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 | 2023.07.20

①お客さんは偉いのか?②平屋を計画する場合の注意点③300万円も値引き出来る理由④ロの字型の平屋は電気代爆上り?⑤家づくりは車選びと似ている?

今日は質問コーナーです。

▼平屋を計画する場合の注意点

平屋を計画する場合の注意点

メルマガを読んだ方は、私が何を言いたかったのかより詳しく伝わったと思います。ちなみにYouTubeだと1本しか上げておらず、メルマガでは2本に分けて「あの動画は実はこういう意図があった」みたいな感じで補足しました。

「あの平屋はいくらですか?」というタイトルのメルマガでしたが、面白い内容だったと思うんです。何度も言いますが、私はあまり隠し事をしたくありません。もちろん、隠さざるを得ない部分もあるけど、できるだけ正直に話したいです。

メルマガは、その一つの表現方法です。当然、対面の場合はより詳しくお伝えしています。モデルハウスに来た方や打ち合わせ中のお客様に、メルマガの内容についてさらに詳しく話すと「ああ、そういう意味だったんですね」という反応をいただくこともあります。

綺麗事に聞こえるかもしれませんが、私は商売として家づくりをしていますが、ただ商売だけでやっているわけではありません。私自身も家族がいますし、社員や職人さんも困ってしまいますので、お金をもらわなければ生きていけません。ただお金をもらうからと言って、何でもやるわけではありません。

そこは私の中で、ポリシーなんて言うと偉そうに聞こえるけど、家づくりの考え方があります。そこでお客様と私とが一致し、共に進めていくこと。それがWin-Winの関係です。

よくあるのが、「お客様と業者のどちらが偉いのか?」という考え方です。特に年配の方々は「お客様は神様です」という傾向があるように感じます。もちろん、全員が全員そうではありません。

例えば、栃木県の足利市で今月から家づくりを始めている、都心から移住された年配の方は、非常に真剣に家づくりを考えておられます。「プロの方にお任せした方がいいに決まってる」「私なんかが余計なことを言って変な家を作られたら困る」とおっしゃるような方です。それだけ期待されているので、より頑張りたいし、間違ったことをしちゃいけないと思います。

その方は私のことを「先生」と呼んでくださるのですが、自分はお客様とイコールの立場で取り組みたいと思ってます。上下関係は求めていませんし、「先生」と呼ばれたいわけでもないので、イコールでやっていくのが一番正常な姿です。お金をいただいたお返しに、ちゃんとしたものを返す。そんな感覚で家づくりをしていくのがいいと思います。

最近、20代のお客様が増えてきています。打ち合わせ中の方や、最近問い合わせをいただき現地調査を行った方も20代でした。20代から住むとなると60年間以上住むことになるので、メンテナンスコストやランニングコストを考えて、「こういう家がいいんですよね」と相談に来てくれるんです。

彼らは私の長男とほとんど同い年で、私はお父さん世代です。ただ、「息子と同年代だね」と上から目線の態度はとりたくないんです。同じ目線で協力しあう関係性の方が、打ち合わせ中も作業中も、引き渡した後も、楽しく家づくりができると思っています。

みなさんが住宅会社を選ぶ際も、そういう関係になれるような住宅会社を選ぶことをおすすめします。もちろん、しっかりとした施工や理論を持つのは当たり前ですし、予算も大切です。ただ、それと同じくらい大切なのが、馬が合うかどうかです。

ただ、これはあくまで中小工務店の意見で、大手ハウスメーカーは全く違うかもしれません。彼らはビジネスとして契約を取り、売り上げを上げています。私のような小さな会社は、年間何千棟も建てることは不可能です。大きな会社で家を建てる人と、小さな会社で家を建てる人は、家づくりに対する考え方や期待するものが違います。これから家を作る方にとって、業者を選ぶ際の参考になればと思います。

さて、本題に入りましょう。「平屋計画をする際の注意点」という動画にいただいたご質問です。山梨県で30坪ほどの平屋を計画中の方から、「小暮さんのホームページにカッコいい平屋は率直にいくらするんですか?」という質問でした。「外構も全部やってこのくらい」とお伝えしたら、何人かの方から「それは安いですね」という反応をいただきました。

安いか高いかはその人の価値観によるので一概には言えません。でも、外構や空調計画、地盤補強までやった金額としては、高くはないと考えています。利益を大量に取っているわけではないので、安いと感じてくれたなら嬉しいです。

誰でもお金を儲けたいのは当然のことだと思います。ただ、そこには良心が働くし、頼んでくれるお客さんは「この会社だったら変なことはしないだろう」と思ってくれている。だから多くもらうのも悪いなと。一方で、ある程度の利益は必要です。生活を維持するため、会社を運営するためにも。だから、価格を無理に下げることはしたくないのが本音です。

