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ホーム > ブログ > YouTube > ①課金する建築系YouTubeを聞いてみたい②基礎断熱の湿気処理方法いろいろ③住宅業界の利益率は低い④透湿防水シートは必要ないのか?⑤高層ビルも低性能
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 | 2024.04.05

①課金する建築系YouTubeを聞いてみたい②基礎断熱の湿気処理方法いろいろ③住宅業界の利益率は低い④透湿防水シートは必要ないのか?⑤高層ビルも低性能

今回は質問コーナーです。

そういえば、最近私のYouTubeの再生回数が突発的に増える時があります。通常の再生回数は2000回ぐらいですが、たまに1万〜2万回ぐらいになります。しかし最近、再生回数が上がり気味で平均化している感じがするんです。これは私の中ですごく嬉しいことで、私のメルマガを面白いと思う方が増えたのかなとか、私が言っている理屈を理解していただける方の層が増えたのかなと思います。

上がり下がりするのは全く嬉しくないです。再生回数が平均化して、面白いと思っている方だけ見てくれればいいのです。再生回数・登録者数稼ぎとか、過激なことを言うとかキャッチコピー勝負とか、さらに課金してメンバーになるとかは、全く意味がわかりません。

住宅会社のYouTubeのメンバーにならないと聞けないような秘密の話を語るなんてことはないと思うし、そんな秘密あるのかなとも思います。そんなびっくりすることは期待せずに、新住協さんが言っていることを守るとか、新住協で発売している本を読む方が、よっぽど正しいと思います。

そんな中で、次の動画にいただいたコメントです。

▼基礎断熱で床下にカビが発生する家
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/kisodannetsu_yukashita_kabi/

「コンクリートからの湿気の為、スリットを取り付けると伺いましたが、例えば基礎断熱を基礎立ち上がり、ベース面全て施工した場合、コンクリートからの湿気は気にしなくても良くなるものでしょうか。床下エアコンをしない場合、スリットの役割が1年程度という事が勿体ないと感じてしまいます(それなら基礎断熱するなとの話ですが)」

基礎断熱は床下を気密化するもので、引き渡しから1〜2年間ぐらいは基礎から水分が出ます。場合によっては、床下で木がそれを吸ってしまってカビが生えることもあります。基礎の湿気をどう処理するかは考えた方がいいです。

当社は床下エアコンを使っているので、吹き出し口のスリットがついています。それを解放して床下と室内で空気を流通させたり、床下換気扇をつけたりして対策します。また、冬に引き渡す場合はすぐに床下エアコンをつけるから早く乾きやすいけど、夏だと床下エアコンを使わないから湿気が飛びにくいという状況があります。そういう場合は、換気扇を回してなるべく水分を家の中に持ってくるのがいい、とアドバイスします。

スリットはつけなくちゃいけないわけではないですが、基礎断熱の宿命みたいなもので、気密化して水分が飛ばない状況になることがあるので、その水分が悪さをしないように何らかの方法を考えておくのがいいと思います。

床下点検口を多めに設置することも手です。当社では、間取りにもよるけど最低2個、場合によっては3個つけます。見た目は別として、それを例えば5ヵ所つけて解放するのもありだと思います。

基礎断熱の断熱材を全面に貼れば、そこで湿気がブロックされて床下の土台が湿気を吸わなくなって防げるのでは?とありますが、たしかにそれは一理あります。ただ、例えば使う断熱材が100倍発泡ウレタンだと、湿気を呼び込んでしまってグズグズになるケースがあります。

その方法でやるのなら硬質系の断熱ボードを貼ればいいとも思います。ただ、ボードと基礎の間で水分が溜まって湿気が飛ばなくなるから、場合によっては床下の湿気がかなり上がってしまうかもしれません。それに、基礎の全面に断熱材をつけるのはお金がかかります。湿気だけのために床全面に断熱材をつけるのはもったいない気もします。

この辺りは考え方次第だし、その方が何を求めるかにもよります。例えばスリットを使わない代わりに床下に除湿機を入れておいて、除湿が終わったらその機械を外すという方法もあります。しかし機械の設置にお金がかかるから難しいです。

次のコメントは以下の動画に対してです。

▼①過去最低の再生回数動画は何か?②APWとEWの耐風圧の違い③窓は既製品に限る④標準を変更すると物凄く高くなる理由
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/apw_ew_taifuatsu/

「参考になりました。住宅業界の話を聞けて面白かったです。そのようなカラクリになっているのですね!」

たしかメルマガにいただいた感想で、標準品からちょっと変えただけですごく値段が上がるという話がありました。標準仕様では15万円のIHクッキングヒーターがついていて、メーカーのカタログを見たらプラス5万円(価格は20万円)でいいものが買えるからそっちにしたいと言ったら、5万円どころか10万円もプラスされて、何でこんなことが起こるんですか?という話でした。

標準仕様品は、メーカーさんと次のような取り決めをしています。これを標準として採用し、なるべく数を売るから割引率を70%にしてくれとお願いする。その代わり、高いものを選ぶ時は差額を払う。そういう商習慣みたいなものがあります。そうすると、標準品と違うものを買う時は割高になることがある、という話をしました。

この件については「それってぼったくりじゃないですか?」みたいなコメントもありました。私はぼったくりとは違うと思います。ぼったくりというのは全く違う価格で売ることだと思います。その動画の話はあくまでもそういう価格設定でやっている話で、仕方ないとしか言いようがないです。差額は発生するけど定価より高いわけではないです。変えたいものはその価格だけど、その代わり標準仕様品はお安くしています、という企業努力の一部だと思います。

