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ホーム > ブログ > YouTube > ①可変透湿気密シートを使わない夏型結露対策②発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか?③通気層があると夏型結露をしてしまうのか?④前提条件が違うと答えも変わる⑤建売住宅の屋根が凍っている
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 | 2023.12.30

①可変透湿気密シートを使わない夏型結露対策②発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか?③通気層があると夏型結露をしてしまうのか?④前提条件が違うと答えも変わる⑤建売住宅の屋根が凍っている

今回は質問コーナーです。
まず最初のコメントです。

「可変透湿気密シートは、高湿時(夏)に湿度を通し、低湿時(冬)に湿気を通さない性能を持つことを書籍で知りました。私は湿度が高めの地域(梅雨時に服や革製品がカビる地域)に住んでおり、これを梅雨時の救世主と考えていましたが、性能にあまり期待しないほうが良いとのことですね(泣)。室温を下げないタイプのエアコンで除湿するのが現実的でしょうか?

失礼ながら、小暮さんは同世代かと思っていましたが、干支が一回り以上年上だということにびっくりしました(笑)。」

私は今56歳で、一回り以上違うということはおそらく30代後半の方なんでしょうね。私はこう見えて56歳なんですが、意外と若く見られます。さて残念ながら、これをつければ解消するというものはないんです。例えば耐震ダンパーをつければ地震に強くなるということはないです。だってそれをつけたとしても、そもそもの床の剛性もあるし、他の動画でも言ってますけど、耐震というのは壁だけじゃなくて、床剛性とか仕口という木材の接合部とか、もっと言えば基礎まで含めたものまで、トータルバランスでやってるので、壁だけにこういうのをつけておけば崩れないなんてことはそもそもないんです。

でもこれを売りたい方というのは、つけることですごく地震に強くなるというようなことを言います。でも商売だから言ってるんです。可変気密シートはうちも使ってますが、可変気密シートというのはあくまでも私の理屈なんですけど、壁よりも天井(屋根面)の方が効くのかなという感じがします。結局、空気の流れは上昇気流なので、天井に貼るというのが1つのセオリーなのかなという感じがします。

そういうことで、うちの場合は屋根に貼ってます。壁に貼ってもいいですけど、可変気密シートを壁に貼るだけで夏型結露を予防できるかというと、そうは思わないし、それをしなくても防げると思います。私がいつも言ってる西の巨匠が住んでる地域は三方を海に囲まれていて、私も去年の夏に行ったんですが、高温多湿なんです。でも別にそこで可変気密シートを壁には使ってません。その代わり徹底的に通気をさせて夏型結露を防いでます。

通気をちゃんとすることによって、夏型結露を防ぐということは夏型結露だけの問題じゃなくて、構造体をちゃんと乾燥させてあげられたり、朝に熱を排出して家の中を涼しくすることができたりと、いろんな効果があって、1つの目的のためだけにやってるわけじゃないので、可変気密シートを使っちゃいけないというわけじゃないです。私も可変気密シートを使ってますし、ただそれを使えば通気がうまくできてなくてもいいというわけではないことを理解していただければと思います。

可変気密シートについては他の方からもコメントや質問が来ています。

「発泡ウレタンを防湿シートなしで使用した場合、温暖地域などの6地域では冬型結露よりも夏型結露の可能性が高いと言っている人がいますが、これは正しいのでしょうか?」

その方の主張としては、通気層は関係なく、通気層に入り込んだ空気が家の中に入るから、そうなると通気層はない方がいいという話になるわけです。もし付加断熱のことを言ってるのであれば、付加断熱は基本的には通気層を取りませんし、夏型結露をしないような壁の構成にするので、通気層が一般的な内断熱というところとは全く理屈が違うので、イコールでは考えられません。

さっきも言いましたが、内断熱工法で通気層を取ることによって通気をちゃんとやっていれば、夏型結露が起こってないというのは西の巨匠の例もあるし、実際、私も起こっていないんです。

今、下田島モデルハウスにいますけど、下田島モデルハウスは壁の一部がくり抜いてあって、中の断熱材が見えるようになってるんですが、内側から見ると、断熱材のこちら側に防湿気密シートを張ってるんです。外側は通気層がある状態で、私はずっとこれを見てますけど、防湿気密シートが濡れたことがないんです。

太田市は6地域ですごく暑いのに、じゃあこれはどうなんだという話になるけど、この方が違う風に捉えちゃってるのかもしれないし、もしくはこの方が聞いたとある方の主張が間違ってるのかもしれないし、どなたがどういう理屈で言ってるのかはわからないので何とも言えない。

