今回は、私の配信させていただいたメルマガに対するコメントをご紹介します。
1つ目のコメントです。nobandさんからいただきました。
「お世話になります。メルマガと関係ないですが、無駄に作った中庭にウッドデッキを作ろうとしています。樹種はセランガンバツを検討しています。そこには屋根、軒がなく、雨ざらしですが耐えられるものなのでしょうかね。東南アジアの木材とのことですが。日は当たるので乾くんでしょうけど。当初、中庭には室内飼いの猫に太陽光を当てるという崇高な目標があったのですが、屋根も軒もないのに大丈夫だろうかとの不安しかありません。」
結論としては、耐えられます。当社では、モデルハウスにも、ほとんどのお客さんのお家にも、セランガンバツのウッドデッキをつけています。また、現場で出た廃材、セランガンバツ、薬剤注入した木材、ただの杉材、ヒノキの土台を自宅の裏庭の泥の中に半分埋めて、1年くらい放っておいたらどうなるかという実験をしてみたところ、セランガンバツには何も起きませんでした。腐ることもなかったし、虫に食われることもなかったです。
ちなみに、杉は本当にボロボロになっていて、一部腐っていました。シロアリではありませんが、虫にも食われていました。薬剤注入した土台は案外持っていましたが、弱くなってしまった感じがしました。ヒノキは強かったですが、芯持ち材であってもセランガンバツとは全く違いました。このことから、セランガンバツというのは持ちがいいんじゃないかと感じています。
下田島モデルハウスのウッドデッキは、8年前に設置しました。その時にキシラデコールを塗って、改修工事で8年ぶりにまた塗りました。外壁を張り替える時に1回外して裏側を見ましたが、何ともなかったので、全く問題ないかと思います。あまりないことだとは思いますが、ヒノキや杉に薬剤注入すると耐久性が高くなるからと言って、そういうものを使っている人もいるそうです。でも、薬剤注入したからといって持つわけではありません。
ウッドデッキには水が溜まりやすいじゃないですか。湿気も上下から来る感じがします。そのような状態だと、防腐してもすぐに腐るわけではなくても、10年ぐらいで限界が来るんじゃないかと思います。当然、何もしなければもっと早まります。観光地に行くと、大きな公園がありますよね。ああいうところのウッドデッキや桟橋には、セランガンバツが使われています。
今年の5月頃、西の巨匠に会いに遊びに行ったんですが、広島にはおりづるタワーというところがあります。ビルの上の方に吹きざらしの展望場があって、原爆ドームが上から見られるんですが、そこにはハードウッドが使われていました。そういうものを使っていれば、ビルの上の方で風や雨が吹きさらしになっても耐えられそうですよね。
難点といえば、一般的な防腐した木材よりも高いというところだと思います。ただ、何年も使うことを考えれば、トータルでは安いんじゃないかという感じがします。目先の10万円で作って10年で朽ち果てるという方がいいか、30万円かけたけど30年経っても同じという方がいいかというと、後者の方が気分的にもいいはずです。10年でぶっ壊して、それをゴミとして捨てて、また作るという方が労力もかかりますよね。
下田島モデルハウスのウッドデッキがあと21年しか持たないという風には、到底思えません。当然、日光に晒されるので、表面が汚れたり荒れたりはしますが、今の時点で全く傷んでいないし、腐る感じもしないし、削れているわけでもないからです。何年持つかというのははっきり言えませんが、30年で朽ち果ててグズグズになるということはないかなと思います。
絵のように、一番上に張る板はウッドデッキを使っても、下に通っている土台や束は防腐土台を使ってしまうという会社があるらしいです。そうすると、結局は防腐土台が傷んでしまい、全部剥がして交換することになるため、お金がかかってしまいます。なので、セランガンバツで作る場合は、全部セランガンバツでやっていかなければダメだというわけです。
ちなみに当社では、鋼製束というものを使っています。「鉄だと錆びちゃうんじゃないの?」と思うかもしれませんが、今のところ錆びてはいません。仮にもし錆びちゃったとしたら、ビスで抜いて取ればいいわけです。また、コンクリートを打っちゃった方が湿気が上がってこなくていいという考え方もあるかもしれませんが、私はあまり勧めていません。ウッドデッキの水がコンクリートの上に溜まるわけなので、斜めにしてあげれば水はけがよくなります。ただ、斜めにコンクリートを打って束を真っ直ぐにするというのは至難の技なので、水平にしがちになります。そうすると、溜まった水が戻ってきてしまうし、日当たりが悪い分、その下がグリーンになってしまいます。