住宅業界を擁護するわけではないけど、物に対する利益率・利益幅は商品によって違います。安いものならある程度の利益がないとやっていけないし、高いものなら利益率が少なくても、元が大きいから何とか稼げるということがあります。そういう意味で、住宅は高いものなので、他のものに比べれば利益率は少なくてもいいという考えもあります。

しかし私は、住宅より他の製造物の方がすごくぼったくってると思います。例えば自動車は、実はすごく原価が安いです。でもあれをぼったくりとは思わないのは、価値として認めているからだと思います。

うちの長男はある有名企業に勤めています。そこで売っている商品を私も持っていて、長男に「これ◯◯円したんだ」と言うと「原価いくらか知っているのか、あんなのぼったくりだ」と言われました。

でも、その会社の製品が利益率8割だとしても、開発費がそれまでかかっているし、8割を全額儲けとしているわけではありません。原価が安いからと言ってぼったくっているとは私は感じません。すごくカッコいいデザインだと思うし、機能もいいと思うし、この金額なら世界的に見ても悪いものではないと思うし、世界でも認められているものだし、私は別にいいと思います。

そう考えると、日本の自宅はぼったくりなのかもしれません。性能が悪いですから。性能がよくてこの値段なら理解できるけど、世界基準から2周半〜3周半遅れなのに坪単価100万円以上なのはおかしい、という話なら、それはぼったくりだと私もたしかに思います。

次は以下の動画に対してです。

▼①チェックリストよりも大事な事②ハウスメーカーの営業マンは現場に行かない③ダイハツ偽装と住宅業界は似ている④上棟後にずぶ濡れになっている家がある理由⑤床下エアコンの通気口は開閉式が良い
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/check_list_daiji/

「なんとか工法の通気口ですが、温度で変化する形状記憶合金で動かしているそうです。本当にきっちり閉まったり開いたりをずっと繰り返すことができるのか、と、なんとか工法を推奨するYoutuberに質問したことがあります。伝統的な工法と比べて実績が少ないのですから、実験データで示してほしいところです。」

これはどの工法かわかりますよね?メルマガでも解説しました。残念ながら温度で変化する形状記憶合金は、気密を取るほどぴったりは閉まりません。このメーカーさんは保証が10年ぐらいついています。それがいいか悪いかは私には言えません。いろんな考え方がありますから。ただ私は、10年の保証をつけてそれをつけないと、本当にまずいのか?と思います。

例えば、タイベックの透湿防水シートで壁体内結露を防ぐために圧力差を作るというのは、間違いなく理屈は合っているし、悪さはしていないと思います。気流止めをして壁の中に空気の流れをなくして断熱材の性能を発揮させるとか、透湿防水シートを貼ることで防水しながら壁の中に入ってしまった水分を外に抜けさせて乾燥を保つというのは、理屈も合っているし、完全に間違っていると論破はできないと思います。

やってみたい人は、自分のお金でやるんだからやってもいいと思います。ただ、それじゃなきゃおかしい、これが素晴らしいんだという話になると、なぜそれが素晴らしいのかを理論的に解説しないとおかしなことになるし、消費者の方は惑わされてしまいます。住宅は高いものだからこそ、売る方はそれを採用する理由を明確にすることが求められると思います。

昔は、住宅は素人にはわからないような話で、職人技で余計なことは言うなみたいな風潮がありました。職人さんがやることをじっと黙って見て、職人さんを信用しろという感じでした。

信用してもらうことは私も嬉しいです。信用してもらわなければこっちも真剣にできないし、気持ちもよくないです。信用してもらうためには、そういうことをお客さんに理論的に伝えたり、どういう理屈でなぜこうやるのかを説明しないとまずいと思います。

この工法を見て私が引っかかったのが、工務店さんの考え方次第で断熱材が薄くても厚くてもいいと書いてあったことです。グラスウールの100mmでもいいし、もっと高断熱にしてもいいし、その会社の自由という感じに聞こえました。

私の地元の地域でもその工法を採用している工務店さんがいますが、その会社さんは断熱・気密にも、耐震性能にもほとんどこだわっていません。その状態でそこだけこだわって、通気させるのがいいというのは、なかなか難しいんじゃないかと感じます。

今の時代これだけ気候変動している中で、いろんな自然災害が起きるわけです。家は何十年も住むもので、何が起こるか予想なんてできません。だからこそ耐震性を高めるとか、断熱・気密性能を確保するとか、雨漏りしないようにするとか、いろんなことを想定しながら家づくりをするわけです。そこまできちんと規定しながら、この工法はこういうところも全部含めているからいい、としていかないとまずいと思います。

この前松尾先生が言っていましたが、カーテンウォールというガラス張りのビルが許されているのは、世界ではもう日本ぐらいみたいです。ガラスはそもそも熱損失が大きいですから。カッコいいかもしれないけど、地球環境にも悪いし、熱損失も大きいし、冷暖房のコストもかかるから、海外ではそもそもあんなものは禁止みたいです。しかし日本ではまだ、カッコいいという理由でボンボン建てています。それが日本の現状です。

すごく偉そうなことを言いますが、「これがいい!」というだけで建てるのは、そろそろやめた方がいいと思います。あくまで推測で言っていますので、もしかしたらそれがいいというエビデンスがあるのもしれませんが、気になるところではあります。