物事には常に前提条件があるから難しい。前提条件ってわかりますか?こういう条件のもとにこうなんだという理屈があって、家を建てる地域も違うし、壁の構成とかによっても違うから、ここの部分をちゃんとしないで結論だけを言われても正直全くわからない。私が言うと偉そうに聞こえるかもしれませんが、建築系のYouTuberの方もいれば、雑誌やメルマガもあったりして、いろんな情報が溢れてるじゃないですか。その中で前提条件をすっ飛ばして結論だけ言ってる方もいらっしゃるようです。

私のYouTubeでスキンカットしない方がいいですよと言うと必ず出てくるのが、松尾先生はスキンカットしてもいいと言ってましたというコメントです。でもそれは断熱材メーカーさんの担当の人と松尾先生が対談した動画を見た人が言ってるんでしょうね。ちゃんとあの動画を見られた方は理解してると思います。スキンカットしてもしなくてもこうだったという結論を言ってるだけで、スキンカットしてもいいとは言ってません。あれはスキンカットをしてもしなくてもこうだったという1つの現象だけしか言ってない。だからスキンカットしてもいいとは言ってないし、あくまでも透湿についてしか言ってない。

スキンカットしても透湿、1つの現象のことだけ言ってる。私がスキンカットをしない方がいいという理由として言ってることは透湿の問題だけじゃないはずです。他の動画を見るとわかるけど、形あるものをわざわざカットするというのは長期的に考えた時にあまりいいことじゃないということを言ってるんです。

家を作ったあとに若い方は50〜60年住むわけですから、わざわざ吹いて表面が空気と触れて固まって成形されたものをわざわざ削って中の肉を出すのは長い目で見たら耐久性の部分で間違いなくいいことではないという風に思うんです。そういう視点で見た時に削らない方がいいんじゃないかと思う。わざわざそんなことをしたってゴミも出るし手間もかかるし、どうなのかなという理屈で言ってるんです。

スキンカットしても透湿シートを貼ればいいんですか?という話とはまた違う。ここの違いというのがグチャグチャになってる感じがします。それをすれば湿気や内部結露がどうとかではなくて内部結露のことだけで言えばそうだけど、家は内部結露のことだけ考えればいいわけではない。結露計算したからOKというのも違う。あれはある一定の条件でこうやった時にどうかというだけの話で、あれが全てパーフェクトというわけではないので、難しいんです。それをずっと突き詰めていってもどれが正解かというのははっきり言ってわからないんです。

住み方も違うし、空調計画によっても違うかもしれないし、日射遮蔽をするのかしないのかによってエアコンの設定温度が違ったりもする。いろんな条件があるので、それを100%想定して家を作るのはなかなか難しいと思う。なるべく安全な方を考えて余計なことはしないという方が事故は起こらないと思うし、仮に入っちゃったら出るようにしておくというようにした方がこれから50〜60年住むにあたってはいいのかなと思います。

あとはもっと言えば、結露計算だけじゃなくて、空調計画・日射遮蔽・日射取得とか、そういうことも含めてトータルで家づくりというものを考えていく。通気もそうですけど、そういうことも含めて考えた方が家というのは長持ちするんじゃないのかなという感じがします。

ちょっと話はズレちゃうけど、うちのモデルハウスの周りには建売住宅がいっぱい建っています。東京の大手建売住宅メーカーさんが建てた家なんだけど、その斜めの方のお家が建ってから4年ぐらい経つんだけど、毎年12月頃の寒くなった時期から3月の暖かくなる時期まで、北側の屋根の一番角のところがずっと白いままなんです。あれは完全に結露です。おそらくだけど家の中が寒いんじゃないかな。そこで暖房をバンバン炊くと乾燥しちゃうから加湿する。そうすると、暖かい空気と湿気が上がっていくんだけど、天井の断熱が薄くて気密が取れてないから、そのまま屋根裏に上がっていって、最後に屋根の棟の隙間が空いてるようなところから湯気が漏れるんでしょうね。

川沿いで案外冷えるんです。そこで結露を起こして凍ってるんだと思います。その状態がずっと3月まで1回も途切れない状態なんです。日中に晴れたら白いのが消えるわけじゃなくてずっと消えずに凍ってるからどんどん空気が暖まって結露してるんでしょうね。あれは正直野地板がダメになるんじゃないかという気がします。あとは防水シートもダメになっちゃう感じがする。

でも住んでる方には全然見えないから、全く知らないんだと思う。そのメーカーさんを批判するわけじゃないんだけど、そんな家がまだあるんだなと思います。もし下田島に来る方がいらっしゃいましたら、2階に上がってもらえばパッと見えちゃいます。ちょっと怖いですね。