facebook
instagram
youtube
ホーム > ブログ > プロが語る家づくり > Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ
プロが語る家づくり
 | 2021.02.17

Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ

小暮:
話が少し飛ぶんですけど、さっき先生が温暖化で温度が上がっていくっておっしゃったじゃないですか。いただいた質問の中にあったのですが、これからの時代は温暖化なんだから、冬暖かい家じゃなくて夏涼しいの方が大事なんじゃないかっていう風に考える人もいるんですけど、この話はどう思われますか?

松尾先生:
確かにそっちの傾向になっていくってことは間違いありません。でも端的に言うと、ここは神戸市の隣の明石市ってところですけど、例えば冬っていうのはだいたい11月から4月の頭まで入れるとなると、まぁ5、6ヶ月です。それに対して逆に夏は、6月は梅雨ですけど、7月〜9月で3ヶ月ですね。冬の平均外気温ってどうとるかですけど、7℃とかに対して室温って暖房設定温度って20℃ってよくいうんで、20と7って13℃差っていうのが、冬の平均的な温度差になる。

小暮:
はい。そうですね。

松尾先生:
夏の昼間は今、最高気温が35℃とか38℃ってなりますが、朝の4時とか夜明け前の時間って、調べるとやっぱり30℃は切る。冷房の設定温度は27℃っていうのが目安だってよく言われるので、30−27って言ったらたった3℃でしかないんですね。平均するとね。ピークの時間帯は38−27で11とかなりますけど、そしたら13℃差で6ヶ月っていうのと、3℃差で3ヶ月っていうのと、すごいこれくらいの差があるわけですよね。今後これはかなり進んだとしても、逆転するっていうのは多分僕らが生きている間には、普通に考えるといかないと思う。

小暮:
そういうことを言う人もいるらしいですね。住宅会社さんでも、断熱したくない場合に、これからは温暖化だから断熱してもダメなんですよみたいな。

松尾先生:
そういう会社さんに限って日射遮蔽っていうのはちゃんとできてないじゃないかなって思います。住宅業界で10年間営業マンやっているとか言ったら、住宅に関してめっちゃ詳しいって一般の方は思われると思うんですね。確かに住宅メーカーという業界の営業マンという実態に関しては、めちゃめちゃ詳しいですよね。他社がどんな性能でやっているとか、他社がどういう営業戦略をやっているみたいなことはすごい詳しいですよ。でも、はっきり言いますけど、住宅メーカーの営業マンでちゃんと技術がわかっている人って、ほぼいらっしゃらないですね。

小暮:
先生も講演とかで大手メーカーさんも行かれますもんね。

松尾先生:
大手メーカーで技術のことが完璧にわかっている人っていうのは、基本的に技術研究者の人だけですね。僕も住宅メーカーで設計をやっていたんで良くわかるんですけど、設計の人は確かに建築基準法もわかっているし、社内の構造計算の設計ルールもわかっているけど、内実の細かな構造計算みたいなこととかは型式認定っていう認定でできているので、一回一回許容力度計算する必要もないです。だから技術的な細かな根拠も、実は設計の人ですらしっかりはわかっていない。営業の人に関しては、各社で用意されている営業マニュアルに基づいて話をするだけになっているので、それ以上のことは何もわかっていないと言うのが真実です。

小暮:
実際、松尾先生は色々なところに、講演や指導に行かれますけれど、大手ハウスメーカーさんの営業マンさんとか設計者の方っていうのは、ものすごく家づくりの断熱気密や耐震性の取り方とかはやっぱり詳しいのでしょうか?

松尾先生:
それっぽいトークは、トップ営業マンっていうのはすごいうまくするんですけど、正直一部の一条工務店さんみたいにすごい性能を作っている会社の住宅メーカーの営業マンは、嘘つかなくても済むんですよね。本当のことを説明すればきちんと売れるような性能を持っているのでそれでいいんですけど、ほとんどの住宅会社さんは、これは営業マンさんが悪いっていうよりも、正直本社が悪い。要するに、性能を時代に即して、お客様のことを考えてきちんとしたところまで上げてあげれば、営業マンが嘘つかなくても売れるんです。

小暮:
そうですよね。

松尾先生:
けれど、本社はあげてくれない。でも当然売らないといけない、仕事だから売らないといけないというところで、嘘の営業トークみたいなのがいっぱい出てきちゃうっていう。可哀想と言えば、可哀想なんですよね。それをやりたくなかったら、営業マンさんがそういう会社じゃない会社の営業マンさんにならないと本当はいけないっていう話なんですけど。

小暮:
私の友達も、某大きな住宅会社で営業マンやっていましたけど、やっぱり途中で何だかなと思って辞めて、地元の中小工務店さんでやってます。

対談第三弾

Vol.1 Ua値やC値だけでは家の性能は語れない
Vol.2 太陽光発電は得か?損か?答えは明確
Vol.3 もしもの大災害は必ず起こると考える
Vol.4 住宅会社の営業トークは嘘だらけ
Vol.5 営業マンの嘘を見抜く方法
Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ
Vol.7 「断熱材で調湿」は「濡れた布団で寝る」のと同じ
Vol.8 窓と日射について抑えておくべき基本
Vol.9 営業マンより消費者の方が知識量は上
Vol.10 YouTubeの中にもたくさんの嘘がある
Vol.11 耐久性のポイントは耐震性と水害対策
Vol.12 おすすめできない製品・部材とは
Vol.13 カタログ数値に踊らされてはいけない
Vol.14 適正な断熱性能はこのように考える
Vol.15 30年先を考えたサッシの選び方
Vol.16 いつまでも美しい家のデザインとは