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プロが語る家づくり
 | 2020.06.03

Vol.11 太陽に素直な設計

松尾先生:
僕らは「太陽に素直な設計」というのをやってます。そうすると太陽に素直な設計で、要するに冬の日射を取り入れながら、夏の日射を遮るという条件の下でお客さんの望む部屋数とか、動線計画を満たしていこうとすると、そんなに沢山の間取りのパターンにはならないんですよ。

小暮:
間取りありき、じゃないんですよね。道路がここにあって車はこっちから入って来て、そこからこうやって中に入ってとかいう条件で間取りはだいたい決まってくる。もっと極端な話、この地域はこっちから冬に凄い北風が吹くなんて条件があると、玄関の位置は決まってくる。

松尾先生:
なので僕らはそういう拠り所があるので、良いプランがそんなにブレないんです。太陽に素直な設計というのを除くと、万人が欲しい拠り所ってあんまりないんですよ。例えば洋風が好き、和風が好き、シンプルモダンが好きとか。それは人それぞれでいい。でも日当たりが良い方が良いというのは、よっぽど紫外線を気にされる方以外は、ほぼ全ての人が賛同する。その拠り所があるというだけでも、プランのブレというのは相当少なくなりますよね。

小暮:
たぶん冬暖かい家が嫌いなんですって人はいないと思うんですよね。

松尾先生:
そうですよね。

小暮:
だから、だいたい私は建てる場所によってある程度、窓の位置、部屋の配置って決まると思うんです。

松尾先生:
日本人の太陽信仰というのはたぶん5,60年以上前から、パッシブデザインとか日射取得とかいう前からあった。不動産業界ですら、南側道路の土地の方が高い。マンションでも南向きの部屋が高い。

小暮:
だから、好みは私もなんでも良いと思うんですね。しかし、暖かい家というのは基本だと思うので。そう考えればデザインはどうであれ、基本となる間取りってだいたい決まるはずだと思いますね、場所によってね。

松尾先生:
そうですね。例えば設計ができる人間がウチにも何人かいますけど、やっぱり人によって若干の違いはあります。でも何も拠り所がないのに比べるとギュッと絞られるんですよ。

小暮:
よく住宅メーカーさんのサイトなんかで、間取りシミュレーションというのあるけど、あれって役に立つのかって思いますね。

松尾先生:
間取りシミュレーションってなんですか?

小暮:
要は好きな間取りを選んで、これでつくってくれっていう仕組みです。

松尾先生:
へー。

小暮:
別に建てる場所もそんなのまったく関係なく、自分の好みで間取りを選んで、それで契約して建てるというね。

松尾先生:
僕の仲の良い工務店の社長さんが、AIにプランが出来ないかと考えて、某大学のAIの研究してる先生と一緒に、結構なお金をつぎ込んでプログラム開発しようとしたんですけど、結局現時点では出来ないという結論に達したそうです。

小暮:
最適な間取りってのはもう、建てる場所によって変わるもんですよね。この中から好きなやつを選んでくださいというのは、何かよく分かんないなと思いますね。

松尾先生:
だから、僕らは敷地をもらった瞬間に、お客さんの要望を聞いて、現地に見に行って隣家の影の状況を考えて、一番日当たりの良い所に一番良い部屋を持っていって。車も配置した上で庭をどこにとるか、まずそこから入っていきますね。1階の間取りが出来て、2階の間取りが出来て、外観がきれいに見えるように立面デザインして、それから構造計画を考えてという風に。

小暮:
梁のかけ方ですよね。

松尾先生:
そういう順番でやっていくんですけど。そういうのをちゃんとやってる会社ってほとんどないんですよ。

小暮:
私もないと思いますよ。周り見てもなんでこの敷地の形で、こっちから太陽来て、窓がこっちなのに、なんでこっち向いてんだろうとかね。何でその西側にでっかい窓が付いてるんだとかね。そんな家が本当に多い。まあ北にでっかい窓があるのは、たぶん赤城山が見たいんだろうなと思うんだけど。

松尾先生:
もし赤城山が地域のシンボルみたいなものなのだったら、ここは赤城山を見る窓というのが一箇所くらい北側にあってもいいと思うんですね。でもそれはやっぱり例外なので、その窓はやっぱり1個か、良くても2個にするべきです。例外ばっかりやると夏は暑いし、冬は寒い家になってしまう。

小暮:
もしくは、もう寒い前提として考えて、その代わりサッシは良い物を使って、尚且つハニカムブラインドで強化する、とかなら良いですよね。

松尾先生:
そうそう。そういう風に駄目な所はちゃんと補填できた上でやるんだったら良いんですけどね。だいたいそういうことをやる人は、何も考えずにやるので。

小暮:
そういう家が本当に多い。

対談第二弾

Vol.1 最低の断熱基準さえも義務化できない国
Vol.2 HEAT20 G2でも欧米では最低レベル
Vol.3 全館空調はメンテナンスコストに差が出る
Vol.4 太陽光発電はつけないと損をする
Vol.5 現時点では蓄電池より〇〇〇の方がいい
Vol.6 断熱材は 材質×厚みで考える
Vol.7 外断熱か、内断熱(充填断熱)か
Vol.8 木造と鉄骨はどっちが丈夫か?
Vol.9 大手はなぜ樹脂サッシを使わないのか?
Vol.10 住宅会社を見分けるチェックリスト
Vol.11 太陽に素直な設計
Vol.12 中古住宅リフォームの注意点

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