと言っても夏は暑くなりやすいです。特に屋根が大きいと、そこの対策をちゃんとやる必要があります。平屋は大きな窓を付けがちだから、その日射遮蔽もしないといけません。だからといって小さい窓にしてしまうと、今度は冬がすごく寒くなるので、ここはバランスです。なおかつ、空調計画をちゃんとやらないと、なかなか厄介というか難しい家になるんじゃないかなという気がします。

あとは、平屋って横に大きくて地面に接する部分が大きいので、地盤が悪い場所に建てた時は地盤補強工事の杭の数がすごく増えるんです。そうするとその分だけお金もかかってきます。

平屋を作る時、坪単価は一般的に高いと思いますし、それプラス地盤補強工事をやった時に
お金がかかるというところも考えなければいけません。二重屋根をやるかどうかは会社さんによって違うので何とも言えませんが、それをやらないと暑い平屋ができちゃったりするので、この辺はなかなか難しいところがあります。

こう言っては失礼ですけど、安易に平屋を作っちゃうと、逆に2階建てよりも住み心地が悪くなっちゃうケースもあるんじゃないのかなという感じがしました。

あと、平屋は当然、家の前に2階建ての家が建っていたら日射は入りませんから、冬は寒くなります。

うちのお客さんから聞いた話ですが、知り合いの方が古い2階建ての家を解体して、平屋を建てたそうです。その住宅会社さんの方も「年配の方2人であれば平屋の方がいいんじゃないですか」とアドバイスしたようです。

冬になって工事が終わって新しい平屋のお家に住んだら、前に2階建ての家があって全く家に日が当たらないということに、そこで気づいたんだそうです。それで冬が寒くなっちゃったという。こんなことがあるんですよ。

恐らくその平屋を建てる時に、その会社さんが周りの状況を見ずに配置をしたんでしょうね。2階建てだったらコンパクトにできていたのが、平屋になると車を置く位置なんかも変えなくちゃいけなかったりします。それでいろいろ動かしていったら、余計に前の家の影ができて、全く日が当たらなくなったらしいです。

平屋を作ってはいけないわけではありません。意外といろんな部分を考えて作らないと問題が出てくるんだということを、みなさんにお考えいただきたいと思って解説をしました。ぜひ参考にしていただければと思います。