小暮:
今日はですね、松尾先生との対談part3を行います。第一弾は家づくりの基本的な話題を対談させていただきました。第二弾ではもうちょっと踏み込んだ個別の話、樹脂サッシの問題などを解説をさせていただきました。今回はさらに具体的な問題点を解説します。うちのお客さんや私のYouTubeを観ている方から頂いた質問に、松尾先生に客観的に、より詳しく説明をしていただければと思います。
松尾先生:
はい、わかりました。
小暮:
実は私のメルマガで勝手ながら、「松尾先生に質問しましょう」というコーナーを作りまして、30くらい質問をいただいたんですよ。ただ中には、ちょっと答えるのが無理かな?っていう質問もありまして。というのも、単純に断熱やサッシの種類だけ言われて「私の家はどうですか?」って聞かれても、建物の間取りも、向きも何もわからないので答えようがないんですね。
松尾先生:
まぁ、ちょっと難しいですね。
小暮:
何々地域で、発泡ウレタンで、サッシがAPW330なんですけど、これで十分でしょうか?みたいな。松尾先生にもそういう質問は届きますか?
松尾先生:
まぁ、なくはないですね。だから、そういう場合は、それだけの情報では答えようがありませんって正直に言いますね。
小暮:
あとよくあるのが、C値いくつ、Ua値いくつなんですがいいですか?というものですね。
松尾先生:
それが一般的に良い水準なのか?といったことは言えるけど、それだけで家全体の性能は決められません。
小暮:
例えばUa値が低いからといって、それだけで絶対暖かくなるわけではないじゃないですか。
松尾先生:
まぁ暖かくなる確率は高くなるけれども、他の項目も加味しないと。でもUa値は暖かさを決める三大要素のうちの一つではあるので、高い方がいいのはいいんですけど、Ua値の数字が小さいけど日射取得が全然できてないってなったら、正直あまりバランスは良くないとは思いますね。
小暮:
ただ一方で、住宅業界ではUa値戦争がどんどん進んでいますよね。某ハウスメーカーでは最近CMでタレントを使い、Ua値何々!とか耐震等級何々!と言っていますが、こういうところだけで住宅会社を選んでいいのでしょうか、っていう質問が来ていますね。耐震等級3、Ua値いくつみたいな。
松尾先生:
そのUa値が良かったら選ぶ基準としても通用するんでしょうけど、大したUa値じゃなかったら何のために言ってるんだろう?みたいな話はありますよね。
小暮:
そうなんですよね。そもそも消費者の方ってUa値ってどこが本当に正解かわかっていらっしゃらない。よく言うのが、0.87でしたっけ?11年の商品基準ね。あれをクリアしてれば、もう大丈夫ですという人も未だにいますよね。でも、実際0.87っていうのは本当最低。あれがクリアできていないのなら問題外っていうレベルですよね。
松尾先生:
あの数字は2019年1月に最低基準になろうとして、結局最低基準になり損ねた基準ですからね。
小暮:
あれって来年春に基準になるんですかね?
松尾先生:
いや、聞いたことはないですね。ただバイデンさんが大統領になってCO2削減っていうのが一気にぐーっと進んだら、菅さんも日本がCO2を2050年ゼロっていう風に表明したので、その流れでまた義務化の話がもう一度復活するという流れが出てくる可能性もある。今のところ聞いてないですけど。
小暮:
確かこの前、菅総理が2050年にCO2をゼロって言いましたよね。あのCO2ゼロっていうことに関して、これから住宅業界がどの方向に進むのか、ちょっと興味あるんですよね。
松尾先生:
まだ全然具体的には聞いてないですけど、もうヨーロッパで20年くらい前から起こっていた動きに対して、ずっと従来型の考え方で日本はいこうとしてきたんだけど、やっぱり菅総理を筆頭に世界の流れが変わって、もうこれ以上引っ張れないっていうのを多分感じたから、急激にゴロっと転換したんだろうなと思いますね。
対談第三弾
Vol.1 Ua値やC値だけでは家の性能は語れない
Vol.2 太陽光発電は得か?損か?答えは明確
Vol.3 もしもの大災害は必ず起こると考える
Vol.4 住宅会社の営業トークは嘘だらけ
Vol.5 営業マンの嘘を見抜く方法
Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ
Vol.7 「断熱材で調湿」は「濡れた布団で寝る」のと同じ
Vol.8 窓と日射について抑えておくべき基本
Vol.9 営業マンより消費者の方が知識量は上
Vol.10 YouTubeの中にもたくさんの嘘がある
Vol.11 耐久性のポイントは耐震性と水害対策
Vol.12 おすすめできない製品・部材とは
Vol.13 カタログ数値に踊らされてはいけない
Vol.14 適正な断熱性能はこのように考える
Vol.15 30年先を考えたサッシの選び方
Vol.16 いつまでも美しい家のデザインとは