うちのお客さんには「値引きできませんか?」と言う人がほとんどいません。私の顔を見て言いにくいのか、それとも「ここまでやってくれたから、安くはないけど高くもないんじゃないか」と感じているのか、その辺はちょっとわかりませんが。

でも、たとえばメーカーさんだったら「今月契約してくれたら300万円値引きします」と言うこともあるでしょう。すごいことなんですよ、300万円引くって。現場監督の管理費が全部なくなるほどの金額なんです。

半年間、現場監督が管理すると考えて、月50万円。車や事務所の維持費、電気代、燃料費なども考えると、稼いだ給料の半分が原価になります。15万円・20万円の給料で半年間やるぐらいのレベルです。私も現場に行くし、うちの現場監督の平石は一級建築大工で大工もやっていました。そういう人間が月20万円で働くのかという話になります。

消費者の立場からすれば、「300万円得した!」と喜ぶのもわかります。でも、この動画を観ている方々にはそういう人は少ないと思います。300万円も得したと思うのは、逆に言うと恐ろしいことなんです。

ちょっと話がズレました。冒頭の動画の中で、「平屋を建てる時にコの字型・中庭型にすると熱損失が増えて問題が起きるため、そういうところで平屋に変化をつけるのは良くない」「だからと言って、平屋はまっすぐドーンと作ると公民館みたいになってカッコ悪くなる」「それではどうすればいいのか」ということを言いました。

これに対して、「ロの字型の平屋は電気代が爆上がりみたいですね」というコメントをいただきました。

ロの字型の平屋は、庭が広ければ上から日射が入ってくるから、外側をしっかりと付加断熱してあげればいいんじゃないかと思うんです。ただ、明らかに「こんなの作れない」という広さになります。中庭だけで30畳ぐらいあるレベルです。一般的に住宅でロの字型をやると、広くても6畳ぐらいですし、逆に広すぎても失礼だけど牢屋みたいになります。

あとは、内側勾配の屋根にするパターンが多いと思います。外側に勾配を付ける分には雨が外に流れるけど、内側勾配にすると大雨の時とか雪の時に危ないじゃないですか。

前に地元で見たんです。デザイナーズ系の家で、明らかに周りから見られたくないという感じで、やっぱり屋根が全部内側に傾いていました。パッと見はカッコいいなとは思います。ただ、長い目で見てどうなのかなと。そうは言っても、家ってまずそこにある敷地に対して建てないといけないから、理想の形があったとしても入りづらいことがあります。

また、私の理屈としては、家は性能が良ければいいというものではないと思います。単純にUA値が良ければそれだけで住み心地が良くなる、ということはありません。UA値は低い方がいいんだけど、それだけで家の中が涼しくなることも暖かくなることもありません。

涼しい・暑いも重要だけど、住んでいて気持ちがいいとか、家の中が明るいとかも大事じゃないですか。極端な話、夏に涼しい家を作りたいのであれば、南側の窓をなくして日射取得を減らした方がいいです。その代わり、一年中暗い家になって外の景色は全く見えません。それで80歳まで住んで楽しいのかということです。

もっと言うと、夏でも日射をある程度取らないと、湿度が高くなります。日射取得は冬にも有利だけど、夏でもプラスになるので、単純に日射遮蔽をすれば涼しくなるというものではありません。だから、家づくりはそういうところも含めて提案していくんです。

夏涼しい家と冬暖かい家って似てるけど、厳密には似ていません。私の今までのYouTubeを観ている方は、なんとなくわかると思います。快適な家にするには空調機を使わないと難しいとか、いろんな要素が絡む話なので、熱損失・UA値・冷暖房負荷という話だけで考えてしまうのは危険です。

もしUA値が低い家が欲しいのであれば、言い方は悪いけど、一条工務店さんで建てた方が早いんじゃないかと思います。全てトリプルサッシで断熱性の高いパッケージ商品があるので。一条工務店さんの家が悪いわけじゃないけど、一条工務店さんの目指す家づくりと私が目指す家づくりは似ている部分もありますが、似てない部分もたくさんあります。

車も同じです。速ければいいってものじゃない。ゼロヨンが速いのか、山道でコーナリングスピードが速いのかによって、楽しさが全く違うじゃないですか。

私も若い時から車が好きだから、「ブーン!」と加速するとすごく楽しかったです。でもすぐにブレーキを踏んじゃいます。速さが出る分なかなか止まらないし、山道に行っちゃうと重くてフラフラです。だから歳を取ってくると、軽井沢の山道でスッスッと走る方が、なんとなく運転がうまくなった気分になってすごく楽しい。家づくりも全く同じです。

若い方も年配の方もいろいろ勉強してる方も、ここで頭の中を整理していただければと思います。ぜひ参考にしてみてください。