今回は、私が配信させていただいたYouTubeに対するコメントをご紹介します。
早速ですが、1つ目のコメントです。以下の動画に対していただきました。
◼︎①付加断熱をしても室温35℃②【断熱=熱を断つ】は正しいのか?③勝手に無料見積サイトに載せられている④おひさまエコキュートは割に合うのか?⑤知識よりも大事な能力
①付加断熱をしても室温35℃②【断熱=熱を断つ】は正しいのか?③勝手に無料見積サイトに載せられている④おひさまエコキュートは割りに合うのか?⑤知識よりも大事な能力
「日立の通常のエコキュートを使っています。Wi-Fiユニットを取り付けたため、時間ずらしがキャンセルされるので、電力契約設定の優先時間、禁止時間の設定、さらに午後曇りがちな季節は時間を変更して、太陽光発電での完全湯沸かしを目指して運転しています。日中湯沸かしはヒートポンプの熱効率の点と、エコキュートの保温性の悪さの点からも、もっと推奨されていいのではと感じます。ちなみにWi-Fiは天気予報の利用を期待しましたが、日差しの有無は把握できないので使えませんでした。現状、時間合わせの道具になっています。」
おひさまエコキュートだと自動的にやってくれるけど、日立のエコキュートだとなかなか難しいのかなという感じがします。ちなみに当社が使っているのは、コロナさんというメーカーのものです。当社が取引している商社さんがコロナさんに強く、比較的安く出してくれています。他のメーカーさんのものも取ったことがありますが、やっぱり高いです。特におひさまエコキュートは、2025年の4月にすごく値上がりしました。コロナさんも定価は上がりましたが、値引きをしてもらっているのでありがたいです。また、メンテナンス作業も早いので、そういう部分で選ばせてもらっています。
Linさんは日立のエコキュートを使っているとのことですが、日立はエアコンについてもあまりよくないと思うところがあるので、最近私は使わないようにしています。
2027年から発売されるエアコンは、国が定める基準が上がります。それに合わせた省燃費性能のエアコンしか発売されなくなるので、普通のエアコンがなくなってしまうという話もあります。実際どういう風になるかはわかりませんが、高性能なものほど壊れるというのは全ての機械に共通して言えることです。目先の燃費性能の数値は上がっても、そのために面倒臭いことをグチグチやる必要が出てくるわけです。その結果、金額も高くなり耐久性も落ちるというのはよくあるパターンです。
また、役人さんが掲げた目標を達成することで、実績を作るという目的もあると思います。もっと言えば、彼らのボーナス査定にも繋がるんでしょうね。そのためにやっているとなると「果たして本当にエコなのか?」という風に感じてしまいます。
節水トイレについては、以前メルマガでも書きました。少ない水で流量を速くして流すものですが、INAXとTOTOが節水競争をしすぎてしまい、最終的には1回では流れず、2回流す必要があるとのことで、全く節水にならないという結果になってしまいました。目先のことだけで競争していて、意味不明ですよね。
当社のOBさんで、設備関係のメンテをやっている方がいらっしゃいます。完成したお家のトイレをメンテするだとか、詰まりを直すだとか、取り替えをするだとか、そういうことをやっている方なんですが、「TOTOのトイレはだんだん昔ほどではなくなってきている感じがする。」と言われていました。これこそ実務者だから語るというやつですね。今はちょっとおかしな感じになっている気がします。
2つ目のコメントです。先ほどと同じ動画に対していただきました。
「最近『ま』から始まる有名な住宅系の動画配信者さんが、『入れやすい天井の断熱材で等級を上げているメーカーが〜』という趣旨の話をしています。私は打ち合わせの際、天井の断熱の厚みを200〜400の間で迷っていたのですが、UA値にするとたった0.01しか変わらないと言われた記憶があります。(総2階40坪の家で)。動画のように天井断熱材の厚みのみで等級を変えるほどのインパクトがあるんでしょうか?」
200と400とではさすがに変わりますが、ある一定数まで入れていくと、それ以上入れてもUA値は下がらなくなります。じゃあどこをいじればUA値が下がるのかというと、サッシは樹脂で、パッシブ設計の原則で、日射取得をするところはペア、日射取得しづらいところはトリプルという原則をもとに、燃費計算ソフトを使っていくわけです。
天井の300のセルロースファイバーを350にしても、ほとんど下がることはありません。基礎断熱の断熱材の厚みを75mmから100mmにしても同じです。壁は付加断熱をしていけば下がるかもしれませんが、元々が120mmのものを140mmにしてもほぼ下がりません。だから、やるんだったらボーンとやらないといけません。
そうなると結局、一番簡単なのは窓ということになります。窓を小さくするとか、少なくしちゃうとか、オールトリプルにしちゃうというわけです。当社だと、南側にでかい掃き出し窓をつけるじゃないですか。あれをトリプルにしちゃうとか、FIX窓の小さいトリプルにしちゃうとかすれば、一気に下がります。
ただ、それをやると今度は、UA値は下がっても冬寒くなってしまいます。夏も場合によっては除湿しなくなってきます。UA値というのは難しいです。下げた方がいいのは事実ですが、下げる手法によって全く変わってきてしまいます。
メルマガをお読みの方はご存知かもしれませんが、◯◯工務店と◯◯工務店のUA値競争が始まるかもしれません。若い方に売れている工務店さんが「高性能で安い!」と言えば、ちょっと勉強した方が飛びついて買っちゃったりするので、正直どうかなと思っています。やっぱり家づくりの本質をちゃんと理解しなければ、あとで問題が起こったり、住んでからどうかな?と感じることがあると思います。
