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ホーム > ブログ > YouTube > ①現状の工務店レベルはどんな感じなのか②今でも覚えている横浜の設計士さん③当社が8年前に建てた家と今の家の違い④全館空調と床下エアコン(屋根エアコン)は全く違う⑤吸音なのか?遮音なのか?
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 | 2024.05.20

①現状の工務店レベルはどんな感じなのか②今でも覚えている横浜の設計士さん③当社が8年前に建てた家と今の家の違い④全館空調と床下エアコン(屋根エアコン)は全く違う⑤吸音なのか?遮音なのか?

今回は質問コーナーです。

まずは1つ目です。以下の動画に対していただきました。

▼実際にあった屋根断熱の施工トラブル
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/yane_dannetsu_trouble/

「結局この例は、たまたまいい加減な工務店に当たってしまった悲劇、という感じでしょうか。あるいは、これが現状の工務店の平均レベル、という感じでしょうか。」

どんなことが起こったのかは、この動画を見てください。これは平均レベルということではないと思います。でも実際、そのような工事が行われているケースもあるというのは、私自身も感じます。そんなことが起こってしまうのにはいろんな理由がありますが、一番の理由は、施工を請け負っている工務店さんが、施工している職人さんに対して正しい指示をしていないから、という理由に尽きると思います。

職人さんによっては「そんなこと知らない」という職人さんもいます。あまり言うと批判っぽくなっちゃいますが、昔ながらの家づくりをしている職人さんは、正しい断熱施工の仕方・正しい気密の取り方など、そういったことを知らない方が正直かなり多いです。「正しい」という言い方は違うかもしれないけど、あえて使いました。

昔ながらの職人さん、特に大工さんは「昔からこうやってきたんだ」と言います。しかしそれがそもそも間違っていることがわからない人や、「そんなことは親方にも教えてもらったことがない」という人もいます。それに対して「それじゃダメなんだよ」「昔はそれしかわからなかったからそうやったけど、本来はこうやらないとダメなんだよ」と言うのが、工務店さんの仕事だと思います。大工さんがやったことが悪いというより、指示をしなかった工務店さんが悪いと思います。

もう1つは、工務店さんはそういうやり方を知っていて、大工さんもそうしなきゃいけないとわかっているんだけど、そもそもこの設計では無理だという場合もあります。それは設計士さんの問題でもありますが、その図面を見た時に設計士さんに「これだと無理なんだけど、どうするの?」と聞かないのもまずいです。

それを聞いても「俺がいいと言っているんだからいいんだよ」なんて言う設計士さんも、今でも一定数はいるんでしょうけどね。今は少ないと思いますが、昔はそういう設計士さんがいました。今でも覚えていますが、私が20代の頃に、前職で病院を作った時に、そういう人がいました。

私の前職はゼネコンで、要は総合建築業でした。住宅・工場・病院・店舗・公共工事など、なんでもやっていました。個人のお客さんのBtoCもあるけど、ほとんどはBtoBでした。その中である病院を作った時に、その病院の先生が設計を頼んだのが、横浜の設計士さんでした。その人が設計した分厚い図面をもらって見積もりをして、頑張ってお金も安めに計算して、なんとかその案件を取れました。そしていざ工事をやる段階になった時に、「本当にこれでいいのか?」と思う点があったんです。

それはお風呂場でした。病院だからすごく大きな大浴場があって、今で言えばデイケアみたいな感じです。そのお風呂の防水施工が、明らかにこれではふやけちゃうのではないか、作った当初は防水が効くけど、10年も持たないんじゃないのか、と思うような設計だったんです。

設計士さんとは週1〜2回の定例会議があり、その時に「この防水の納まりで本当にいいんですか?確かにこの素材は防水性が高い素材だけど、通常これはお風呂で使うものではなくて、頻繁には水がかからないところに使うものです。お風呂みたいに年中水がかかる、湿気がすごい場所に使うものじゃないけど、これでいいんですか?」と言いました。すると設計士さんは「防水性があるんでしょ。私が設計したものに対してあなたは文句があるんですか」と言いました。結局そのままやりましたが、5年ぐらいでダメになりました。でもその時、設計事務所の先生は「私は関係ない」ぐらいの勢いで、一切取り合いませんでした。うちは悪くはないけど、「このままじゃ使い物にならないよ」と言われ、結局うちが原価販売で何とか対応したような感じです。

住宅では、お風呂場はユニットバスを使うからこういうことはないと思うけど、すごい納まりを見ることはあります。他の動画でも言ったけど、内樋とか、ここにこんな大きい窓を作ったら結露がすごいだろう、すごく寒いだろう、などということは、今でもあります。他にも、この高さでは大雨が降ったら水が逆流するんじゃないかと思うものや、そもそも建物の高さが間違っているようなものもあります。消費者の方が悪いわけじゃないけど、そういうものも実際あると思います。

次です。以下の動画に対してです。

▼超高性能住宅は除湿しにくい
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/kouseinou_jyutaku_jyoshitsu/

「厳寒地岩手でG3(UA値0.18)、気密0.3の家に住んで2年目です。夏場はエアコン24h稼動で冷房26.5℃設定、風量自動で運転をしても絶対湿度16g程度、相対湿度65%で、少し蒸しっとするときがあります。室温を下げてもいいのですが、あえて扇風機やサーキュレータで風を造り体感温度を下げる工夫をしています。エアコン1台で全館を調整しているので、こんなものだろうと感じています。気密性や断熱性が真に高い家は、結果的に機器を上手に使い、幅のある・応用が利く、暮らしと快適な温熱環境を実現できる点だろうと感じています。」