なので、防草シートと砕石を敷いて、水が下に抜けていくようにした方がいいんじゃないかと思います。一般的にはそのような工法にするはずだし、このモデルハウスでもそういう工法にしています。やっぱり余計なことはしない方がいいです。過去にそのようにしたいというお客さんがいたのでやったことはありますが、全面にコンクリートを打つと、かえってそれが悪さをする可能性もあるような気がしました。
セランガンバツはかなり耐久性が高いので、塗料については何でもいいと思います。ただ、ビニールペイントはやめた方がいいです。当社の場合は、ウッドロングエコを一緒に塗っています。それだと色がつかないので、キシラデコールで濃い目の色をつけてもいいと思いますが、5年も経たないうちに色が飛んでしまうので、結局は塗り続けなければいけなくなります。それも1つの楽しみだと考えられるのであれば悪くはないですが、そもそも塗らなくてもいいかと思います。当社では杉板にウッドロングエコを塗っているので、その延長で一緒に塗っているという感じです。
2つ目のコメントです。こちらもnobandさんからいただきました。
「お世話になります。今、●●●●が雨ざらし現場で床下にカビが生えたというので問題になっていますね。ノボパンに吹付という壁構成なので尚更大変。」
他のメルマガで言いましたが、透湿抵抗の高いノボパン、OSB合板、ベニヤを建物の外側に張って、吹付断熱をして、閉じている状態にすると、構造体が濡れた時に水分が原因で壁の中がカビてしまうことがあります。正しくこのケースです。ただ、消費者の方が物事を体系的に考えるのは難しいですよね。
ノボパンにはいいところもあります。強いので、壁の少ない間取りにできます。ノボパンを使う会社は、そういうところをメリットとしている場合もあります。壁が少なくて大きな窓が作れたり、開口を大きくできたりするわけです。ただ、デメリットとして湿気を通しにくいということがあります。そこは考えなければまずいです。
また、耐火性はないはずなので、外側の仕上げは塗り壁やサイディングにする必要があります。当社の場合は、外側に杉板やガルバを使って、中で耐火性を取っていますが、ノボパンを使うのであれば、外で耐火性を取る必要があるわけです。当社では、透湿性がちゃんと考えられた面材にして、耐火性をちゃんと取れば、外側の仕上げ材はガルバ、杉、塗り壁でもいいと思っています。当然サイディングでも悪いわけではありません。
ノボパンの会社は「うちの会社はこういうところがいいんです!」と言うし、吹付断熱の会社は「うちは一発で気密が取れます!」と言います。要は、それぞれのいいことしか言いません。ただ、本当に重要なのは、それを合体したらどういうことが起こるのかということです。そして、「そのためにはこういう風にしましょう!」と考えるのは、本来は住宅会社さんの仕事ですが、残念ながら住宅業界には理論的に考えられる人は少ないです。中小工務店でも、全国展開している大きな会社でも同じことが言えます。
それはなぜなのかというと、カタログでしか物事を見ていないからです。そういう勉強をするためには、カタログではなく、その上の世界に行かなくてはならないわけです。今は本当にこういうことが起こりやすい時代なんじゃないかと思います。どんどんUA値を下げるような方向に行っているし、どんどん閉じるような方向に行っているし、とにかく「高性能!」と言っている時代だからです。「これとこれを合体するとこうなるんだよ!」という風にわかっている人がやるのはいいですが、そういうことがわからない方が補助金狙いでやってしまうと、どうしても事故が起きてしまうんじゃないかと思います。
いずれにしても、性能がよくなるのはいいですが、それに対する危うさというのもあるわけです。今は気候の変動が激しく、亜熱帯化しているので、余計に怖い感じはします。私も偉そうなことを言っていますが、まだまだわからないことはあります。なので、現場で計測をするのと同時に、私よりも経験が豊富な人や、いつも言っている西の巨匠にいろいろ教えてもらうということは、引き続きやっていかなくてはならないと感じます。
以前メルマガで、当社のお客さんのお家を使って、真夏の外気温39℃の時に屋根裏エアコンを回して冷やして、断熱材の中がどうなっているのかというのを計測した動画を配信しました。今のところは何となく大丈夫そうな感じもしますが、絶対ということはないので、今後もいろいろなことをやっていきたいと思っています。