また、このコメントに対して、「今後ローコスト住宅メーカーさんも窓を少なくする手法を使い、UA値を下げてくると思いますが、快適かどうかはわかりません。」と返信しました。
3つ目のコメントです。こちらも先ほどと同じ動画に対していただきました。
「断熱はありませんよ。物理的にあり得ない。正しくは遅熱です。加熱直後の室内への熱の伝わり方を比較すると、一時的には差が出ますが、結局は無断熱でも高断熱でも、室内は最終的に同じ温度になります。高断熱の方が、その温度に達するまでの時間が少し遅くなるだけです。
ちなみに、高断熱である素材は蓄熱にも優れており、夜間外気が下がると蓄熱した熱を室内に放出し始めます。だから『24時間冷暖房つけっぱなし』が推奨されるのです。冷暖房をかけ続け、室内側に輻射熱を防ぐ膜を作るイメージです。これはほとんどの住宅関係者も知りません。賢い人は薄々気づいているレベルです。
だから、断熱材の性能を上げて対処しようという発想には限界があり、根本的にはまやかしなんです。信じられないでしょうが、冷静に考えると理解できるはずです。『断熱』材以外で快適な室内環境を作る方法を取らなければならず、その工法はエア断やSKハウジングなどが持っています。」
言葉というのは難しいですよね。熱を絶つというと、外からの冷たい熱を断熱材がピチッと切ってくれるというイメージを持つ人もいれば、夏に断熱材が熱を切って家の中を涼しくしてくれるというイメージを持つ人もいるはずです。
ただ、何度も言っていますが、夏は何しろ暑いので、どんなにすごい高断熱住宅を作ろうが室内も暑いわけです。室外よりは当然涼しいですが、何も空調しなければ、外が40℃以上ある場合、室内も30℃以上あることになります。
そういう部分で、「断熱」という言葉には語弊があり、「遅熱」という言葉の方が近いと言っているのかもしれません。私の場合は「保冷」「保温」と言いますけどね。断熱材は、中に冷たい空気や暖かい空気を入れる時に、それを維持してくれるものです。外からの熱をカットする効果もありますが、そこはあくまでも副産物という方が強いかと思います。
さっき言ったように、夏場は高断熱住宅であろうが低断熱住宅であろうが、室内は暑いですが、高断熱にしてある方が多少は違います。でもどっちかというと、断熱材の問題ではなく窓の問題になってくるので、ちょっと難しいです。窓ガラスから熱は入るので、断熱だけで語るのはどうかなと思ってしまいます。
断熱材は、蓄熱をそんなに簡単にするものではありません。もしそうだったらとしたら、高断熱住宅にすれば、壁の中にある断熱材がどんどん暖まって、中にギュンギュンと放射してくれることになっちゃうじゃないですか。でも熱というのは冷たい方に移動するという原則があるので、仮にその状態で壁の中の断熱材が暖まったとしたら、その熱は外に行くはずです。断熱材をたくさん入れている家なのに、室内の温度の方が外気よりも低いということはないですよね。
「24時間冷暖房つけっぱなし」とありますが、当社では暖房に関してはつけたことがありません。日射取得がしづらい場所であればどうしても熱を加えなければいけませんが、断熱材が多ければ多いほど、少ない熱で保温をしてくれるという事実があります。断熱材の薄い家というのは、熱を与えても逃げるので、保温効果は少ないです。厚い方が少ない熱で逃げなくなるので、そういう意味で断熱材は厚い方がいいと思います。
冷房に関していうと、断熱が効くのは基本的に夏よりも冬という事実があります。夏は断熱材を入れることによって、逆にマイナスになることもあります。夏は断熱も重要ですが、それに加えて日射遮蔽も重要です。そうは言っても、断熱材をたくさん入れることで遮熱効果があるというのも事実です。
ただ、夏の場合はどこで遮熱をするかというと、当然、窓は窓で遮熱するじゃないですか。断熱材を入れる場所の遮熱というと、壁よりも頭というのが事実です。太陽光は高いので、頭の断熱材をたくさん入れることで遮熱します。夏と冬で効果の出る位置が変わるので、難しいですよね。共通事項として、窓は夏でも冬でも弱いので、つける位置や建物の向きによって変えていくというのは絶対に原則です。
こういう基本的な事実があるので、正しく理解した上で物事を考えていかないといけません。この方は最終的に「この工法がいいんだ!」という風になっているようですが、それはちょっと違うんじゃないかという感じがします。いろいろなことを勉強して、いろいろなYouTubeを見るのもいいですが、まずは原理原則を正しく理解する必要があると思います。
その上で、◯◯工法や◯◯空調を採用するということであればいいと思いますが、そこがちゃんとできないのに「◯◯工法がどうだ。」「◯◯空調システムがどうだ。」と言うのはどうなのかなという感じがします。
耐震設計もそうです。あくまでもダンパーというのは補助部品であって、人間でいうと補助食品みたいなものです。なので、まずはしっかりと食事をとるとか、なるべくナチュラルなものを食べるとか、なるべく農薬を使っていないものを食べた方がいいとか、適度な運動をした方がいいということになります。
構造でいうと、構造計算をちゃんとやるとか、許容応力度計算をちゃんとやるという感じですね。それも、地盤調査や基礎構造も含めてやるとか、床剛性というものを高めるとか、柱のバランスを考えるとかして、さらに制振テープや制振ダンパーをつけるということならいいと思いますが、そこの部分をやらずに「制振ダンパーがいい!」「何本がいい!」と言う人が多いわけです。
まずは基本として、原理原則をちゃんとやるべきです。人間でいえば、夜更かししないとか、早く寝るとか、そういうことをやった上でサプリメントを摂るべきだという感じがします。正しい食生活をするのは面倒臭いからと、サプリメントを摂って何となく健康になった気でいると、年と共に倒れてしまうんじゃないかと思いますので、くれぐれもお気をつけいただきたいです。