確かに超高性能住宅で除湿しにくい例はあります。当社の事務員さんの新築した家もそうで、困っているそうです。去年の夏に完成して初めて伺った時に、家の中の湿気がすごかったそうです。エアコンをかけても湿気が飛ばなくて、営業マンさんに相談しても明確な回答はなかったそうです。当社に入社したのはその新築を建てた後でした。「なんでですかね」と言われたので「多分こんな感じじゃないかな。今年の夏に実験してみればわかるよ」と答えたら「そんなの全くわからなかった、そんなことも教えてくれなかった」と言っていました。

他の動画でも言いましたが、気密性・断熱性をしっかりとやっておくと、他のところで誤魔化しが利く、コントロールしやすいことがあります。例えば、当社は高性能住宅を本格的に作り始めてから8~9年ぐらいですが、初期の頃に作ったお家と作ったお家で、基本的な構造は変わりません。断熱性能・使っている窓も変わりません。違いは、空調計画が微妙に違うことです。

初期の頃の床下エアコンは床置きエアコンだったけど、今は床下専用の壁掛けエアコンを使っています。屋根裏エアコンは、機械は変わらないけど、屋根裏エアコンの冷気を分配する方法が、今の方がより綿密になってきています。その理由は、私もいろんな経験を積んで「こうやった方がいいんじゃないか」と思ったこともあるし、温暖化の影響でどんどん暑くなっているので、もう少し考えないとまずいだろうと思った背景があります。その中でいろんなことをやりながら、完璧ではないけど徐々にいい方向に向いてきています。

ここで、例えば初期の頃に家を建てたお客さんが、仮に10年経って屋根裏エアコンが壊れたとして、「この際屋根裏エアコンの冷気の配り方を、今の家に近い方法にできないか」と言ったら、できなくはないです。床下エアコンなら、床置きだったエアコンを取って、床下専用の壁掛けエアコンをつければいいので簡単です。そのように、機械で調整しながらやっていけます。ただそれをやるためには、基本となる家の構造が重要です。断熱・気密・窓のつけ方・空調計画のルートを考えておかないと、後からの調整もできません。

一方、大手ハウスメーカーさんがやっている全館空調システムがあります。機械室みたいな大きいものを作って、複雑な配管を天井裏などに通していますから、あれはあれでしか成り立ちません。あの機械がダメになった瞬間にもうダメ、という感じです。

前にも言いましたが、大手ハウスメーカーさんで建てた全館空調システムの家が、築10~15年ぐらいでそのシステムが壊れた話がありました。修理を依頼したところ、その機械はもう旧モデルで作っていなくて修理対応ができず、「これを機に新しいやつに変えた方がいいですよ」と言われ、値段を聞いたら250万円必要と言われたそうです。結局その人は、お金がもったいないから諦めて、各部屋に穴を開けて壁掛けエアコンをつけたそうです。15年で250万円というすごい話ですが、そんなこともありえます。

松尾先生も言っていますが、なるべく複雑にしないことが大事です。なるべく特殊なものは使わない、そのメーカーさんでしか使っていないものは使わない。ものすごく高価なものは使わない、普通のものを使ってうまくやる。また、それがアップデートできるようにしておくのが、長く住むコツです。断熱・気密はなかなか変えられないから、最初にきちんと作っておくことです。あとは空調計画は、応用できるようにしておくのがいいと思います。

次のコメントです。動画はメルマガ限定動画で、4月にオープンハウスを開催したお家で、音の測定をしたものです。部屋ですごく大きな音を立てたものを騒音計で測定して、その部屋と廊下と、家の外、屋根裏で測定をしました。

「屋根裏でもそんなに音は漏れていないんですね。もっと音漏れするのかと感じていました。そうなると、近くの床にあるガラリからもそんなに音は漏れていないのでしょうか。」

単純に言うと、そんなに漏れません。他の動画で、簡単な防音工事の動画を上げましたが、この家も同じ方法でやっています。コストの割には意外に効きます。

昔は防音というと、グラスウールなどの高密度のものを突っ込んでやっていましたが、あれははっきり言ってあまり効きません。他には鉛ボードを貼る方法も昔やりましたが、悪くはないけどすごく重いです。あんなことをやるより、動画で上げた方法の方が簡単だし確実かなと思います。

ただ、今回やってみて感じたことがあります。その動画でも言いましたが、そもそも「防音」というのは遮音・吸音を総称した言葉なので、防音工事という工事は本来はありません。吸音工事・遮音工事という工事名を総称して「防音工事」という感じです。ここで、吸音・遮音のどちらを優先するかによって、感覚は変わると感じました。

その部屋をどういう風に使うかによって、吸音が強い方がいいのか、遮音が強い方がいいのかは変わります。例えば音楽を聴くとなると、遮音も大事だけど吸音の方が大事かと思います。一方、シーンとした部屋で本を読みたいような場合は、多分遮音の方が大事です。

私が動画で解説したその工法は、どちらかというと遮音が強いです。音楽を聴く目的の場合には、聴く音楽によってはちょっと…と思うところもあります。その場合は別の方法があって、メルマガでは説明しました。こういう方法でやると吸音性が高まる傾向になる、というものです。これは姫路の巨匠に聞いた話で、メルマガで言った「3500万円の防音工事」という内容で話したものです。

私もプロじゃないので偉そうなことは言えませんが、本当に今回はいい経験になりました。防音工事に関しては、他のお客さんからも「やりたい」という声があり、これから3軒ぐらいやる予定です。そこでまたテストをしてみたいと思っています。